「ユニットでは、個性の記録がメタルによってほぼ完全に保存されています。それがどういった形態の記録方式かかまではわかりませんが、恐らく顕微的な部分でも忠実に再現しているものと思われます」
「とはいっても、余計なところまでは再現しないのだろう。病的な部分は意図的に解除されて再生されることも十分あり得る」
「医療的な措置では考えられますね。でも、火傷の跡はそのまま残ってはいるようですが」
「火傷後は生命に関係のない中立的な損傷だから、メタルもそこは個性として考えているのだろう。つまりシンメトリーに基づく再生という単純なことはやらないわけだ」
「個性をそのまま再現して、逆に何らかの不具合は出ないんでしょうか?」
「双子でも指紋も変化する例もあることから、同じ卵子であっても微妙に異なることになる。ということは、その再生でも矯正が何らかの形で行われるわけだから何らかの無理が生じる可能性は否定できないな」
「メタルの記憶にしても、状態を記録し、それを元に普通に再生しただけではだめだと思うんです。イメージとしては、まず個性ありきの状態で、そこが基軸になって再生されるのだと思います」
「卵子からの再生だと最初からやり直しだが、個性という本来は最終地点を出発点とするわけか」
「実際にどうやっているかはわかりませんが、普通の再生で矯正をかけるよりは無理のない再生が行われるものと期待できます」