「アプトムが瑞紀を人質に取ったとき、深町はガイバーを殖装できない状態にありました。でも考えてみたらこれは不思議ですよね」
「本来、ユニットは殖装者に対する負の効果は除外するはずだ。非殖装状態になったのは、深町が父親を自己防衛活動により抹殺してしまったことによるものだ」
「あれは痛ましい事件でしたね。深町の意思とは言えないですが、結果的に自らの体がそれを引き起こしてしまったのですから無関係と感じるのは無理でしょうね」
「あのとき、深町とユニットの関係がどうだったか、そこが問題になる。まず深町は脳を破壊され、そのことによって自己防衛活動が開始された。このときは、ユニット主導での活動となる」
「再生効果で徐々に脳は回復していますが、それでも戦闘中に意識が回復されるまでには至らない。つまり、精神的なケアはこの時点では起こってはいませんね」
「ユニットによる心理ケアは、脳が完全に回復した時に起こる。ユニットの作用は、事前に回避するというより、事後どうするかの処置が多い。脳が回復した時点でも、すぐには深町の意識は回復しなかったため、まだトラウマ発生には至っていなかった」
「それではユニットがトラウマのケアを行うこともできませんね。深町が意識を回復する直前まではそんな感じでトラウマ自体を把握できなかったわけですね」