パオズ山に向かって一直線に飛んでくる気、それはベジータさん以外にあり得なかった。 いつも我慢が利かない犬のように、全身から気を溢れさせながら超スピードでやって来る んだ。人混みで迷った子供が必死にジャンプしているのにも似ていて、いつの間にか上が っていた口角が戻ってくれない。 凍るような渦に呑まれた貴方が、どこよりも先に僕のもとへ来てくれる。その事実だけで、 それ以上何も望むことは無いような気にさせられる。ベジータさんは僕を呆れるほど謙虚 な人間に変える天才だった。だってまさか、ここが貴方を受け止める場所になるなんて。 僕はいつだってこっそりとベジータさんを待ち受けていた。 「服を脱げ。とっととやるぞ」 邪魔が入らないように、移動していた草原に降りたベジータさんの第一声は、案の定それ だった。こういう正直さも堪らない。堪らないけれど、もう少し恥じらってほしいとも思 うのは我が儘なんだろうか。例えば顔を赤くしてみたり、瞳を潤ませてみたり。だって脳 味噌が浮き上がるくらいに可愛いに決まっている。 「それしか頭に無いんですか?さすが猿の王子様だ」 「嫌なら良い。他を当たる」 羞恥の片鱗すら見せず、中途半端に僕のズボンを寛げたまま、彼はあっさりと背中を見せ た。うなじを嫌な汗が覆う。彼は嘘や脅しを口にする人では決してない。飛び去ろうとす る手首を慌てて掴んだ。 「ウソウソ、今のナシ!冗談です!思う存分盛って下さい」 「くだらんことを言うくらいなら黙ってろ」 王子様は優雅に振り返った。僕は己の威厳を犠牲にして、他と較ぶべくもない快感と、気 紛れな王子様とが織りなす至高の一時を手に入れた。それも彼の得意気な笑顔という豪華 なオマケ付きで。 最初からおとなしく謙虚にしていれば良かった。 「ねぇ、おいしい?」 「・・んんっ・・・・ふ」 ペニスをしゃぶる頬に指を滑らせ、ついでのように耳朶をくすぐると、彼の身体が大袈裟 に震えた。まったく何度経験しても信じられない。目許を赤らめ、僕の股間に顔をうずめ ているのは、あのベジータさんなのだ。 普段は悪罵や嘲笑をかたどる唇と舌が、僕のぺニ スを這い、扱き、味わっている。 散らばる意識、一体どこが現実なのか忘れてしまいそうだ。 「教えて、下さい。・・ッ、僕の、おいしい?」 「ふ・・・ん、ぅ」 月光にぼんやりと浮かぶ白い肌を少しでも現実に引き寄せるように、半ば独り言めいたも のを垂れ流す。僕の吐き出す言葉が貴方をこのまま縛り上げてしまえば良いのに。本当は、 僕以外の誰かに必要とされる貴方なんていらない。 「ねぇ、貴方はとても、おいしいですよ。甘くて、熱くて・・・くっ」 「お前は少し饒舌すぎる」 離れ際に先端を強く吸い上げたベジータさんが、とどめのように首筋を舐め、とうとう僕の 口は封じられた。 「おしゃべりしに来たのか?」 「・・いいえ、貴方を食べに来ました」 「食われる前に食ってやるさ」 腸壁をまさぐる指が前立腺を掠める度に、絡めあった舌から痙攣が伝わる。組み敷かれた 彼の姿は恐ろしく正確に劣情を刺激した。快楽に忠実な瞳は焦点を忘れ、唇は嬌声を躊躇 わない。 気づけば首許に歯を立てていた。僕は獣そのものだった。本当に貴方を食べるには、一体 どうすれば良いんだろう。 「あぁっ・・も、いいかげん、いれろっ、よ、ばか!」 「我慢できそうにないですか?」 「ヒッ・・・ツ、ぅ、はやくっ」 新しく刻んだばかりの歯形を舐めると、ベジータさんは背をのけ反らせて苦しそうに首を 振った。この身体を僕のつけた傷で埋め尽くしてみたい。だらだらと血を流しながら、そ れでも彼は気持ち良さそうに眉根を寄せてくれるだろうか。 ベジータさんを前にすると、僕はまったくの獣だった。辛うじて生き残っている理性の端 を必死で探す。 「しつっこいぞ、おまえ・・・っ!」 「僕を食べるつもりですか?」 「・・・・そうだ」 いきなり突き飛ばされたかと思うと、腹の上に彼がいた。 息を荒げたベジータさんが、僕 のペニスを呑み込んでいく。ざわめく肉襞をメリメリと押し拓く。痛みに引きつるアナル は容赦なく僕を絞めつけた。思考が白く濁っていく。 「ふぅ・・・っく、アァ!」 彼の熱と肉が生々しく神経を揺さぶる。僕のペニスがベジータさんの身体を穿ち、体内を 荒らしているんだ。すべてを突き崩していくような、僕が突き崩されていくような。 貴方に伸ばした指が何かを掴むことなど無いと思っていた。貴方はきっとこの指を摺り抜 けてしまうから。だけど確かに感じる彼の重み。今更何を抑える必要がある。 「力、抜いて。いつも、あんなに上手に、咥えてるでしょう」 「・・・・・ッ!」 魚のように何度も唇を開閉しながら、彼は白い飛沫を吐き出した。脱力しきった身体は呆 気なく僕を食らった。ベジータさんは声を発することもできないまま、顎を突き出し痙攣 を繰り返している。 満月を背に蒼白い光をまとう彼は、まるで幻想じみていた。 急に重力が半分になったような違和感が浮かぶ。世界を支える天秤が傾いたんだ。僕は知 っている。これは心許なさと孤独の種だ。ほら、さっきまで確かにあった貴方の重みが、 するすると夜空へ逃げていく。 嫌だ、折角触れられたのに。せめてこの手に掴んだものは、二度と失くさないと決めたの に。お願い、置いて行かないで。貴方となら、何かを共有できる気がしたんだ。バカみた い。 「ひぁあ・・・!ま、って」 嫌だ、嫌だ、ここにいて。共有なんかしなくて良い。側にいて、触れあって、貴方に刻み つけた僕が、二度と消えなければそれで良い。傷や痛みだとしても構わない。多分その方 がずっと良い。お願い、僕を置いて行かないで。 「・・ごはっ、ヒ、ァ、アアッ!」 揺さぶることしか頭に無かった。細かい痙攣を繰り返しながら精を放つ彼の腰を掴み、収 縮するアナルへ無理矢理ペニスをねじ込んだ。迸った精液がぐじゅぐじゅと苦い音をたて た。 だって凍るような孤独がすぐそこで待ち構えているんだ。貴方をここから逃がさないため に何ができたの。そのためなら僕は何だってする。 迷子さながらなのは僕の方だ。真っ暗な孤独を宿す貴方の瞳だけをいつも探している。そ の漆黒の波に呑まれた時にだけ、僕の背後に潜む孤独は混ざりあって孤独ではない何かに なった。貴方だけだ。この世界で貴方だけが僕を解放してくれる。 「ねぇ、目、見せて」 「・・・ッ・・」 そっぽを向いていた彼の顎を掴むと、静かに瞼が開かれた。知らず溜め息をこぼしていた。 この色だ。何よりも深く何よりも暗く、僕を拒みもせず受け入れもせず、涙を湛えて震え る孤独の結晶。 背筋を凍らせていた恐ろしい渦は、いつの間にか胸を鷲掴む熱情へと変わっていた。 「・・・・ッ、んんぅ!」 恐らく反射的に口づけた。粘膜をまさぐりながら睨みあった。目を逸らしさえしなければ、 僕を貴方の瞳に焼きつけられる気がしたんだ。 漆黒の波は静かに揺れている。僕の愚かな幻想を笑うでも歓迎するでもなく、すべてを知 っていながらただ静かに揺れている。貴方が時折見せるその優しさだけは、一度も疑わず にいられた。 ベジータさんはきっと、僕と世界とを結んでくれる最後の糸なんだ。 腰を揺するとベジータさんは小さく藻掻いた。濁った音をたてて情欲が襲ってくる。逃げ 道はどこにも無い。彼だって少しくらいは僕に翻弄されれば良いのに。 「ふ・・・・ァッ」 ふいに手のひらに温かな感触が広がった。危うく舌を噛みそうになった。だって、まさか、 信じられない、こんなこと。 「・・・カ、ワイイことするんですね、意外と」 ベジータさんは一言も返してくれない。赤く染まった頬を背けて、敗北でもしたように唇 を噛んでいる。顔がだらしなく緩んでいくのが自分でも分かった。 「・・んぁっ・・・はぁ」 ベジータさんが繋いでくれた指に力をこめて、ゆっくりと後孔を掻き回す。もう言うべき ことは何も無かった。手のひらから伝わってくる温度がすべてだった。 必死に伸ばした僕の指を、しっかりと握り返してくれる貴方がいる。どこでもない場所で 迷う僕を、貴方はこうして鮮やかに掬い上げてくれる。彼を翻弄することなど、僕には一生 できそうにない。 まだこっちを向いてくれない彼の身体を浅く突き上げた。いっそうんざりするほどの快感 で包み込むように。 「くっ、んん・・・・!」 やっぱり謙虚にしていれば良いことがあるじゃないか。頬を染めて瞳を潤ませる本物のベ ジータさんは、想像以上に、脳味噌が飛び出るくらい可愛かった。 |
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日記用が膨張したのでこちらに。構成力も無いのに飯に色々と詰め込みすぎて、
一貫性がなくなりました・・・すみませorzとりあえず飯は常に無意識に怯えていれば良い。 |