「ゾアロードになることで空間そのものの利用が可能になる。このことは、他の例でも明らかなことでもあるな」
「バルカスの調製技術では、相当空間利用について解明が進んでいることを裏付けていますね」
「本当の意味で理解しているとは限らない。降臨者が用いた手法をそのまま転用したに過ぎないかもしれないからだ。だが、その応用性については理解していることは確かだな」
「それにしても、空間それ自体を使われると、次元属性の物理体では太刀打ちすることが難しいですね」
「正確には太刀打ちするのが難しいというべきか。虚数空間に入った敵に攻撃を加えるには、同じ虚数領域に影響を及ぼせる何かしらしかない」
「アポルオンの素性はわからないが、同じ虚数空間に入られ、さらに力を上回られてはどうしようもない」
「エネルギーの消費が激しそうなので、虚数域で直接戦闘も難しいですよね。でも、アポルオンもそこは同じだと思うのですが」
「結果的にカールレオンがやられたことから、エネルギー保持量からその出力まで全てが違うのだろう。アルカンフェルクラスの存在なら考えられることだ」
「まとめると、空間に影響を与えられるなら、虚数空間への攻撃も可能ということなのでしょうか?」
「それは虚数空間がどの次元階層を指しているかにもよる。ブラックホールが歪める空間よりも深く、影響が届きにくい次元にあればブラックホール攻撃でも無傷ということになる」
「それはすごいですね。時間制限があるにしても、ブラックホールの重力領域から逃れることもできます。ギュオーでは太刀打ちできないかもしれませんね」
「そうなると、リ・エンツィも攻撃が届かなそうですね」
「それも影響を及ぼせる空間の質にもよる。だが、ブラックホールとは違いリ・エンツィの攻撃は単発ではないから、エネルギーが尽きたあたりで攻撃を加えることは可能だ」
「なるほど、カールレオンの能力は、もっぱら相手の武器を使い尽くさせるのが一番の使い道であり、それができなければ負けというわけですか」
「応用性は色々あるのだろうが、まあそんなところだろうな。話は変わるが、虚数域にいても、カールレオンの姿はこちらの次元でも見えている。その意味ではあまり深い階層にいないのかもしれんな」
「確かに、次元的に深い階層ほど光情報を3次元空間に投影するのは難しくなってきそうです」
「3身に分身するのも、虚数域から光学的歪みを用いて3つに見えるように仕向けているのだろう」
「すごいのは、その分身達が同じ攻撃力を有していることですね。虚像なはずなのに攻撃力が本物という点で理解不能です」
「そのことについてはまた別項目で考えることにする。虚像については、虚数空間の作用を利用し、分裂したように見えたというぐらいにしかわからんな」