時にするどい質問をする青年A 謎の事情通・初老のB氏


※トラウマ後の記憶障害:

「ユニット拒否にはまだ続きがある。それは、深町が被った記憶障害についてだ」

「その記憶の封印があったから、なぜユニットを身につけられないかの理由が自分ではわからなかったんですよね」

「うむ、この手の記憶障害は、何らかの事故で起きることが知られている。ただ、この時の記憶障害がトラウマに関するところに限定されているところに、何らかの恣意的なものを感じる」

「トラウマが大きいほど、その部分の記憶が障害となることもあるのでしょうけど、不自然と言われればそうですね。なぜそれが起こったのでしょうか?」

「確証はないが、これもユニットの作用であるのかもしれんな」

「トラウマを消す作用が働いたわけですね。でもいきなり記憶を封印するその所作は強引な感じもします」

「確かに、そのせいで、エンザイムUとの戦闘を思い出そうとして猛烈な頭痛を引き起こしてもいる。これはユニットの作用としては不自然でもある」

「やはり、記憶の封印はユニットの作用とは考えにくいのでしょうね」

「いや、そう考えるのはまだ早計だ。このことは、深町がトラウマを引き起こすその時点で、ユニットを拒絶して殖装を解除したのが不具合の原因があるのだろうと思う」

「トラウマを解析し、その解除には少し時間がかかるとの説ですね。解析最中にいきなりひっぺがされたのですから、精神に何らかの不具合があってもおかしくないですね」

「そのバグのせいなのか、ユニットが瞬間的にギリギリ記憶を封印した結果記憶障害になったかはまだよくわからない。もしユニットの臨機応変な作用で起こされたとしたら、それは殖装否定要因として結果的なバグということになる」

「トラウマが人間特有のものであれば、降臨者が使っているだけではバグとして検出しにくいのかもしれませんね」

「それでも、ユニットによる精神作用は、ユニットの特性では一応あるとの前提で考えている。もしユニットが精神トレースしている最中に、無理にひっぺがされたことによる記憶障害なら、精神安定システムの順序として、まずトラウマを検出しようとしたと推測できる」

「なるほど、トラウマに対する何らかの干渉があったからこそ、その部分で記憶障害が引き起こされた可能性があるわけですね。でも疑問があります。ユニットは精神トレース最中に殖装が解除されるのは危険とわかっていたはずです。にも関わらず、なぜ解除されてしまったのでしょうか?」

「それは、深町の強い拒絶反応が、殖装解除の安全弁より優先されただけなのだろうな」

「意志の強さでユニットのシステムをかき消したわけですか。深町はこういった精神力というか、心理的発火作用が時として普通にはあり得ないほどの爆発力を秘めています。ギガンティックを作ったことといい、そこも深町のやさしさゆえに起こったと考えるとすごいですが、ユニットの不完全性も垣間見た感じもします」

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