「深町の無意識下で殖装を拒否していたので、この根本を解決しないと再殖装もできませんね」
「瑞紀の存在が、父親の死の悲しみを超えたから殖装も可能だったが、何もなければあのまま殖装できないまま現在に至った可能性もあるな」
「その悲しみが時と共にどう変化するかにもよりますが、人によっては長年引きずることでもありますね」
「考えてみれば、このような面倒が起きるぐらいなら、明らかに殖装者にとって不利益となる殖装の解除は、安全弁としてあってはならないはずだ」
「ユニットはなぜか殖装拒否の意志を解除はしないんですよね。着脱可能なユニットでは、殖装者の補修中であっても、殖装を解除したい場合はそれが選択として優先されるという仕様なのでしょうか」
「補修要項が致死的である場合には、いかに殖装者の意志でも解除が難しいかもしれん。まあ、ユニットなら仮に殖装者が死去しても復元させられはするがな」
「それがユニット特有の事後処理システムというわけですね。再生という補填があるから、危険とわかっても殖装が解除される場合もあるわけですか」
「無論、再生は最終手段だから、コンディション調節とはやはり別と考え、やはり場合によっては殖装は解除されないと考えるべきかもしれんな」