「センサーは2つに分かれて発現していますが、これはユニット特有のものなのでしょうか?」
「人間に合わせて左右2つにし、それをもって立体視を可能にしたとも考えられるが、人間以外の例えば一つ目の生物に装着させた場合、そのセンサーが1つしか発現しないのか、それを確認するまではわからないことでもある」
「それもそうですね。そこがユニットの発現性の難しいところでもあります」
「殖装者が元々三ツ目だと、センサーも連動して3つになるかと言われれば、そう単純ではないのだろう。三ツ目の生物でも、得られる情報が立体視以上になることは、この物理空間では構造上あり得ない。無論、その情報が立体的に解釈されるかは不明ではある。ただ、センサーの役割はこの立体空間の把握(あるいは解析も含む)であるから、2つで十分という観測もある」
「そうですね。仮に三ツ目生物の後頭部に目が1つあっても、必要であればその視覚野はセンサーの可動域によって補えますね」
「ユニットは、あらゆる種族に対応しながら、センサーなどの効果では統一感を持たせる、そういった仕様がこういった方向でも収斂されていく可能性があるとも考えられるな」
「種族ごとにセンサーがどう発現されるかは難しいところですね。でも、発現状態が違うと行っても、センサーの機能も変化はあるのでしょうか?」
「それは定かではないが、恐らくそれほど変化はないと思われる。もし種族ごとに変化が欲しいなら、金属(的)でなく有機的にすべきところだ」
「なるほど、わざわざ金属発現に固定していることで、性能を限局しているわけですか。ところで、このセンサーの材質は何なのでしょうね」
「そこまではわからないが、メタルと同じ材質であるとも限らない。それに金属的に見えるからといって、全く有機的でないとも言い難い」
「有機的というと、センサーが消失しても、再生時に復活する現象ですね。メタルのように代替が効かないあたり、金属のみとは言い難いところでもあります」
「メタルは、それが消失したらそれを保証する方法がない。センサーではそうなっておらず、いくらでも再生可能なようだ。ゆえに材質がメタルのそれと一致しない可能性もあるが、仮に一致していたとしても問題はないだろう。まかり間違って、メタルと同等の上位システムになるなら別だが」
「今のところメタルの素材=アポルオンの鎧の素材らしく、強度や性質は全くの不明ですが、加工によっては色々な用途があるようです。それならセンサーでその素材が使われていてもおかしくありませんね」
「降臨者にとって応用が利く金属材というわけか。それが何かはよくわからないが、有機的な作用で液状にも固形にも簡単に移行できるからこそ、強殖組織内部に溶解可能な作用も及ぼせるのかもしれんな」
「普通にありふれた金属を材料にしている場合でも、強殖組織の消化作用によって溶かすだけなら可能そうですし、一概には言えない部分でもありますね」