時にするどい質問をする青年A 謎の事情通・初老のB氏


※デバウァリング・プラズマについて:

「虚像からの同時攻撃がこのデバウァリング・プラズマと思って良いのでしょうか?」

「3方向からの攻撃は、幻ではなく実質的に3箇所を破砕していた。その場合、実像のカールレオンは実質3発の光弾を放ったことになるが、その場合一つ一つの虚像からは光弾のタメから放出とタイムラグが生じるはずだ」

「虚像は本体の投影にしか過ぎないですから、タイムラグで撃った場合でもそれが虚像に投影されるはずです。つまり3発撃ったなら虚像それぞれが3発の光弾を撃つように動かなければなりません。そうなると合計9発・・・辻褄が合いません」

「単なる本体の投影であればそうだが、この投影像はそれぞれカールレオンの念じた像であるから、イメージ通りの動きが可能なのだろう」

「そのイメージ像にエネルギーを送り込み、光弾を発生させるわけですか」

「光弾という特殊な効果を、イメージ像に発生させるのは容易なことではない。光弾が本体から出されるなら、3分身だから3発の光弾を出せば良いだけだが、それを同時に撃つとなると時間的な差分を虚数空間の調節で可能かどうか、さらにややこしいことになる」

「虚数空間は時間の流れが違うのですか?」

「無論その確証はない。異なる空間での物理作用は様々な点で異質であるとしか言えないところだ。仮にその一つが時間であるなら、それを利用しないとも言えない」

「具体的にはどうするのでしょう?」

「時間の流れを利用すると言ったが、前提としてその流れを調節できなければならない。最初の虚像(虚像A)が放った光弾は、3次元空間に届くまでにその時間を遅らせる。そして最後の虚像(虚像C)の光弾に合わせて一斉に放てば同時に攻撃したことになる」

「うーん、でも時間を操るのはかなりの高等技術だと思うのですが、虚数空間だからこそなのでしょうか?」

「まあ、この説の場合ややこしくなる部類であるから、先ほどのイメージ像にエネルギーを送り込み、光弾を作らせる手法の方が可能性が高い」

「それもそうですね。本体からの光弾発動では時間を操る、あるいは光を曲げて3次元空間に届く時間を延ばすなどの方法もありますが、どちらにしても空間利用法の高度な部類になります」

「光弾の形成で、タメ→放出までに1秒ほどかかる場合、光は30万キロ進むのが問題だ。その距離を何らかの形でそれぞれの虚像で用意できれば可能性としてはあるわけか」

「光の性質が次元ごとに違えば、もしかしたらもっと短いかもしれませんし、空間の利用は光を制御する方向でも利用可能だと思われます。それを利用すれば、本体からの光弾を3発同時に攻撃されたことも理論上は可能かと」

「いやまて。光と光弾の速度はかなり違うだろう。光が進む距離を、このプラズマ弾が同じように進むとは考えにくい。であるなら、光弾の出す位置と虚像の位置とは異なることになる」

「その場合でも本体から放たれた光弾は同期させるために虚像の場合と同様に進む距離とタイムラグをもたせることになりますね。つまり、3つの虚像とは別に、3つの光弾が届く距離も空間作用で制御するわけです。結果的に合計6つの空間的ねじ曲げによる到達距離の同期を計るということになるかと思います」

「それはかなり重労働だな。虚数域に埋没するだけでもかなりのエネルギー消耗だが、さらに同期まで制御するとなるとかなりきついものがあるな」

「そうですね。時間の流れ自体を空間作用で少し変えられるなら、考え方としては簡単ではありますが、実際に時間を操ろうと思ったらさらに労力が増すかもしれません」

「今のところ、時間差を利用した手法は難易度が高く考えにくいところだな」

「でも、本体の投影がイメージ像であるとすると、アポルオンが3体に別れて虚像を捕まえた、あの行動に意味はあるのでしょうか?」

「そういえばそうだな。イメージ像説では、カールレオンとアポルオン双方のイメージ像が絡んだだけで、本体には影響がないはずだ。そうなると虚数域のカールレオンを捉えたその像が3体の虚像に反映されたことになる。つまり、イメージ像ではなく本体そのものの投影像ということになる」

「うーん、そうなるとイメージ説では説明できないわけですか。虚数域の空間作用を利用した後者の説が有力になるわけですね」

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