「センサーは 、殖装者というよりも、システム上ユニット自体の性能を上げるために標準装備されたようだな」
「光情報を必要としない種族などでは不要なセンサーでも、ユニット自身には必要になるというわけですか」
「殖装者が意識活動不能状態、これは単純な気絶から脳が破壊された個性の損失レベルまで幅広い。殖装者の意識信号が途絶えた場合に、ユニット自身が判断をして安全を保つ必要がある。そのために、ユニットが行動できるように視覚的情報を得て、スムーズに安全地帯に移動することが必要になる」
「どのような方法を取るかは、メタルの処理にもよりますが、人間の場合は遁走ではなく戦うことで処理してしまいますね」
「人間だからそうなるのか、他の種族では対応が異なるかはわからないが、本来は戦うことは好ましくない。そのあたりは、自己防衛の項目で詳しく考えることにしよう」
「センサーが必要になる要素としては、種族が違ってもセンサー部は変化しない、このあたりが問題ですね」
「厳密にはそのあたりもよく分かっていない。センサーの機能も種族ごとに変わる可能性もある。最も異なりそうなのは、センサー部と殖装者との連結でどのような処理を行うかだ」
「センサー部が変わろうと変わるまいと、種族によってその連結処理などは大きく異なるはずですね。統一感をもって処理できるなら、種族に関係なく共通の感覚を得られるのですが」
「確信はないが、ユニットは共通感覚を付加し、種を超えた連合の意思統一を可能にするための装着物という役割もありそうだな」
「それはすごいかもしれませんね。ただ種族に適合させるよりも、違う種族の生物でも統一感覚に収斂させるのは難しいかもしれません」
「統一感覚は結果的に得られても、処理によっては重かったり軽かったり、つまり種族によって処理速度の変化はあるかもしれんな」
「そうですね。例えば盲目の種族に光情報を与えるなら、その受容器官から情報の処理をも構築せねばなりません。そうなると、元々光情報を処理できる中枢をもつ種族ではともかく、中継地点がある分遅くなるかもしれませんね」
「逆に、ユニットなら効率の良い光受容器官の構築も可能であるために、処理が早くなることもあるかもしれんな」
「結局は、情報を最終敵に処理する意識体自身の神経伝達とその処理速度によるというわけですね」
「蛇足だが、自己防衛行動の場合、処理速度はユニットに委ねられるため、種族の違いとは無関係に処理速度は等しくなるはずだ」