「ガイバーには思念波送信システムがあるのに、なぜ普通に話せるのでしょうね」
「そのあたりは、外部スピーカーで話しているかどうかも考える必要があるな」
「思念が外部スピーカーで声に変換されているなら、思念波会話の延長として考えても良いですが、口で普通に話している場合は違うということですね」
「目のように代替が効くセンサーがあるのに、目が発現しているのは、ユニットが素体の器官を発現形質として捉えているためでもある。口部では明らかな殖装時発現がなく、本来は口で直接話しているとは考えにくい」
「殖装時は呼吸しているかも怪しいですし、そうなれば呼気もないわけで物理的に話すことができなくなります」
「ただ、ユニットが一律に処理しているのではなく、呼吸の有無は便宜上切り替えられている可能性もある。その場合に、口部でも話せる理由が必要になる」
「筋肉の発現などは、四肢で見られます。横隔膜も筋肉でありますが、体内であるがために外部的な発現は特に見られず、このあたりはどうなっているのでしょうね」
「殖装時の肉体状態は未だ謎でもある。肉体はそのままである説から、殖装が有意に働くために改造されている可能性まである」
「となると、体内環境でも何かしら改造されている可能性もあるわけですね」
「そう説を提唱されても否定はできないだろうな。その場合、横隔膜の動きは、ユニットにより担保されているのか、呼吸が邪魔であるがためにロックされる方向で改造されるかの両極端になる。」
「でも、必要上呼吸の有無が切り替えられるなら、その両方で行き来していることになりますね」
「そうなるな。その切り替えは、ユニットの判断で行う場合もあるが、多くは殖装者の意志によって決定されることなのだろう」
「殖装者の意志であっても、ユニットが対応できない危険性がある場合以外ではということですね」
「呼吸でということなら、空気中に致死毒があっても、ユニットなら高い解毒性をもって対処できる。手間はかかるが、殖装者がその中で声を発したいと思えば可能なことでもある」
「呼吸といっても、肺に空気を入れるだけで、そこでガス交換を行わなければそれで済むかもしれませんね」
「その方向でも良いが、毒性によっては肺に出血を伴うものもある。そういった場合の保証もユニットには必要だ」
「ユニットも色々やっているんですね。そういえば、外部スピーカーだとしたら、声調が殖装者個人のままであるのは、思念イメージと声帯などから分析し、イメージ通りに再現している感じになりますか」
「そんなところだろうな。どちらもユニットなら可能なことだろう」