身体を寄せあって、お互いの熱を分け与えるような穏やかな夜は、 冷酷なことばかり口にするベジータも、ほんの少しだけ正直に、 饒舌になってくれるから、普段はヘラヘラと笑っている悟空も、 真剣な表情で愛を囁いたりなんてしてしまうのだ。 ハッキリと言葉で示さなくても、 首筋に回された腕の確かさに、少ない語彙の中から一生懸命言葉を捜す姿に、 お互いが寄せる思いなんてすぐに伝わってしまって。小さな痛みと、 思わずにやけてしまうような大きな満足感を胸に、 いつか溶けあってしまえるくらい強く抱きしめて、キスを送る。 それは、至福の時間。 「ベジータ・・・オラ、何て言っていいか分かんねぇけど・・。」 「・・・ぁ・・カカ、ロット・・・・。」 「すげぇ好きなんだ。おかしくなっちまいそうなくらい。」 「ひぁ・・・んっく、アッ。」 首筋を辿り胸の突起に口づけると、うなじを掻き抱く腕に力がこもり、 ベジータの身体がビクッと大きく震えた。その反応に にっこりと笑みを浮かべ、悟空は強く抱きしめれば 折れてしまうのではないかと思わせるほど細い腰を そっと腕で包んだ。桃色の耳朶に唇を寄せる。 チュッと弾んだ軽やかな音に、ベジータの耳が苺色に染まった。 「ふぅ・・・カカロ、ット・・・・ん。」 「守りてぇってのかな・・・おめぇがつえぇのは分かってんだけど、ッ!」 突然頬に張り裂けんばかりの痛みを感じ、 気付けば自分の身体が壁に叩きつけられていた。目を見開き ただ茫然とする悟空の前で、ベジータは一人黙々と先ほど脱がされた服を 身につけていく。甘やかな時間が崩れていく音に我に返り、 慌てて詰め寄ろうとする悟空に見慣れた道着を投げつけた。 「・・・ベジータ?オラ、何かしたか?」 「何かしたかだと?・・・俺も堕ちたもんだな、カカロット。」 「何、言って・・・・・。」 「貴様なんぞに守られる存在に成り下がった自分が悔しいぜ。」 「オラそんなつもりで言った訳じゃねぇ!!」 「言い訳は聞きたくない。それを持ってさっさと帰れ。二度と現れるな。」 向けられた背中がすべてを物語っているようで、 取り付く島もない姿にもたらされた、この関係が終わってしまうのではないかという 不安を、ぐっと拳を握ることで何とかごまかす。 今ベジータに何を言っても 無駄なのかもしれない、それが少ない自分の言葉なら 尚更なのかもしれない。それでもここで諦めて帰るわけには いかなかった。そんな生半可な気持ちで彼を好きになった訳ではないのだから。 「何で分かんねぇんだ?大事なもんを守りてぇって思うのは、普通のことじゃねぇか。」 「帰れと言ったのが聞こえなかったか?」 「やだ。オラぜってえ帰んねぇ。」 「何?」 「おめぇがいねぇとダメなんだ。おめぇがオラのこと 嫌いになっちまったって、ぜってえ帰んねぇ。ずっとここにいる。」 チッと小さく鳴った舌打ちの音に身体を強張らせた悟空のことなど無視して、 ベジータはシーツをかぶり一人で寝てしまうようだった。 どれだけ拒否されても構わないと耳元に顔を寄せる。 「おめぇの気を悪くさせちまったことなら謝る。けどオラはおめぇが好きだ。これだけは 何があったって変わんねぇ。守りてぇって思うこともだ。何されたって、 何言われたって、オラは死んでもベジータが好きだ。」 「・・・・・・俺はなぁ、誰かに守られるなんて絶対に嫌なんだ。」 「・・・すまねぇ。」 シーツの中から漏れる硬い声に、途端に申し訳ないという思いが増す。嫌われても 仕方ないのかもしれない。彼の心を踏みにじってしまったのは、事実なのだから。 「相手が誰だろうと絶対にだ。それを捨てろと言うのなら、俺は死を選ぶ。」 「・・・・・悪ぃ。」 「・・・だが、貴様も同じなんだろ?」 「・・・・え?」 「その思いだけは、捨てられないんだろ。」 「あ、あぁ!じゃ、許してくれんのかっ?」 ようやくシーツの海から顔を出してくれた恋人をそれごと抱きしめ、 思わず頬を擦りつけた。グリグリと押しつけた頭を後方から伸びた手に 軽く叩かれ、嬉しさのあまりベジータの身体に廻した腕に力がこもる。 「許したわけじゃない。認めただけだ。」 「何言ってるか分かんねぇけど、オラすっげぇ嬉しい!おめぇがほんとに好きなんだ。」 「もう分かったから黙って退け。」 「やだ!もうおめぇのこと放さねぇって決めたもんね。」 「・・・バカか。」 「おう。オラベジータバカだ。」 「・・・・・・。」 ニコニコと満面に笑みをたたえながら馬鹿げたことを口にする男に、 もっと怒るべきだったかと小さく溜め息を吐いたベジータを抱きしめながら、 悟空はこのまま続きをしても良いものかどうか、頭を悩ませていた。常ならば 己の欲望に従うことを厭わない悟空であったが、 さすがにこの雰囲気を壊してしまう勇気はなかったのだ。 「・・・・・・えっと、その、ベジータ?」 「フン。貴様の考えていることを当ててやろうか?」 「いぃ!?ベ、別にそんなことっ。」 「俺と同じだ。」 「・・・・・ッ!オラおめぇのことほんとにすっげぇ大好きだ!!」 「それはもう分かった。」 夜はまだ、これから。 |
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you...の夕璃様に、初相互リンク記念として無理矢理押しつけたSSです(またですか) |