――発散――






拳を交わすには少し手狭で薄暗い空間。申し訳程度に付けられた赤い照明を 鈍く反射する、丁寧に磨かれた床。気持ちを切り替えるために小さな息を 吐き出したベジータは、うっすらと唇を歪めながら不運にも本日の生け贄となった 二匹を交互に見つめた。恐怖と緊張で身体を戦かせながらも負けじと睨み返してくる 様がつくづく食欲をそそる。ゆっくりと全身に広がっていく愉悦。
「ベジータ、時間だ。」
ベジータは、ぶるリとその身を震わせた。






「殺しはしないから向かって来い。ほら早く。」
ジリジリと壁際に後退したまま何の行動も起こしてくれない生け贄たちに、 できる限りの優しさを込めた声音で懇願する。プライドの塊だと自覚さえしている ベジータでもこんな声が出せるのだなどと、一体誰が予想できただろうか。しかしそれは 彼の中で渦を巻く欲求不満の現れに過ぎなかった。
ここまで下手に出てやったというのに一向に動こうとしない二匹の姿に、ベジータの 我慢は早くも限界を迎えた。ピクリと形のいい眉を引き攣らせながら宙に浮かび、 生け贄へと手を抜いた気弾を放ってやる。この後の展開は、いつも笑ってしまうほど 同じだった。
たった二発の気弾だけでベジータ恐るるに足らずと判断したのかは定かではないが、 打って変わって果敢に挑んでくるそれらにうっとりと焦点を合わせる。そのまさに生け贄 らしい愚かさもまた、ベジータの食欲を煽って止まなかった。襲いかかってくる それらの体温、体臭、視線、反応、すべてが奥深くにわだかまった不満を鮮やかに 解消してくれる。止められる訳がないのだ、こんなに気持ちいいことを。






ぺろりと唇を舐めた瞬間、下方にいた青い皮膚をもつ生け贄から放たれた光線が ベジータの胸を掠めた。途端に喜色を満面に散らすそれに、ベジータもまた 笑みを深める。やはり生け贄は素直なものに限るのだ。
「・・・・エッチ。」
わずかに破れた戦闘服を見やったベジータに告げられた言葉に、ポカンと口を開ける それの背後に回り、脇の下から両腕を捕える。抗えぬ死の恐怖からどうにか逃れようと 懸命にもがく姿が、いっそ恐ろしいほどベジータの劣情を刺激する。快感にぞくぞくと 背筋を震わせながら、サイヤ人よりも幾分か冷たい耳朶に舌を這わせた。
「・・・ヒッ!」
「気に入った。メディカルマシーンで治療したらまた相手をさせてやる。 楽しみにしてるぞ。」
両腕を捕えられたまま腰に渾身の膝蹴りを受けた生け贄は、ピクピクと細かい痙攣を 繰り返しながらその役目を終えた。






何の反応も返さなくなったものには何の興味も湧かない。泡を吹いているそれを無感情に 床へと投げ捨てたベジータの瞳に映ったのは、全身に怯えの色を浮かべた紫色の 生け贄だった。殊更ゆっくりと近寄っていけば、壁に貼りついたそれが震えながら首を 振る。まったく今日の生け贄は美味そうな反応をしてくれる。
くつくつと喉の奥で静かに笑ったベジータは、己の衝動に抗うことなく仰け反ったそれの 首筋にうっとりと舌を滑らせた。浮き出た喉仏を舌先で弄びながら、萎縮しきった 生け贄の陰茎にぐりぐりと膝頭を押しつける。何をされているのかも分からずひたすら 戦く姿に、思わず低い笑い声が漏れた。
「・・・・う、あぁっ。」
「貴様もなかなか楽しめたぞ。じゃぁな。」
鳩尾に拳をめり込ませたところで、トレーニングという名の欲求不満解消プレイはようやく 終わりを告げた。






「お疲れさん。」
いつものようにプロテクターと真紅のマントをナッパから受け取ったベジータは、はるか 頭上にある男の顔を指先で招いた。見慣れぬ動作に少し訝しみながら寄せられた頬に 手を這わせ、目を細めながら耳元に唇を寄せる。
「・・・喉、渇いた。」
「何か持ってきてやろうか?」
「いい。・・・・・ん・・ふっ。」
気がついた時には既にベジータの甘い舌が口腔に潜りこんでいた。驚愕に目を見開く ナッパをよそに、ピチャピチャと舌を絡ませながら流れこんでくる唾液を飲み干す。
「・・美味かった。」
唐突に口づけを解いたベジータは、苦虫を噛み潰したような顔をするナッパを見やる こともせず、食欲と性欲と支配欲を存分に満たし、すっきりとした足取りで自室へと 続く道を歩いていった。

本っ当に申し訳ありません!!満たしてくれるなら誰でもいいの的な変態王子が どうしても書きたかったんです・・・orz勿論ナパベジでもベジナパでもありません。 ですから最後のセリフはナッパだけでなく、哀れな生け贄君たちへのセリフでも あります。
もしこんな王子でも萌える!という方がいらっしゃいましたら、是非ともお友達に なってやって下さいませ!!もし宜しければで構いませんので、ご感想などいただければと 思います;;