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時にするどい質問をする青年A
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謎の事情通・初老のB氏
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※エンザイムの世代交代:
質問者「エンザイム3は一応ロストナンバーではないので、交配による子孫形成は可能ですね」
へっか「理論上はそうなるが、子孫繁栄には繋がらないかもしれんな」
質問者「え、そうなんですか?」
へっか「まず、寿命が短いエンザイム3では、交配する前に死去する可能性が高い」
質問者「そうかもしれませんけど、その短い寿命の間に子孫を残す生物はいくらでもいますよ」
へっか「エンザイム3の場合、初代の調製体なら交配の可能性はある。だが、2代目以降が交配可能になるかがわからない」
質問者「なるほど、寿命が短いので数年で大人にならなければ生殖ができないわけですね」
へっか「男性では意外と低年齢で交配可能になるが、その年齢まで成長できるかが鍵となる。エンザイム3の数年が人の成長・老化を含んでいるという前提ではあるが」
質問者「実際にどうなるかが問題ですね。代謝が早いことは、成長の早さに大きく関係しますが、エンザイムの代謝活性がそのまま成長と結びつけられるかがわかりません」
へっか「エンザイム3は、早老症とも異なる。早老症はテロメアが短いがゆえに起こるとされているが、エンザイム3はテロメアが短いのではなく、テロメアを使い切る速度が速いだけだ。だから、成長も伴う可能性も一応はあると思われる」
質問者「ただ、人間において代謝速度を上げた状態での成長がうまくいくかどうかが問題なのですよね」
へっか「うむ、成長速度が高く寿命が短いネズミでは成長が伴うと言えるが、人間の場合かなり無理な成長になる可能性があり、そこが最大の問題点となる」
質問者「どう傾くかは実験してみないとわからないわけですね。うまくいけば、ねずみ算式に爆発的に増えますが、そうでなければ一代限りの損種実験体と同等の扱いになります」
へっか「もう1つ、生殖行動には脳が生殖活動を促す構造も働かせる必要があるが、エンザイムのように脳をいじられている場合はそこに不具合があるかもしれんな」