――無碍――






鈴口に舌を這わせ残滓を舐め取りながら、勢いを失った陰茎を口腔から解放した ベジータの眉間が一瞬深く刻まれたのを認め、カカロットは満面に浮かべていた恍惚 とした色を微苦笑に変えた。
先程までの加虐的な空気を消し去り、慈愛めいたものすら 滲ませてベジータの白い顎をゆっくりと撫でる。途端に漂いはじめた甘やかな雰囲気に、 しかしベジータは小さく舌を鳴らした。
「苦いんなら無理して飲まなくてもいいんだぜ?」
「苦い訳じゃない。むしろ好きな味だ。」
間髪を入れず返された言葉に、口元に貼りつけた笑みにからかいの色を混ぜて組み 敷いた情人を見つめると、同じような表情にぶつかる。自分を嬲るような微笑みに わずかな居心地の悪さを感じながらも、ベッドの中では滅多に見られないそれを目にして、 カカロットはどこか嬉しそうに瞠目した。
「へー。なら何で、」
「質が悪いんだ、貴様のは。」
「・・・・はぁ?」
「・・・バーダックはもっと味が濃かったし、ターレスはもっと粘着質だったし、 ラディッツはもっと量が多かった。・・・あぁ、甘い味がする異星人もいたな。」
次々に現れる男の名にカカロットの表情が険しさを増す。それでも、ベジータの顔に怯えが 浮かぶことはなかった。否、それどころか抑えきれぬほどの愉悦を感じて黒瞳は楽しげに 細められ、口唇は緩くカーブを描いてすらいる。忌々しげにこぼされたカカロットの舌打ちが、 ほの暗い寝室を包みこむ暖かな空気を一瞬にして吹き飛ばした。
「・・・本気で言ってんのか?また最初から教えこまなきゃいけねぇみてぇだなぁ、 お前はオレだけのもんだって。」
どこか狂気を孕んだ男の声が、麻薬のような甘さを伴ってベジータの鼓膜を震わせる。






細胞ごと蕩かされるような優しいセックスなんて、こっちから願い下げだ。






未だくすぐるような愛撫しか与えられていない後孔に、いきり立った男根を捩じ込まれる痛み を感じながら、ベジータはうっとりとその瞳を閉じていった。












――スキ――






ベジータの気がすげぇ穏やかだから、胸の奥がウズウズして。どうしようもねぇから瞬間 移動してみたら、珍しく中庭に出て、更に珍しいことにベジータは昼寝してた。
昔みてぇに近寄っても起きたりしねぇのは、おめぇがオラに慣れたから?安心してっから? どっちにしたって嬉しいけどな。






おめぇの髪がスキ、デコがスキ、眉毛がスキ、目も、それを隠してる瞼も、それに付いてる マツゲもスキ、鼻がスキ、口がスキ、ほっぺたがスキ、何よりおめぇがすげぇスキ。
「おめぇだってそうだろ?」






何だかこれって






「・・・スイミンガクシュウ?」












――キライ――






何となく――ただそれだけの理由で。






「もう止めるか。」
「・・・・あぁ。」






わざわざ説明しなくても、今交わされている口づけや、適当に頼んだ大量のピザからなる 昼食の話ではないことくらい、いくらバカな男でも分かったらしい。
たったこれだけのやりとりで崩れ去っていくなんて、なんて薄っぺらな関係。






太陽が照ることに苛立って、太陽が照らないことに苛立って、雲が空を覆うことに苛立って、 雲が空を覆わないことに苛立って、雨が降ることに苛立って、雨が降らないことに苛立って。 何もしてこないバカに苛立って、結局自分に苛立った。
あれだけ長い時間をかけて精神を鍛えたのに、壊れるときは一瞬だな。そう思うと何故か 笑えた。






刹那、慣れ親しんできた身震いと、紛れもない大きな気をどこかで感じて。――それだけで 心臓は驚くほど早く脈打ち、体温は一気に上昇し、身体はいつの間にか空を飛んでいた。






「・・・・・おかえり。」
「・・戻ってきてやった。」
「アリガトウゴザイマス。」






ふっと微笑む顔を向けられて嬉しかったなんて、なんて単純な感情。でもこんなこと、例え あの世で逢ったって絶対に言ってやらない。












――汚名返上――






別に、ベジータのことが嫌いになった訳じゃねぇ。実際セックスの回数だって変わらねぇし、 手を抜くなんてこともしてねぇ。今オレの下で顔を赤くして、トロトロの目でちょっと掠れた声を あげてるベジータは、冗談抜きで食っちまいたいくらい可愛い。だけどふとした時に、 何となく思っちまうんだよな。・・・・・オレたち付き合いだしてからもう4年かってさ。やっぱ これってマンネリ?






いやいや絶対認めねぇ!例え突っ込んでる最中に、明日の朝何食おうとか思ったことが あっても、オレたちは宇宙最強に愛しあってんだ。けど何となく、このままじゃヤバイ気が する。あと何年かしたら、顔見るのも嫌になっちまう気がする。
それを阻止するには、 やっぱ雰囲気から変えてかなきゃなんねぇだろ。だから、何となく、意味も無く、言って みただけなんだ。ベジータのケツから指を抜いて、むちゃくちゃ元気な息子を突っ込み ながら。






「フュージョン!・・・ってか?」






別にオレだって、ニコニコしながら「俺を笑い死にさせる気か?コイツぅ〜」とか言うベジータ を期待してた訳じゃねぇ。断じて違う。けど、爆笑はしなくてもプッと噴き出すくらいは するんじゃねぇかと思ったんだ。
なのに実際の部屋の温度はガンガンに下がってて、 ベジータは道端のゲロを見るみたいな目でオレを睨んでて。マズったか?と思った瞬間、 オレの腹にベジータの足の裏がめり込んでいた。






「ご、誤解だって!深い意味はねぇんだ、ベジータ!!」
「・・・・・・・。」
目の前で何も言わずに服を着ていくベジータを見て、やっと自分の犯した罪のデカさに 気づいた。・・・ギャグ嫌いだったんだな、こいつ。とにかく焦って弁解しまくってるオレを 無視して服を着終わったベジータは、相変わらず道端のゲロ視線でオレを睨んで。
「・・・・萎えた。」
低い声で自分の状態を宣言して、そのまま窓から飛んでいった。






ぼんやりしてるヒマなんかねぇ。名誉挽回の空中ピンクショー。決め手は勿論テクじゃねぇ、 オレの心意気だ。まだどっかへ飛び続けてるベジータを追う前に、まず目指すは便所。 一応カギをかけて、華麗な空中ピンクショーでマンネリが解消されることを願いながら、 オレはゆっくりと、むちゃくちゃ元気なマシンガンに手を伸ばした。

なんだかもう本当に申し訳ないですorzお馬鹿ネタばかりですみませ・・・っ! 似非シリアスやら甘いのやらが紛れ込んでいることが、更なる居た堪れなさを誘います。 こんなもんばっかり置いてあるサイトですが、どうかお付き合いしてやって下さいませ(泣)