そうですね、ええ。ま、簡単に言うとロリコンですよ。僕は。ええ、あなたの言うとおり。
ロリータコンプレックスです。はいはい。・・・それより話を聞いて下さい。
どこから話しましょうか。まあ僕あまり長ったらしい話は好まないので、なるべく簡略にまとめようと思いますよ。
小学一年生の頃でしょうか、その辺曖昧なんですがね。って女の子が近所に住んでいました。
当時の僕より10歳くらい上だったと思いますよ。は丘の麓のほうにある古いアパートに住んでいました。
で、僕の家はそのアパートの100メートルくらい先にありました。アパートと僕の家のちょうど中間地点あたりに、
ちゅーりっぷ公園という公園がありました。あった遊具はブランコ、砂場、滑り台と、兎の形をしたバネでボヨボヨ動く遊具
です。わかります?跨って、お馬さんごっこみたく遊ぶんです。あ、わからないですか、まあいいんですけど。
それでですね、はいつもフリフリの純白色のドレスを着て、その遊具に跨って読書していました。
読んでるのは決まって聖書です。学校には行ってなく、家族は母親だけ。いつも高そうな服を着ているものだから、
収入源を聞いたら、おじさんと遊ぶ事で稼ぐバイトをしていると聞かされましたが、当時の僕には意味が不明でした。
でね、はいつも聖書を読み聞かせてくれました。そのせいで僕はすっかり洗脳されてしまったわけですがね、
まあそれはあまり関係なく。僕はの大人びた声が好きでした。優しく美しい女神のような声でした。
僕には母親がいなかったので、年上の女性というのはすごく魅力的でしてね、幼いながらもを性的対象として
見ていましたよ。ああ、言い忘れてたけど、僕って異常性欲の変態なんですよ。もうこればかりはどうしようもないんですね。
の唇が聖書を読むたび、僕は頭のなかがプワプワしていて、実に官能的な気分に陥りました。今思うとあれは性的興奮の
それと同じです、セックスだったんです。僕ととの。勃起こそしなかったものの、の声と己の脳髄でセックスをしていたんです。
それでですね、少したって、僕が小学六年生くらいになった頃でしょうかね。その歳になると他に魅力的なものも増えてきて、
ちゅーりっぷ公園のある通りにはいかなくなりました。友人もできましたし、当時はテニスに夢中でした。丘のほうも用がない限り
出向かなかったので、と逢うこともなくなりました。そりゃもうパッタリ。でね、あれは僕が初めて自慰行為をした翌日ですよ。
ふっとが頭の中に過ったのです。ああ、逢いたい、って。丁度学校の卒業式の直後でした。式が終わって僕はその足で
ちゅーりっぷ公園に向かいました。砂場の真ん中に座っているフリフリの女の子がいました。僕にはすぐだと分かりましたよ。
すーと吸い込まれるように彼女のほうに近づきました。そして僕は驚愕しましたよ。たしかにそれはでしたがね、変わってないのです
何もかも。あの時と、容姿も、服装も、髪型さえも、変わってはいないのです。ああ、確かにそれにも吃驚したんですがね、
僕が一番驚いたのはそれじゃなく。彼女が一心に手を動かしてるんです。何って、何だと思います?彼女の手中にあったもの。
猫の死骸なんです、しかも、まるで鰺の開の如く腹を裂かれた。血が砂に吸収されててね、オス猫だったのでしょう、性器の先が切られてました。
肛門には桜の木の枝が刺さっていました。花が咲いていました。はその枝を、グリグリと猫の肛門に押し付けているんです、嬉々とした瞳で。
「さん」「、はじめくん。久し振りですね」
は、まずい、といったふうな感じで、瞳を泳がせました。ですがあることに気がつくと、たちまち瞳を輝かせました。猫の死体で遊んでた時と
まったく同じような瞳で僕を見ました。そして言いました。「ねえ、林のほうに行こう」なんてったって僕のペニスはおったってましたからね。
そうです、僕はその時自覚させられたんです。変態だと、異常だと。そしても果てしなく変態でした、異常でした。僕よりね。だって彼女は
何年たっても15歳の容姿のまんまなんだ。永遠の少女なんだ。ある意味不気味ですよね、ありえないですもん。でも僕はのそんなところに
惹かれたのです。シュプリームなのです。エクスタシーなのです。丘の森に入る小路の道にそれた、木々の間で、僕は初めてのセックスをしました。
普通に交わった後に、ナイフで鰺の開にされて、ハサミで性器を切られて、満開の桜の木の枝を何本も肛門にぶっさされて、逝きました。
あ、死んだんです僕、その時。でも何故今ここに存在するかってね?はは、生きてるからに決まってるじゃないですか。
が僕を生き返らせたんですよ。生き返って目を覚まして、気づいたらヘソが無くなってました。創世記にでてくるイヴはヘソが無かったといいますが、
今の僕の状態がそれです。後で医者にいったんですけど驚かれました。解剖させてくれと言われたので脳天に一発食らわせてやりましたがね、アハアハ。
で、ああ、ロリコンの話でしたか。あんま話したくないんですけどねえ、まあ話そうと思いますよ。約束ですからね。は事後、痛みで放心状態の僕
に簡単な手当をしてくれました。腹に伝った血を舐めました。おいしいといってましたよ。でね、彼女の白目は黄色くなってました。それがもう、
怖くて怖くて怖くて。死の目前を見た僕でもね、怖いものがあったんですね。まあ猫の死骸の時とはわけが違いますよ、あれは内臓丸みえ
でした。でも僕は薄皮一枚切られただけだったわけで、いや、死んだんです、一応。絶対死にましたもん。
あ、ウェイターさん、紅茶のおかわりください。アールグレイで。
いや、ごめんなさい。話の続きをしましょうか。で、僕は彼女の黄色い目と目が合って、失神しました。泡吹きましたよ、本当。アハアハ。
それでですね、目を覚ましたら家のベットの上でした。顔見知りの近所の人が林の中で倒れてる僕を見つけて、家まで運んできてくれたらしく。
僕を発見した時にはの姿は無かったらしいです。ただ僕のヘソがなかっただけのと、少しの血痕と、精液だけがそこに残ってたんですね、アハ。
それから三年、そう・・・ちょうど今日で三年目なんですよ。僕はあの事件以来、今まで、ずっと大人の女性に嫌悪感を抱いて生きてきました。
あの時のの瞳は悪魔の目でした。成人した悪魔の、サタンの目です、あれは。聖書を読むの瞳とはわけが違いました。
あれはじゃない。口調も雰囲気も動作もいつものだったけど、目だけはあれ、異次元のものでしたよ。この世のものじゃない・・・。
まあこれが僕のロリコンになった経緯ですよ。大人の女性が気持ち悪くて気持ち悪くて。は永遠の少女でした。きっとあの瞳は、僕に
対する呪いだったんです。聖書もそうだ、あれは見かけは聖書でもが紡ぎだす言葉によって呪いの呪文と化していたんだ。
異常性欲は元から備わってたんじゃない、あの聖書の洗脳のせいだったんだ、きっと・・・きっとそうです・・・。
呪いとは気づきもせずに僕は・・・まあきっとそれもサダメだったのかもしれませんね。ということは、僕は元々そういう素質があったって
事になりますね。ハハ、なんだか訳がわからなくなってきましたよ。とにかく僕はくらいの年齢の女の子にしか興味を持てなくてね。
ああ・・・それ以下の年齢の子も性的対象にはならないです。僕の性的対象はのみです。初めての自慰も、女子と交流のなかった僕は、
のグロテスクな姿を想像しながらしごきましたからね、ハハハ、もう最初っからおかしかったんですかね。もうね。アハアハ。
でね、どうです?僕はロリコンなんでしょうか?中学三年生が終わろうとしている今、僕は彼女と再び交流しなければならない。
何しろもう三年も逢っていません。何だか逢ってはいけない気がしていてね、三年生になるまで。で、今。僕はと同じくらいの年齢になったわけです。
言い忘れましたが・・・僕の性的対象はですよ、ですが、あなたもなんです。と同じ名前を持つあなた。容姿も実は、どことなく似てます。
さ、ロリコンの話はもうやめましょう。あたながいくら僕を異常と攻めたって、僕が幼い子供の肛門に桜の枝をさしたのは変わらない事実です。
そのうち僕のうちに警察がくるかもしれませんね。でも僕は別に、のマネをして小学六年生の女の子を犯したわけではないのですよ。
ああ・・・あなたはそれで僕をロリコンと言いたかったんですね。でもわかったでしょう?僕の性的対象はロリロリの幼女じゃない。
で、うん。実はこの話をあなたにしたら、絶対実行しようと思ってたことがあるんです。あのですね、これからちゅーりっぷ公園にいきませんか?
僕は年を老います、小一の時からは変わらず少女でしたが、僕は、成長してるんです。とは違って。だから、悪魔の瞳をみて
大人を嫌うようになれたように、このまま成長を食い止められる方法があるに違いないんですよ、そしてそれをは知っていると思うんです。
ですから僕はに逢わなければなりません。僕は少年のままでいたい・・・大人にはなりたくないのです・・・あなたならわかってくれますよね?
じゃあ、ロリコンのことはもう許して下さい。心配しないで、僕が愛するのは、あなたと・・・だけですから。アハハ。怒らないで。
あなたが一番ですよもちろん。アハアハアハ。・・・さあ、そろそろカフェを出ましょうよ。会計してきますから、外で待っててください。
ちゅーりっぷ公園はここからそう遠くありません。
アリスクラブ
(2008/03/31)