姿を見なくなって、もう一月だ、あのバカ親父。俺が避けたら、便乗してアイツまで俺を 避けやがった。本当は俺に謝らなきゃいけないクセに。 ケンカなんかじゃない、正当な怒りだ。だってアイツ、俺のことをずっとチビとかガキと かネコとか言って、バカにしては楽しんでるんだ。 もう我慢できない。今度見つけたら絶 対殺してやる。確かに俺はまだ子供かもしれないけど、もう父上よりも強いんだから、あ んなバカ親父に勝つくらい楽勝なんだ。 気合いを入れ直した俺には、夜の宮殿はつまらなすぎて、仕方なく外に出た。歩いている だけで、なんとなく心が静まっていく気がする。適当に当たりをつけて寝そべった。草が チクチク肌に刺さって、俺の中は土と草の匂いでいっぱいになった。まるで獣みたいだっ た。 月が歪んでいる。多分、あの月のせいで、俺も少し歪んでいる。指に触れる草を、手当た り次第にちぎっていく。歪んだ俺は、少しずつ円に近づいていった。 暗い、静かな森に一人でいると、世界には俺しかいないような気になってくる。本当にそ うなら良かったのに。そしたら俺は、円だろうと三角だろうとお構いなしに、寝たり食べ たりしてたのに。 痩せた草が中指に触れた。抓んでちぎる。その小さな悲鳴が、指先から脳味噌に伝わっ て、俺の形を整えてくれる筈だったのに。何かが俺の手首を掴んでいた。 「・・!?」 「久しぶりだな、王子様」 ああ、スカウターを忘れたんだった。あんまりぼんやりしてたから。掴まれた俺の手は、 緑色に濡れている。 だらりと風が吹いて、目の前にいるのはバーダックだった。 「お前最近このへんフラフラしてたろ?どうせネコだと思ってたら、やっぱそうだった」 「・・・・・・」 「たまにはカワイイことすんだな、お前でも。そういうガキくささは、嫌いじゃねぇぜ」 軽く叩かれた、多分頬を。 「・・・・う、うるさい、うるさい、ウルサイ!お前なんか、と、とにかく謝れ、バカ親 父!」 遠慮なしに入ってくる空気と視線のせいで、上手く言葉が出てくれない。バカ親父は目を 歪めて、笑ってるらしい。スカウターを忘れたのも、俺の手が緑なのも、みんなコイツが 悪いのに。 「謝る?・・何を」 「俺のこと子供扱いして、バカにしてるだろっ」 「だってネコは子供だしバカだろ」 「俺は十分おと」 手首を引っ張られて、撫でさせられた、バーダックの胸から股間。バカ親父は見事に発情 してた。 「いい加減察しろよな、何でわざわざ俺が来たか。大人なんだろ?」 つまりコイツは、俺とのセックスが好きで堪らないらしい。当然のことだけど。 「く・・食い殺してやるっ」 「そりゃぁ楽しみだ」 バーダックのペニスは、赤黒くて筋が浮き出ていて、前に見た時とちっとも変わってな かった。雄と汗の濃い匂いに、思わず溜め息を吐いてしまう。土と草の素朴な匂いなん て、一瞬で覆いつくされてしまった。 だけどいかにも肉食獣みたいな、この匂いの方が、 きっと俺にはピッタリだ。思わず唾を飲み込んだ。 なのにいつの間にか、女の媚びた臭いも一緒に漂っていて、気づけば俺はまた笑いで歪ん でいた。音をたてて、誤魔化しみたいなキスをする。 「抱いてきただろ、女」 「いや、突っ込んだら気絶しやがった」 「お前ってほんと、バカちんこだな」 「俺は魔物を飼ってんだぜ」 「ただの救えない馬鹿だろ、両方とも」 鈴口を舐めて、カリに軽く歯を立てた。吸い上げて扱いて、舐めたり噛んだり。眉間に皺 を寄せるバーダックは、確かにいい男だって言えなくもない。少し頭の奥がブレた気がし た。怒りよりももっとモヤモヤした何か。掴みきれない。 体液をじゅるりと飲み込んで、ついでみたいに舌で円を描く。こいつはセックスだけで生 きてるような男だから、今このペニスを噛みちぎったら、そのまま死んでしまいそう。笑 いを必死に噛み殺した。男の命は今俺の口の中にある。 「・・・・ん、おいひぃ」 「食いてぇって顔、してるけど?」 「ふぁ・・・そう、だろな」 「食ってもいいぜ、ネコなら許してやる」 ああ、期待外れ。捧げられたいんじゃなくて、奪いたいだけなのに。先っぽをすする。少 し塩辛い液が溢れた。ぐじゅっと音をたてると、バーダックの身体が緊張するのが分かっ た。 「んっ・・・ヘンタイ」 「好きなんだろ」 「ヘンタイでバカな親父なんかゴメンだ」 陰嚢を撫でながら、根元に吸いつく。バーダックが目を細めるのが見えた。一瞬視界が揺 れた気がした。 ほら、俺たちはあんまりフラフラしすぎて、元々いた場所まで分からなくなってる。確か に全身がセックスに浸かってるけど、だったらこの虚しさはなぁに。 単なるマンネリなんかじゃない。だってバーダックはこんなにも詰まってるもの。しゃ ぶって味わって、泣いたりあえいだり。ねぇ、もっと楽しいことがしたいの。 ペニスを先っぽから少しずつくわえていく。喉の奥まで苦しくなって、ちょっと吐きそう になってもまだ根元が残ってるなんて。本当にバカちんこだ。 だけど男を口いっぱいに詰めこむと、俺の中の洞穴が少しだけ満たされる気がして。止め られない。何でもいいから、俺の中をぎゅうぎゅう詰めにしてやりたいの。できたら人か ら奪ったもので。 「っん・・・ふぁっ、んんぅ・・・・ッ!」 「ッツ、噛むなよ。ちんこ無しじゃ、生きてく意味も、無くなっちまうだろ」 いつの間にかバーダックの指が、俺の胸まで伸びていた。乳首を抓まれると全身に痺れが 走る。 ぐっと酸素が薄くなって、みるみる脳味噌が透明になるんだ。堪らない。バーダッ クが俺の身体をいじる度に、俺の喉も緊張して。だからバーダックはシンクロしてるみた いに、俺と同じタイミングで呷く。 背中が震えて脳味噌が透明になる瞬間、きっと俺は天国にいるんだ。たとえ死んだって行 けないところ。全部が真っ白な穴の中にあって、だからどこへ行っても白が詰まってる。 何一つ無い場所で、俺は真っ白な穴になる。 バーダックに触れられる度に、俺は死んだり生き返ったり。俺が喉をすぼめる度に、バー ダックも死んだり生き返ったり。シンクロしながら死にかけのセックスループ。昇天、堕 落、昇天、堕落。高度差に目眩がしそう。今の俺には洞穴が無い。 「ぅうっ・・、ン、ン・・くぁ・・・っ!」 多分相手は誰でも良かった。俺の中身を満たしてくれて、白い世界に行ける奴。やっぱり この男も単なるペニスで、なのにこいつと見る白の世界が一番綺麗。特別なんだ、お前の せいで草をちぎりまくるくらいには。だからお前が憎たらしいの。天国から蘇った先の地 獄で、俺は真っ先にお前の首を絞めてるでしょう。 もしお前が俺の掌の上で死んでも、お前を思い出すなんてことは絶対に無い。俺にそんな 感情は無い。だけど例えば行き詰まったとき、俺は多分お前の指とペニスとをまず求める よ。頭の中では同時にお前を絞め殺しながら。 「んぐっ・・・ふ、ぁ・・・ハァッ」 俺が頭を揺さぶると、バーダックも乳首をこねる指先に力をこめる。後孔をまさぐる指が クニクニ蟲く度に、頬張ったペニスが喉の奥を突く。口と尻からバーダックに侵されて、 俺の中はお前でグチャグチャ。ねぇ今の俺は、円でも四角でもないでしょう。目も耳も鼻 も白に塗りつぶされて、ああ、俺が求めてたのはこれだったの。 「ネコ、全部・・飲めよっ」 「くふぅ・・ァ、ンンンッ!」 濃い精液が、喉を滑って。最高の昇天。じわりと透明の脳味噌が浮く。世界はひたすら白 かった。俺たちは静かに死んでいった。 土と草の匂いが蘇ってくると、バーダックが腕を伸ばしてくる。さらりとかわして男の鼻 に噛みついた。 「・・・ネコ?」 お前の指もペニスもほしいけど、お前も俺を求めてるでしょう。いつも全部あげるとは限 らないんだ。今日の俺は意地悪だから。 「おやすみ、バカ親父」 「どうすんだ?まだ不満そうなツラしてるくせに」 「う〜ん・・・ラディッツにでも、相手さしてやろっかな」 驚いた気配が伝わってきたけど、絶対に振り向いてやらない。飢えたバーダックのバカヅ ラは、次に会うまでのお楽しみだ。知らなかったろ、俺はもうお前より早く飛ぶんだぞ。 俺をナメたら痛い目に遭うの。覚えておきなさい。 ああ、だけどやっぱり、身体の奥がう ずいてる。多分宮殿で俺を待ってるだろうバカ息子に、今はほんの少しだけ期待した。 |
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親父×ちょっと成長した王子が書きたかったんですが、あえなく惨敗しました・・・OTZ 最初は本当に親父のペニスを噛みちぎってやる予定だったのですが、 想像するとあまりに可哀相だったので中止しました(笑)相変わらず分かりづらいもの ばかり書いていてすみませ・・・! |