――欺瞞――
馬鹿な男与えることなんて思いつきもしないで 愛だの温もりだの、無意味なものばかりを俺に求めて 見つかるわけがないのに 躍起になって俺の中を探るなんて 本当に馬鹿な男 逃げないように足枷まではめて こんな物いつだって壊せるのに 逃げない理由がないように 逃げる理由もないだけなのに 馬鹿な男 家族にも仕事にも資産にも満足できずに 最後に求めるのが男だなんて せめて愛とやらを返してくれる 従順な男を探せばいいものを 虚しい言葉を囁いて 生理的に昂ぶる身体を押し開いて 残るのは傷跡ばかりなのに 一時すら現実を忘れたことなどないくせに 愛してるだって? 本当に馬鹿な男 |
――紅――
紫煙を吐き出しながらふと見上げた空に浮かんでいたのは、
闇を引き裂いたような紅い月だった。凍りついた血のような、深海のような紅。
視界の端にちらつくそれに、気づけば煙草のフィルターを噛みしめていた。太陽のように煌々と辺りを照らす訳でもないそれから目を逸らせないのは、 自らをそれに重ねているからとでも言うつもりか。・・・馬鹿馬鹿しい。 そう吐き捨てた筈の独白は、しかし音に乗ることなく白々しく散っていった。 低空を彷徨い電線に絡まるそれは、あるいはオレに通じるところが あるのかもしれない。形式めいた抵抗すら見せなくなったお前に未練がましく 枷をはめるのは、自由を奪うためではなくお前に捕らえられた己を 無様に示すため。 痩せ細ったお前の足首ならそこから抜け出すことも容易い。 それでもお前が逃げ出そうとしないのは・・・・・妄想だな。 未だに煙を嫌うお前のそばで、煙草一本吸えやしないなんてな。 ・・・どっちが主人なんだか。それでも夢におちたお前にすら近づけず、 窓辺で紫煙をくゆらすオレの姿はさぞや情けないのだろう。 苦笑しか つくれなくなった唇を曲げ、歪んだ煙草を揉み消し、ゆっくりとお前の髪に触れる。 振り返れば紅い月は雲に覆われ、ただ朧げにかすんでいた。 |
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特にプロットを立てた訳ではなく、ただ思いつきのみで書いておりますので、
続くのか続かないのかは私にも分からないのですが、できれば
続かせたいなと思っております。続きが読みたいと仰って下さった
お二方、本当にありがとうございました!!
シリアスは好きな筈ですのに、どうにもエセくさいものしか書けないのですが、
宜しければお付き合いいただければと思います。 |