「一応、ユニットの状態では栄養補給は自前で行うとのことですが、その養分なりはどこから得ているのでしょうね」
「メタルから独立して再生したことからも、異空間からそのエネルギー源を得ていると考えることもできるが、当然その仕組みなどはわかっていない」
「肉体を再生できるなら、活性エネルギーも同時に得られるというわけですね。ユニットは隔絶した環境下でも生き残れるかなり便利な装備品でもありますね」
「そう言われるとこの開口部の存在は不思議ですね。考えてみれば、開口部がなくても体表面から栄養を取り込むこともできそうです。栄養補給ではそれほど必要のない開口部がなぜあるのかはよくわかりません」
「無呼吸状態に変換するために、体内の呼気をはき出させる開口部として役立つのが一点。そして、ユニットにいくら養分を与えても、それが中の殖装者にまで行き届くにはもしかしたら効率が悪いために、この開口部から直接中の人に栄養を与えることも目的になっているのかもしれんな」
「なるほど、そのための開口部というわけですか。でも、この穴からだとそれほど大きなものは食べられそうにありませんよね。咀嚼すら難しそうですし」
「そこから類推される養分補給は、流動食系ということになるな。固形では難しかろう」
「ということは、宇宙船が液状に満たされたあれは、もしかしたら養分を含んでいる可能性もあるということですか」
「そのあたりは調べなければわからんが、可能性はありそうだな」
「ユニットは単独でも殖装者保護には十分ですが、活動的にする(より疲れにくくする)ために効率的に栄養摂取を行う必要があり、それが開口部の発現に繋がっているわけですか」
「死ににくいというのはユニットの大前提でもあるが、死ねないというのも逆に恐怖感があるかもしれんな」
「言われてみればそうですね。降臨者ではそういう感覚も薄いかもしれませんが、人間の心理では宇宙空間に無限に近い間放置されるのはかなりの苦痛でもあります」
「放置されないように何重にもシステムは組まれているのだろうが、それが数年でも心理的負担は相当なものになるだろうな」
「自分ならかなり恐怖感を覚えそうです。でも、精神面でユニットがケアをすれば問題ないかもしれませんね」
「どこまでケアをするかにもよるな。精神的破綻に陥らない程度には干渉するだろうが、強敵を目の前に恐怖感を和らげてしまうのも諸刃だ」
「ある程度の危機感がないと動かない場合もありますしね。ガイバーを見ればもう少しわかりそうですけど」
「そのあたりは、深町の精神的成長などからユニットの心理干渉がどの程度行われているかを考えてみるか」