「アプトムのように、直接滋養となる生物を再生のために調達するのが最も確実だが、ユニットでは全くその作用が見られていない」
「ユニットにもアプトムのような強殖的補食作用はありますけど、再生中にそのような場面を見ることなく再生を果たしていますね」
「異空間から再生物質を調達することを考える前に、現世で調達可能かも考える必要があるな」
「他生物を補食するのでなければ、空気中にある成分から再生物質を取り込むしかありませんね」
「植物では普通に行われていることだけに、強殖組織もそれができないとは一概には言えないところだ」
「大気以外にも調達できれば良いのですが、メタルのみがガラスケースに入れられ、そこから再生を起こしていました。ガラスケースやメタルを置いた台などが食われた形跡がないことから、やはり空気中からとしか考えられません」
「そうなると、難しいのは体内にあるあらゆる元素を空気中から全てまかなえるかだ。タンパク質は窒素固定でどうにかなりそうだが、強殖組織はともかく、人間の体はそう単純ではない。骨を作り出す炭酸カルシウムから、微量のあらゆる必要成分は空気中から用意できる可能性はあまりにも低い」
「そうですよね。もし可能なら、物質の核融合で必要な元素を作り出すことも考えましたが、低温核融合にしてもある程度の熱は発生しそうです。そもそも低温核融合があるかも不明です」
「うむ、現実的な方法とは考えにくいところではあるな。それにこの説では弱点もある。宇宙空間のような物質の希薄な場所では再生不能になる点だ」
「ええ、宇宙では全く再生が不能になってしまいますね。もし宇宙で再生不能であればこの説をと考えてしまいますが、大気成分を利用するだけの再生力では、広大な宇宙航行に不安も残ってしまいます」
「再生できなくても、メタルさえ回収されれば何とかなりそうだがな。まあ、宇宙空間でも再生が進めば、この説はないということだけは確かだ」