「ユニットの再生で複雑なのは個性の回復ですね。これは年齢、成長度合いなどが初殖装時のメモリーから基本的に回復されますが、記憶はさらに事故時点の記憶を忠実に再現することがすごいです」
「アプトムの場合も同じように記憶の再現となって再生しているようだな。アプトムとガイバーでは方式は違えど、記憶回路が壊れても復元する大元があり、それに沿って復元する点では同じだ」
「アプトムは強殖生物であるがゆえに、ガイバーよりも早く脳が復元するようですね」
「そのあたりはまたアプトムについて考えることにして、ガイバーではアプトムのように効率的にいかないことは確かだ」
「そうですね。やはり元々再生力に乏しい人類の肉体が再生の足を引っ張っているということなのでしょうね」
「ユニットの強殖組織は、メタルを基本として個性を回復させる。ほぼ忠実に再現しており、再生後もそれによる違和感がほとんどなくなっている」
「深町は実質的に2度は死んでいますが、そのつどメタルの記憶を元に再生されています。彼は本当の意味で深町か?と問われても、生物学的にはそうと言うしかないレベルにあります」
「再生はするが、死去したその肉体を取り戻したわけではなく、崩壊した肉体は置いておくとして、別途再生する意味ではクローンと言うべきか」
「それでも、自分自身そして周りの人間は以前と変わらず存在を認識できますし、かなりシステマティックな感じですね。魂の存在があったらややこしいことこの上ありません」
「魂も2つになるのか、肉体がある限りは魂はそこに戻ってくるのか。わしは前者の意見を採用してはいるが確信はない」
「うーん、ガイバーを使って何体も同じ個性のクローンが生まれるなら確かに前者になるんでしょうね」
「魂の存在のような形而上学的なことでも、ガイバーを使って検証可能なわけか」
「それだけ違和感なく再生されることは、人間から見ても異様なことなんでしょうね」
「本当の意味で違和感がないのかは難しいな。忠実に再現しても、本当にそうなのかは検証のしようがない。仮に微妙に違っていても、再生の時点で違和感のないように意識を改装されたら、実感として違和感も何もなくなってしまう」
「その方がややこしい気もしますが、メタルさえ正常ならほぼ大丈夫で、もしメタルに何らかの損傷があった場合には、そのことで引き起こされる再生の不具合で違和感を感じることはあるかもしれませんね」
「うむ、ガイバーUがしぶとく生き残っていたらその検証も可能だったのだろうがな」