深町の火傷についてどのようにして復元させているのか、そのあたりも不思議なところはある。本来、火傷になった組織は、その前に高熱を受けなければ発生しない。まさか、最盛時に高熱をあびせてわざとケロイド状態を作っているとも考えにくい。しかも、単純に熱を加えただけで元と同じような火傷が形成されるとは限らない。  ということは、メタルが殖装者の記憶に基づいて忠実に再生するということはそれほど単純なことではなく、まさに細胞状態そのものを再生時の属性として持たせることを意味している。  つまり、遺伝よりももっと微細なレベルである物質的側面をメタルが記憶しており、それに基づいて再生方向の設計を行っていると推測される。無論、それには途方も無く膨大な記憶量が必要となるため、メタルの記憶容量がかなりのものになると予想される。  もし、メタルの容量がそれほどでもない場合は、うまく情報を圧縮していけるところは圧縮するなどの工夫はあるかもしれないが、そこは定かではない。この容量の大きさが、殖装できる個体ののサイズ限界に関係する可能性もある。