ジロー。君は綺麗だよ。君には全ての色が似合う。君の尿は聖水だし、垢は宝石とさえ思える。
君はどうでも良い物達を美しくみせる事の上手い人間だ。私は君の隣にいるだけでまるで英国王室の豪華なソファに座ってる様な気分になるのです。
その瞳はデヴィットボウイだし、声はウィノナライダーだ。君はとっても生理的でいるくせに、人間ほど汚くない。

ジロー。君にはそうゆうお高い財布だとか、キラキラのアクセサリーだとか、小洒落たお洋服は、似合わないのだよ。 君は生まれたままの状態で私を抱いている時の格好が、一等、素敵なのですよ。
それは私にしか分からないに決まっているけど、私がその秘密を独り占めしてるから、だから気付かないのかしら。
でもね、問いかけたとしてもきっと君は答えてくれないのだろうね。その利口なおつむで、可愛いあんよで、どこまでいくの?ジロー。

4月7日 新学期が始まった。ジローがいた。入学説明会には来なかったのに、入学式には来た。
髪の毛は様々な色に染まっていて、耳には痛々しいピアスが連なっていた。見ていたら、目が合って、そのまま時は・・・止まらなかった。



穢れたジローくんへ。私は必要なくなったのだね。もう要らないのだね。手を握ってはならぬのだね。 ジローって呼んではならぬのだね。君には沢山の良い思いをさせていただいた事感謝してます。 ただこんな終わり方、少しだけ寂しいです。君とまたおにごっこしたくて、君と同じ高校を受験したのに、 あんまりです。あんまりなのですよ。でもたしかに私は、ジローくんにとってプラスの存在でいる事は限りなく 不可能に近いのだと思われます。私に全く気兼ねが無かったから遠慮なく君の心を覗けたのだしね。 ジローくん、君とはもうお別れのようです。私の心臓に原爆が落ちて隙間風がすごいのですよ。 変わってゆく君の心臓の鼓動を止めたい。君を意識だけの存在にしたい。ホルマリンに漬けて眺めていたい。 焼いて食べたい。キスしたい。キスしたい。キスしたい。キスしたい・・・。もう一度・・・。


さようなら、ジロー。君がとっても愛しかったよ。願わくば君の命の最終公焉を。

彼は男の子
(2008/07/19)