「聴力が殖装後により鋭敏になっているような描写はありませんね」
「聴覚は、地球の生物の場合、視覚が及ばない範囲をカバーするために発達したものではあるが、ユニットがあれば背後にも視覚センサーが行き届き、音が聞こえなくても感覚的な欠損はあまり感じなくなっている。この観点から、視力と同様に、聴力でも増幅の意味を持たないということか」
「そもそも、人間からして音が生きるのに必要なほど聴力が良く発達しているわけではありませんしね」
「人間は視力に大きく頼っているからな。仮に視力が低い生物ではしっかりと聴覚部発現があり、さらに聴力が増幅するなら発現性の意味としては興味深いんだがな」
「でも結局は増幅の意味はあまりないのかもしれませんね。センサーと感覚的な競合で、鋭敏さが損なわれても厄介でもあります。やはり感覚的なことはセンサーに任せていると考えた方がよいかもしれませんね」
「そこもユニットが持つ普遍的感覚のありかたとして考えるべきかもしれんな」