時にするどい質問をする青年A 謎の事情通・初老のB氏


※ユニットの心理干渉システムの設計について:

「色々とユニットの心理干渉について考えてきましたが、それらは飽くまで推測に過ぎないことですよね」

「人間は、進化において降臨者も意図してない様々な方式を獲得している。それは、降臨者にもあるかわからない情なども含まれている。その降臨者が作ったユニットであるから、どのレベルまで心理的干渉で人間の心に深入りするのか、そもそもそれはできないんじゃないかと考えても不思議ではないな」

「深町に起こった一連の心理的変化も、確かに通常なら辛いことばかりが続いたことでユニットが深町を守ったことは考えられます。ですが、それは深町が耐えられないと分かった上でないとユニットも手出しできないと思います」

「深町自身は、意外と精神力も強く、案外柔軟な思考力を持っており、結局は自分自身で切り抜けたということか。人間の内面の変化も、ユニットの干渉性能もどちらも目で見たわけではないから推測に過ぎないことは確かだ」

「全く無いとも言い難いですが、そこまで精神的ケアを行うには、ユニット制作者が精神的干渉を望んでそのシステムを構築する必要があります。つまり、ストレスに悩んでいた降臨者がです」

「繰り返すようだが、降臨者と人間は進化からして異なる。それだけに、人間と類似したストレスを降臨者が持っていたかもはっきりとはわからない。ただ、ユニットを作った目的に、心理的干渉である機能を付け加えたことは考えられる」

「それは何でしょうか?」

「降臨者にとって重要なのは、知能をフルに活動し、高い集中力を保つことなどだ」

「例えば、思考による疲労を取り除いたりすることなどでしょうか?」

「それも必要だが、研究対象に対する集中や執着の度合いを上げ、より脳を活性化させるために限界以上に思考するその力をユニットが与える。そういった機能は降臨者も欲しているはずだ」

「人間は考えすぎると当然疲労しますし、それがきかっけで精神に異常がでる場合もあります。しかし、考えすぎることが悪いわけではなく、高度な学術大系を発展させる場合は、時間や労力が欠かせません。それらをユニットが補佐し与えているという考え方ですね」

「全ての難題がこれで解決するわけではないが、降臨者の高い思考性を保つには、考えすぎることによる弊害を取り除くことは降臨者でも欲するところだろう。これを人間に照らせば、疲労を回復しながら勉強を続けられるようなものだ」

「寝ながら学習するようなものですか。それもうらやましい機能ですね」

「ユニットは高い再生能力もあり、これが精神活動の担保になる。仮に神経が焼き切れる(表現は正しくないが)ほどの思考を行っても、ユニットなら大した事故にもならずに済む。神経が切れてしまえば一瞬は呆けることはあっても、その直前までの記憶を再現し、そこから考えを推し進めることもできる」

「それは便利で良いですね。人間にも適用できるならぜひ欲する機能です。ただ、研究なりに成果を挙げるのは、集中力だけではなく、脳全般の色んな機能が総合して成し得ることでもあります。どの脳の思考分野を増幅させるのか、その選択もできればさらに良いのですけどね」

「ユニットが殖装者の意図を汲み取って必要な能力を引き上げることはありそうだな。芸術的側面と科学的側面での脳の使い方の違いもあるからな。飽くまでそれはユニットからのボトムダウンとして干渉するのみだが、殖装者側からユニットのシステムを変更させるような命令はさすがに難しそうだな」

「システムを大きく変えるのは無理でも、システムを切入を選択することはあっても良さそうですね」

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