「・・・ラディッツ、ラディッツ。」
久しぶりに勝ち取った仮眠をここぞとばかりに貪っているのに、 ぐっすり眠りたいという俺の意思を完全に無視して与えられ続ける 揺さぶりと囁きに絶対起きてやるもんかと意地を張った俺は、 浮上してしまった意識をなだめすかして再び夢の中へ落ちようとしていた。
「・・・・・何回呼ばせれば気が済むんだ!!」
突如浴びせられた怒声と突風に思わず目を開けば、 何故か部屋のある階すら違う筈のベジータが俺の身体に跨っていた。
「・・・う、どうしたんだベジータ?」
「貴様が何回呼んでも起きないからっ。」
「そうじゃなくて、何で俺の部屋にいるんだ?」
「・・・・それは、その・・・。」
流石に戦闘力の高い奴は放出する気の量も違うと、 身を起こすときに僅かに感じた痛みに眉をしかめたからか、 見当違いな答えを出すベジータに再度問いかければ、 明哲なコイツが珍しく言いよどむ姿が見れた。
頬を若干赤らめて、その上視線を彷徨わせるベジータなんて めったに見れるものではない。 すっかり目が覚めてしまった俺は、大いに好奇心を刺激するベジータで遊ぶことにした。 哀しいかなとっくの昔に俺の戦闘力を超えてしまったベジータが 俺に遊ばれるなんていう光景もよっぽど貴重なものだった。
「なんだよ、怖い夢でも見たか?」
「・・・子供じゃないんだぞ。」
そう言って拗ねる姿は十分子供なのだが、 たかがお遊びで半死半生の目にあわされるのも困るのだ。 命がけの遊戯はスリルと焦燥を与えてくれる。
「じゃぁ、一人で便所に行けねぇとか?」
「・・・・・だから、子供じゃないって言ってるだろ。」
段々と間の多くなってきた返答に緊張が高まった。
「なら何の理由があるんだ?俺に用事か?」
「その・・貴様が、寂しそうだったから・・・・一緒に寝ようと思ったんだ・・・。」
バクバクと恐ろしい速さで送り出された血流は、たちまち俺の顔いっぱいに広がった。 自分でも頬が火照っているのが分かる。・・・・・・嬉しい。 自分の乏しい語彙からは平凡な言葉しか出てこないのが悔しかった。
あの自尊心の塊で、戦闘と栽培マンのことしか考えていないようなベジータが 俺の言葉を覚えていてくれて、こうして行動に移してくれて。 不意打ちの行動は、今までに喰らった攻撃の中でも一番の破壊力があった。
「い、嫌なら帰る。」
ずっと黙っていた俺に焦れたのか、今更羞恥心がこみ上げてきたのか、 くるっと振り返って出て行こうとするベジータを思いっきり抱きしめた。 いつもは必ずされる拒絶という行動が無いことにまた喜びながら。
「・・・覚えててくれたんだな。」
「・・・当たり前だろ。」






今日制圧したのは名も無いような小さな星だった。 さして時間もかけずに果たされた軍務の通達が行き届くのを待たされ、 手持ち無沙汰に赤茶けた土の上に寝転んでたわいも無いことをぽつぽつと話す。 支配された貧相な星にはそれくらいしかすることが無かったのだ。
「・・・もう何年になるんだろうな。」
「何がだ?」
「今日は命日だぜ。惑星ベジータと俺の親父と、ベジータ王の。」
あの頃は何もかもが楽しかったなぁなんて、年寄りくさく今は亡き母星と男に 思いを馳せる俺たちをまだ若いベジータはフンと鼻で笑っていた。
「・・・そんなどうでもいいことを考えてる暇があったら修行でもしてろ。」
そう言ってどこかへ行ってしまったベジータを見送って てっきりその話は終わったと思っていたのに、 まさかこんなオマケが付いてくるとは思いもしなかった。
「俺さ、気が利いた言葉とかは一つも言えないけどさ・・・。」
「うん。」
「本当に嬉しいと思ってる。マジで、ありがとな。」
「・・・うん。」
「すごい好きだ、お前のこと。」
「・・・・・うん。」
俺よりもずっと小さな身体を抱きしめて、 とにかく感謝の気持ちを伝えたくて必死に言葉を紡ぐ。 まだ愛してるとは言えない俺と、好きだとも言えないベジータは 案外お似合いなのかもしれない。
「・・・へへ。」
「な、何笑ってやがる。今度笑ったら一緒に寝てやらんからな。」
「ちょっとは容赦しろよ。嬉しすぎて笑うしかないんだからさ。」
「・・・今日だけ、だからな。」
「ああ、分かってる。」
「明日になったら殴るからな。」
「それは困る。」
「俺が修行してやるんだから感謝しろよ。」
「はいはい。」
まったく可愛くないことばかり言うベジータの額に口づけて、 寝るか、という俺の言葉にこくんと頷く姿にやっぱり可愛いかもしれないと思い直して、 相変わらずヘラヘラしながら、それでも腕の中の身体だけはギュッと抱きしめて、 久しぶりに訪れた深い眠りについた。
いつか、俺がベジータに愛してると言えるようになって、 ベジータが俺に好きと言ってくれるようになるまでは、一緒にいたい。 戦闘でボロボロになっても帰れる場所があれば、 あんなに待ち焦がれていた熟睡が簡単に手に入ったように、 一発で癒されるはずだから。





翌朝なかなか起きなかった俺は、ベジータの宣言通りに思いっきり殴られた。

当サイト初のリクエストをいただいた小説です。 リクエスト内容は「プラトニックで甘々なラディベジ」でした。 あ、あまあ・・・ま?(聞かないで下さい)
す、すみませんっ!!ご覧の通りキモイだけのラディッツです!! 折角素晴らしいリクエストをして下さいましたのに、 この活かせていないっぷりがいっそ見事ですね☆(お黙りなさい)
リクエストして下さいました月條現矢様のみお持ち帰り自由ですので、 煮るなり焼くなり踏み潰すなり(?)して下さいませ。 へ、返品不可ですので・・・! 嘘です、言ってみたかっただけです。返品お待ちしております(死)
補足説明致しますと、うちの王子は栽培マンに夢中です(どうでもいいです)