夢の終わりはいつも唐突にやってくる。
弾かれたようにぱちりと目を開けたベジータは、無意識に冷えた シーツを探る右手を見つめ自嘲的な笑みを浮かべた。 昨夜熱いとまで感じたそれが、朝になればすべてを拒否するように 鈍く光を反射させながら無機質な感触ばかりを与える。 自分たちの関係を思えば当然のことだ。 そこに空虚を感じる必要性も必然性もなかった。
「・・・・馬鹿じゃないのか。」
それでもわずかな胸のざわめきを抑えられぬ自分に 気の迷いと無慈悲な判断を下し、小さく舌を鳴らしたベジータは バスルームへと足を運んだ。






シャワーを浴び幾分かすっきりとした筈の心境は、 けして小さくはないテーブルを埋める大量の朝食と、 それを貪る一人の男によって再び暗澹の中へと引き戻された。 思わず黒瞳を見開きながらも、平静を装って男の向かいに腰掛ける。
「何で貴様がここにいるんだ。」
「いちゃ悪いのかよ。」
「良いわけがないだろう。第一ブルマが、」
「そのブルマが朝飯食ってけっつったんだから文句ねぇだろ。 そういやあいつ仕事か何かで一時間くらいどっか行くんだってよ。 もう一回ヤッとくか?」
「黙れ。食べたらすぐに帰るんだ、いいな。」
「・・・素直じゃねぇの。オレを見て嬉しそうな顔したくせに。」
「・・・・・・・・・。」
にやにやと下品に口唇を吊り上げる表情にさえ苛立ちが募る。 忌々しげに舌を鳴らし、何を言われても無視してやると心に堅く決した筈の誓いは、 ふと胸をよぎった違和感にあえなく崩れ去っていった。 ゆっくりと顔を上げたベジータの表情が固まる。 無意識にごくりと唾を飲みこむ。ぞくりと不愉快な音をたてて、全身に鳥肌が走った。






赤みがかった肉魂を、時折覗く白い歯が引きちぎり、噛み砕く。 咀嚼に合わせて鋭い顎のラインが上下する。 内臓へと伝い落ちていく肉片が、浮き出た喉仏を動かす。 鮮やかに色づく舌が、脂でぬらぬらと光る下唇を辿る。 何かが静かに壊れ始めていた。ここが自宅の居間であることも、 すぐに家主が帰宅することも、同じ屋根の下に子供がいることも忘れ、 テーブルの上を獣のように這って進む。
押しのけられた食器があげる甲高い悲鳴すら耳には届かなかった。 その唇で卑猥な言葉を紡いで、その歯で尖った胸の突起を弄って、 その口腔で張りつめたペニスを扱いて、その舌で浅ましく収縮を繰り返す 後孔をねっとりとくすぐってほしい。理性の崩壊をおぼろげに感じながら、 最奥に叩きつけられる圧倒的な欲望に翻弄されたい。
じわじわと熱に思考が侵食されていく。口内から漏れる溜め息すら熱い。 怪訝そうな表情を見せるカカロットの腿に跨り、 まるで盛りのついた動物のように、形を変え始めた陰茎を厚い腹筋に押しつけながら、 わずかに肉の匂いが残る男の口腔へぬめった舌を挿し入れた。 後頭部を掴み、少し高い位置にある頭を引き寄せ、 差し出された舌を、混ぜあわさった唾液をすする。 月草色の瞳に映った顔は、己が身を覆う貪欲な本能にうっとりと歪んでいた。






脱がせることすら億劫で、殊更ビリビリと音を響かせながら道着を破っていく。 禁欲的である筈のベジータの行動に少し驚いたような顔を見せたものの、 カカロットはされるがまま大人しく椅子に座っているどころか、 一緒になってベジータが身にまとうTシャツやジーンズを破いていった。 蛍光灯に照らされたベジータの媚態に満足げな笑みを浮かべる。
「なぁ、マジでどうしたんだ?飯食ってたオレに盛ってんのか?」
「うるさい。大人しく・・ッァ!さわる、な・・・はんっ・・きょ、うは・・・・おれがっ。」
「オレのケツ掘るって?・・・無理だと思うぜ。」
震える手で執拗に胸を撫でる指を掴むと、 思いの外あっさりとカカロットの腕から力が抜けたことに気をよくしたベジータは、 無残な姿で床に放り投げられた、かつてはズボンであったのだろう山吹色の 布切れを掴み、男の上半身を椅子の背に固定させた。 ちぎれてしまわないように注意を払い、ほどほどの力で布の端と端を結ぶ。 それでも男が平然とした態度を崩すことはなかった。
「・・・・なぁ、何か意味あんのか?」
「大人しくしてろ。」
「分かったよ。」
とりあえずは何も行動を起こすつもりはないらしい男の様子に口角を上げ、 ご褒美とでも言わんばかりにカカロットの乳首に唇を寄せる。 それでもカカロットは満足そうな笑みを浮かべるばかりで、 嬌声をあげるどころか、ピクリと身体を震わせることすらしなかった。
「何も感じないのか、鈍感。」
「感じねぇっつうよりくすぐってぇな。 オレが鈍感なんじゃなくてお前が敏感なんだよ。」
「・・・・もういい。」
折角の愛撫も、施される者が何の反応も示さないのであれば意味は無い。 眉間に数本の皺を刻んだベジータは、床の上に膝を折り、 本人の了解を得ぬまま最後に残った白い布を左右に引き裂いた。
わずかに頭をもたげた逞しい男根に、躊躇することなく恍惚しきった顔を寄せる。 秘所に収められることが不思議なほど勇ましい雄身をすべて口に含むことはできず、 亀頭をすすりながら幹を手で扱く。独特の青臭さが口内から鼻腔へと抜けていく。
ふと顔を上げると目に入った、眉根を寄せて吐精を耐える男の顔に ベジータの中芯が昂ぶる。脳裏に浮かぶのは、カカロットの熱い肉棒に穿たれ 快楽に背をきしませる己の姿。最奥を突き立てられる衝撃までもが思い出され、 ベジータは期待にこくりと喉を鳴らした。
「美味いか?」
「・・・ん、ふっ・・・・おいしぃ・・・。」
「お前すげぇ気持ちよさそうな顔してるもんな。オレもすげぇイイ。」
「ぁ、ダメ・・・だぞ。」
わずかにカリを膨らませたカカロットの陰茎の根元を慌てて掴んだ。 今求めているのは、痛みをもたらすほどの硬さなのだ。 ここで吐精を許す訳にはいかなかった。






一度も触れられていない筈のベジータのペニスはすっかり形を変え、 とろとろと雫を漏らしてさえいる。際限なくカカロットを求める自分を 病気かと疑う余裕すらないまま、ぐずぐずと溶けた秘所にはちきれんばかりの 雄を迎えようと、逞しい腿に片腕を廻し、反り返った男の陰茎を握った。
「がっつくなってベジータ。そのまま入れたって痛ぇだけだぜ。」
「・・・・うるさい。」
「サイコウに気持ちよくなりてぇだろ?オレが教えてやるって。」
「・・・え、えらそうだぞ、カカロットのくせに!」
やはり快楽を求める貪欲な本能には逆らえず、それでも椅子に縛られた格好で にやりと笑って見せる男の意のままに動くのは癪にさわる。はいはいと適当ないらえを 返すカカロットを睨み、ベジータは渋々といったふうにカカロットの膝へ腰を下ろした。
「まずオレにキスして。」
「何の意味があるんだ?」
「別にオレがしてぇだけ。けどお前だってそうだろ?」
「・・・勘違い野郎・・・・・目、閉じろよ!」
「・・・・分かったよ。」
男が瞼を下ろしたのを確認してから堅く目を閉じ、触れあうだけの接吻を 交わすつもりだった。しかし重ねた唇の熱さに驚き離れようとする前に、 口腔に伸ばされたカカロットの舌に捕らえられてしまう。奥で縮まった舌を 解すように吸われ、くすぐられ、痺れが脳髄へと伝う。じわりと新たに 溢れた先走りの液体がペニスを伝う感覚に、ベジータは小さく苦笑を漏らした。
「・・・・な、気持ちよかったろ?」
「まぁまぁだな。それより早く・・・貴様がほしい。」
「焦るなって。すぐに気持ちよくしてやるからさ。・・まずは胸、いじって。 ・・・・・オレはいつもどんな風にお前を愛してる?」
「・・・・・んっ・・・いたい、くらぃ・・ぁ・・・さわ、る。」
いつも執拗なほど与えられる男の愛撫を模倣する。ぷっくりと膨れた乳首を 押しつぶし、擦り、爪で弾き、男の脚の上でゆらゆらと淫らに腰を振る。 熱のこもったカカロットの視線に犯され、まるで彼に触れられているような 感覚に陥る。それでも吐精寸前の火照った身体が拙く穏やかなそれに満足する 筈もなく、一向に与えられない確実な快感を求め、ベジータは愉悦しきった 微笑みを浮かべてばかりいる男を、滲む視界の中で睨みつけた。
「・・・・・・たりない。」
「お前ほんとに我慢するのヘタだよな。・・淫乱。」
「・・・・ん・・・。」
整った薄い唇から吐き出される低い囁きすら、快楽を深める手段の一つ でしかない。淡く染まった耳朶をくすぐる淫猥な言葉に、ピクリと身体を 震わせながら甘い息を吐いたベジータを見つめ、自由を奪われている筈の男は 楽しげに己の唇をぺろりと舐めた。
「どれでもいいから指舐めて、グチョグチョになってるケツの穴に突っ込むんだ。 やり方は分かるだろ?オレがいつもしてるようにすればいい。」
「・・・・・ふぅ・・・んっ、はぁ・・・・。んゃっ、あ、あぁ・・・!」
顔を赤らめながらうっとりと己の指を口に含み、くちゅくちゅと湿った音をたてて唾液を滴らせ、 収縮を繰り返す後孔に触れる。切なげに寄せられた眉根と弾かれたような 嬌声に、カカロットの中芯が一層その熱を上げた。
「どうなってる?お前のそこ。」
「はぅっ・・・あ、ヒク・・ヒクしてる・・・・っ。」
「ははっ。いやらしい王子様は、オレのデカイのがほしくて堪んねぇんだもんな。 トランクスにでも見てもらえよ。オレの咥えてヒィヒィ善がってるとこ。」
「やぁっ、だ・・・め!」
「想像してビショビショに濡らせといて、何が嫌でダメなんだ? 今もガバガバの穴にオレのを突っ込んでほしいんだろ?物足りねぇって顔してるぜ。」
カカロットの下品な言葉にがくがくと必死で頷く。指よりも太く硬い肉棒を求め、 ベジータの秘所がきゅっと縮む。ざわめく襞に指をくすぐられ、熱い肉棒に最奥を 蹂躙される鮮烈な快感を思い起こし、ベジータの口角から一筋の唾液が垂れた。 カカロットの唇から小さな笑いが漏れる。
それを合図にしたように、指を後孔に埋めたままカカロットの口腔を貪った ベジータは、逸る心を抑えきれず反り返った男根を陶然と飲みこんでいった。 十分に解されなかった後孔がもたらす引きつったような痛みも、熱に浮かされた ベジータには甘い快楽となる。






それでも内臓を掻き回されるような嘔吐感からは 逃れられず、うわ言のように男の名を何度も呟きながら男根をすべて 収めるころには、ベジータの身に巣食っていた妙な焦燥感や飢餓感は、 跡形もなく消え去っていた。唯一残った、絶頂だけを求める強い衝動に任せ ゆっくりと腰を回す。身を抉る屹立と快感の確かさに頬を染め、うっとりと 嬌声をあげるベジータの姿に、カカロットは思わずごくりと唾を飲みこんだ。
「ベジータ、これ破ってもいいか?これじゃお前を抱きしめられねぇ。」
「ひぁっ、んん・・かってに、しろっ。」
存外簡単にもらえたお許しに嬉々として両腕に力を込めると、拘束具は呆気なく カカロットを解放し、静かに床へと舞い降りていった。しかし変わり果てた己の道着を 見やることもせぬまま、腿の上で快楽に目を細めるベジータの口内を味わったカカロットは、 そっとその身体を柔らかな絨毯の上に寝かせた。
白い腿をやんわりと掴んで 肩に掛けると、陰茎が当たる角度が変わったせいか、ベジータの秘所がきゅっと 窄まる。陰茎を締めつける熱い柔らかな襞に小さく呻き声を漏らしたカカロットは、 焦らすことなく一気に腰を突き立てた。細腰を掴みずり上がっていく身体を押さえつけ、 前立腺をつぶすように怒張した肉棒を叩きつける。性急な行為にベジータはただ 激しく頭を振ることしかできなかった。
「ベジータ、ベジータっ・・・愛してる・・おかしく、なりそうだ。」
「はぁんっ、カカロ・・ットぉ・・・い、つも、んぁっ・・そばに、いろっ。」
「あぁ、嫌になる、くらい・・いてやるさ。」
「あ、あ、いくっ・・ぅ、ああぁぁあ!」
思いもよらないベジータの命令に血をのぼらせ、思わず腰を掴んだ手に力を 入れて激しく男根を打ちつけていた。悲鳴のような声をあげながら白濁した飛沫を 迸らせたベジータの秘所が急激に収縮し、包みこんだカカロットの陰茎を 食いちぎるように締めつける。痛みを伴うような鮮烈な快感に低い声を漏らした カカロットも、勢いよくベジータの最奥に欲望を浴びせかけていた。






ほっと安堵したような満足げな溜め息を吐いたベジータは、しかし先程までの 強烈な快感に黒瞳を潤ませながら、ギリギリと相手を射殺すような鋭い眼差しを ニヤニヤと口角を上げるカカロットへと向けた。己の視線を受けても相好を 崩しきったままの男に苛立ちが増す。
「・・おまえっ、わざとだろ、あの食べ方!」
「何だバレてたのか。けど結構よかったろ。・・・・もう一回味わいてぇな。」
そう言っていつの間にか屹立していた股間をベジータの体内でゆらゆらと 揺らせるカカロットに、ふざけるな!と叫んで一刀両断にする筈だった 彼の瞳が玄関の扉が開く音に大きく見開かれたかと思うと、二人は つながりを解かぬまま瞬時にその場から掻き消えていた。 床に散らばる山吹色の布切れが、ふわりと一度だけ楽しげに舞ったように見えた。

久々にいただいたキリリクSSはelseif.のoka様より「カカベジで誘い受け」でした。 ・・・え、どこが?と聞かれましてもお答えできません(殴) 折角激萌えなリクエストを下さいましたのに、まったく消化できておりませんで 本当にすみません!!
誘い受けという文字から、何故か縛られたカカの脚に乗る 王子の図が浮かびまして、余りのキモさに有耶無耶にしてしまおうかとも 考えたのですが、何とか出来あがったのがこれです;; あり得ないくらいお待たせしてしまいましたのに、こんな妙なSSしかお渡しできませんで 申し訳ありません!!ですがこんな物を貰って下さって、本当にありがとうございました!!