時にするどい質問をする青年A 謎の事情通・初老のB氏


※マーメイドの生態:

へっか
「マーメイドの戦略価値はともかく、彼女らがこれまで雌だけで生き残ってきた、その生態には大きく興味を持たれるな」

質問者
「雄の半魚人は考えたくもないですが、言われてみれば不思議ですね」

へっか
「本来なら、何らかの不老的措置を取られない限りは、世代交代が必要になる。人魚は皆見た目が若く、年老いた人魚がいない」

質問者
「となると、不老化している可能性があるのでしょうか。いつでも若々しい人魚は最高です!」

へっか
「君の趣味はどうでもいいが、不老化については考える余地があるな。不老である人魚を食べれば不老長寿になる伝説もあながち嘘ではないかもしれんな」

質問者
「かわいい人魚を食べるなんて考えたくもないです。それに、不老の肉体を食べただけで不老化するなんて科学的じゃないですよ」

へっか
「遺伝子を保つための不老化物質が人魚の組織に多く含まれ、かつそれが消化で変質せず取り込まれる条件ならあるかもしれんぞ」

質問者
「うーん、なるほど。それなら食べる価値はありますが、僕は食べませんよ」

へっか
「わかったわかった。それなら、不老化していないと考えれば、人魚が食われる心配は多少無くなる」

質問者
「多少ですか。人間の欲望は強いですから、科学的に不老を否定しても伝説だけで狙う可能性もあるわけですね」

へっか
「大昔も現在も、発見時の人魚は全て若々しいままで、それが不老でないとしたらどのような理由が考えられるかだな」

質問者
「老化する前に死去する、もしくは表面的に若くても内面は老化が進んでいるというところでしょうか」

へっか
「老化する前に死ぬという説を採るなら、出産頻度が高ければある程度成り立つ。自然界では老化する前に補食される公算が高いことに習ってだが」

質問者
「常に幼生が生まれることで世代交代の確率を高めるわけですね。でも、その幼生も見られないので違うと思います」

へっか
「問題はそこだな。いかに早熟であっても、世代交代をしっかりしているのであれば、必ず幼生時期は見られるはずだ。老いた人魚がいないのは、年齢で発生する致死的遺伝子発現などで説明できるのだが」

質問者
「若い時期は小さく、水中にしか存在せず見えにくい。そしてある時期になったら一気に大きくなるということではどうでしょう」

へっか
「それならある程度説明できるが、幼生時にエラ呼吸をする生態である必要がある。そうでなければ水面に顔を出し、それが確認できるはずだからな」

質問者
「うーん、なかなか難しいですね」

へっか
「問題はまだある。出産が多ければ、それだけ全体的な数も増加するはずだ。環境的に数が多すぎると出産を控えるような場合も考えられるが、そうでなければ数はどんどん増えることになる。狭いシラー島のしかも小さな湖(池?)などあっというまに埋め尽くされてしまうはずだ」

質問者
「そう言われれば確かに。不老でなければ、出産率の制御など必ず必要になりますね」

へっか
「最大の問題は、雌だけでどうやって増えるかだな。魚の中にはクローン的に増えることもある。これを利用すれば、人魚の下半身が魚であることで、雌だけでも子孫を残す要因になる」

質問者
「魚の中には、環境で雄に変化する者もいますから、その方向もあるかもしれませんね。でも上半身は飽くまで女性のままですけど!」

へっか
「確かに、上半身は人間だから環境で雄に変化することは考えにくいな。ただ、下半身の魚の部分についても、本当の意味で魚かどうか定かではないことは付け加える必要がある」

質問者
「考えてみたら、なぜ雄の人魚を作らなかったのでしょうね。生殖でややこしくなるなら予め作っておけば良いと思うのですが」

へっか
「そのあたりは降臨者も考えたのだろうが、雄の人魚はなぜかうまくいかなかっただけかもしれんし、雌だけでも増えられるなら余計な性は必要なかったということぐらいしか今はわからんな」

質問者
「加えて愛玩のために雄を排除したという理由もありますよ!」

へっか
「・・・・・・・・」

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