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圭×真琴2

24◆LU9qm1RWEc氏

プリンスリーグ・上位リーグ第1節、前半ロスタイム。
『ピィーーーッ!』
ホイッスルの音が響く。
ディフェンダーから相手フォワードへのバックチャージ。
ボールを拾って独走する相手フォワードに対し後ろからのスライディングタックルで止めに行き、そして足首を削った。
下手をすれば、大怪我になる危険なプレー。
当然のようにディフェンダーにはレッドカードが提示される。
抗議もせず、ただうな垂れてグラウンドを去るその姿が、覚悟の上のファウルであったことを明確に表していた。

「だっせぇ」
真琴はうなだれてスタジアムを出てくる圭相手に容赦ない言葉を浴びせかけてくる。
「結構高い位置まで上がってたみたいだけどさ、なんでそんなことしてたのさ」
「……」
問い詰めるように捲し立てる真琴に対して、一言も返すことが出来なかった。
――ゴールを決めたかった。
――真琴が女の子の姿を見せてくれると言ったから。
――それより、好きな女の子の前でかっこいい姿を見せたいじゃないか。
だから上がりめになって、ゴールする機会を窺って。
その代償が外してはいけないマークを外して、結果はご覧の通り。
……なんて口が裂けてもいえなかった。
チームメイトに対する負い目もあるし、真琴のためと思っていながらのオチがこれだから。
情けないやら、恥ずかしいやらでどんどん気は重くなっていくのだった。
真琴が話しかけてきてくれる言葉が何も頭に入らない。
頭の中にあるのは、ただ後悔の念ばかり。
「せっかく圭のことが大好きな女の子が出迎えてあげてるのに、その反応酷すぎ」
バスに乗り込む前に真琴が囁いたその台詞にも、
「……すまん」
心に鈍い一撃を受けたような気がして、そう返すのが精一杯だった。


翌日。
やはりというかなんというか、圭の学校へと向かう足取りは重かった。
監督は、あの場面では仕方なかったし、まあいい勉強になっただろう、お前も、みんなもと流してくれた。マークを外したことは怒られたが。
両親は、あえて試合のことには触れないでくれた。
――あのレッドこそ俺のエゴなんだけどな。
そんな思いがまだ圭を苦しめていた。

教室に入るとやたらニヤニヤした顔で出迎える悪友たち。
「おはよう、レッド男」
「よ、カードコレクター。」
欲しかった悪態のおかげでいくらか気分もマシになる。
ま、当人たちは意識してはいない、というかいつもの調子なんだろうが。
「うるせぇなこの野郎、それに俺はカードコレクターじゃ……」
「2試合連続でもらってるよな、お前。」
余計なお世話だ。
「で、これで出場停止何試合目だ?」
「……これが初めてだって言っとろうに。」
あのカードがイエローでも次の試合は累積警告で出場停止でした、とは言わない。
悪意ある(?)会話はとどまる事を知らず。
「おー、真琴、お前も何か言ってやれよ」
「一発レッドなんかでマジへこみするんだったら、サッカーやめれば?」
昨日の事があるとはいえそこまで言いますか。
「うわ、ひどっ!」
冷淡にばっさり切る姿にまた周りで大爆笑。
圭もいい加減にしやがれと突っ込み返したところで予鈴。
ウジウジ考えていたことが一気にアホらしくなってきた圭だった。


放課後、というか帰り道。
結ばれてからというもの、練習がない日の帰り道はいつも背を並べて帰っていた。
とはいっても、まだ2週間しかたっておらず、これが5回目だったりするのだが。
「もうちょっとボクに構ってくれたっていいじゃん、ていうか構え」
その道すがらで真琴が不満たらたらな口調で話しかける。
「せっかく一緒になれたのにさ、なんか淡白に感じちゃうんだよね」
言葉はとどまる事をしらず。
「昨日だってそうだよ、初めて本当のボクで出迎えてあげたのに素っ気なかったし。どう考えてんのさ」
お出迎えの件がよっぽど気に入らなかったらしかった。
「それは悪かったけどな、でも頼むから人のいるところでそんな話しないでくれ。誤解される」
こんなおおっぴらな場所で、とつけ加えて。
「誤解って何さ……ボクたちがホモかもしれないって事?」
だからそういうことを人に聞かれるかもしれない場所で言うなって言ってるんだろうに。
「それだったら問題ないって。ボクたちが繋がったのは事実なんだし、何より悪い虫がつかなくなるし」
「悪い虫って、お前なぁ……」
「だって、普段こんなカッコしてるからさ、ボクちゃんと圭の気を引けてるかなって……」
不安げに上目遣いで圭を見上げる。ちょっと目を潤ませながら。
「大丈夫だって、今の俺にはお前しかいないからよ」
そこまでされたらかなわんといった感じで真琴の肩をたたきながら、落ち着かせようとする圭。
「えへへ、そっか。ならよかった。じゃあ構え」
泣いたカラス、いや泣いてないんだけど、はどこへやら。
その豹変っぷりに思わず、
「お前、もしかして今の演技かよ」
などと突っ込んでしまう。
「さぁ、どうでしょう」
と軽く流す。と、いきなり真剣な目になって。
「ただね、圭のことを想ってる気持ちは誰にも負けないからね」
いきなりの言葉に、目を丸くする圭。
「あー、じゃあまぁ俺ん家行くか」
照れを隠すように真琴を引っ張っていった。
……ところでお二人さん、周りの人間がわざと間を空けてるの、気づいてる?


「さいってー」
――ボクのことを想ってくれたことはとてもうれしいんだけど――とフォローは入れてもらったが。
圭の家についてから、結局レッドの顛末について尋問のように根掘り葉掘り聞かれ、結局全部真琴に吐いた後の第一声がそれ。
「そうだよな、やっぱな」
圭は反論する気力もなく、全肯定するのみ。
「うん、チームプレー忘れて欲望に走っちゃダメだって、やっぱり」
自分の発言を棚に上げて、一人納得したように言い放つ真琴。
「欲望に走るって……煽ったのはお前だぞ」
圭は思わず弱々しくだが返してしまった。
だが、そんなことで口が減る真琴ではなく。
「あっさりとそれを忘れて自己中心に走る人がいけないんだー」
そんなことを言って、腰掛けていたベッドにそのまま寝そべる。が、ふと起き上がり、
「そういえば圭さ、そんなにボクの女の子姿見たかったの?」
と、尋ねる。
「いや、だってあの時あんなに可愛らしかった真琴が普通のカッコしたときにどんだけ可愛くなるかを考えると、な」
反撃とばかりに真顔でそう答える圭。
「あ、あの時って……ちょ……バカッ」
『あの時』の意味がわかったのか、急に真っ赤になる真琴。
が、そこから急に満足した笑みを浮かべる。
「そっか、圭はちゃんと……そう見てくれてたんだ〜……エヘヘ」
その笑みを訝しげに見る圭だが、その反応は真琴の行動でかき消されることになる。
「やっぱり、圭大好き……ちゅっ」
と、圭のところによっていって、キス。
が、これだけでは終わらなかった。
「これは、圭が好きな女の子の分」
「はい?」
「でもね、チームプレー乱したあげく退場になっちゃうような奴には『お仕置き』が必要だよね」
こうなると真琴は止まらない。
「あのー……真琴、さん?」
少し青くなった圭の呼びかけにも応じず。
「やっちゃえーっ!」
「おいこらやめ……って何やってんだまことぉーっ」


圭はズボンから何から脱がされて下半身丸出して床に座らされていた。
脱がせられる途中で真琴になでられたりしたために、モノは半勃ち。
が、事情をいまだに把握し切れていない圭はしどろもどろ。
「で、真琴、お仕置きって何するんだよ」
「何って、足コキだけど」
一方の真琴の反応は至極あっさりしたもの。
「そういうこと一体どこから仕入れてくるんだよ」
恥じらいとかはないのかと言いたさげな素振りでいう圭。
「ボク普段は男子高校生だよ、いやでもそーいうこと耳に入るって」
仕方ないじゃんという口調で真琴が返す。
「じゃ、始めるね」
そう言って、真琴が両足で圭のモノを包み込む。
最初はマッサージするように上下にゆっくり動かす。
「うあっ……」
慣れない感触に思わず声をあげる圭。
しかし、足で押し上げられ、カリを優しく指でつままれ。
いつのまにか、頭の中は与えられる快感でいっぱいになり、肉棒も完全に勃っていた。
「あ、でも圭、気持ちよくなりすぎてもダメだからね」
そんな圭を見て真琴が冷や水を浴びせかけるように言う。足の動きは変えないが。
「はぁ……な……」
言葉の意味がわからない、といった面持ちで聞き返す圭。
「だってお仕置きだもん。気持ちよくなりすぎちゃ意味が無いでしょ」
身も蓋もなかった。


お互いの喘ぎ声と、靴下で擦るシュリ、シュリとした音が充満する。
だいぶ慣れだしたのか指でまさぐり、そのかたわら、かかとで袋の部分をいじる。
それも、痛みを与えないように柔らかく。
圭の息は絶え絶えで。
「圭、そんなに気持ちいいんだ」
真琴がそんなことを呟く。
「誰が……ハァ……そんなこと……」
恥ずかしさからか、または強がりか、否定の言葉を漏らす。
圭はもう真琴の顔が見られなかった。
「この前はよく分からなかったけど、圭の感じる顔ってかわいい」
調子に乗ってそんなことを言い出す真琴。
「ふざけ……くぅっ……」
言い返そうとしたところでまたカリに軽い衝撃。
そして……にちゅ……という新しい音。
「けいー、なんだか、お汁が出てきたんだけどー?」
なんだか楽しそうな真琴。
「だまっ……うあっ……はぁ……」
反撃しようと言い返し始めたところで嬲られて、そして言葉が止まる。
真琴の表情はニコニコ。
一方の圭はといえば、悔しい気持ちが3割。あとの7割は気持ちいいという感情。
このままでたまるか、というのと、このままイキたいというせめぎあい。
だが、考える間を真琴は置かせてくれなかった。
断続的に与えられる真琴の足の動き。それによる快感。
足で扱く音も、じゅっ、じゅっといった水含みの音になってきた。
「うあっ……くぅっ……」
圭は意味のある言葉を発せられなくなっていた。


圭の息がかなり荒くなりだした頃、真琴の足が止まった。
息を落ち着かせて、やっと真琴のほうを見ると、なんだか迷っている様子。
「もう、ソックスがぬるぬるで……ん……」
不意にそんなことを言い出す真琴。
「履いてられそうにないから、脱いじゃうね」
そういって、ソックスを脱ぎだす。
脱いだところでまた圭のモノに足を差し出し。
「じゃあ、今度は直にやってあげる」
「え……」
ボンヤリ長柄真琴の足首が見えた。綺麗にくびれ、それだけで女の子として感じられる。
が、圭には真意を理解しきれずに。
そこへ、真琴がその一物に素足でふれる。
「んぅ……やっぱり、けーの、固い……」
真琴の第一声。そこで、ようやく気づいた。
が、圭はもう一つ気づいたことがあった。
――真琴の声に、艶っぽい声が混じっている。
ハッとして、真琴を意識して見つめる。
そこには、自分で自分の胸をいじっている真琴の姿があった。
圭しか知らない、お世辞にも大きいとはいえないものの、しっかりと女の子であることを感じさせる。
その姿を見て、弄られている感覚が一瞬無くなる。そして、
「真琴、お前――」
感じてるのか、と聞こうとした所で目が合った。
それだけで意図は繋がったようだった。
「そうだよぉ、圭が感じてる顔を見て、圭が感じてるのが分かって、ハァ」
「……」
「圭を感じさせてあげられてるんだと思ったら、私まで感じてきちゃったんだよぅ……」
その言葉と同時に、真琴の素足が、その柔らかい感触が圭を包み込む。
「けーの……あぅ……熱くて、凄い、よぅ」
最初のいきさつを忘れ、圭のモノに没頭する真琴。
「真琴、それ、すげー気持ちいい……」
圭もようやく本音を真琴にぶつけた。


お互いが、お互いを感じあって、喘ぎ声も重なって。
「ハァ……けー……熱いよう……んくぅ……固いよぅ……」
「俺も……ぐっ……真琴の足が柔らかくて……気持ちいぃっ」
傍目から見ると、それは真琴の独りよがりかもしれないが、2人にとってはそうではなかった。
圭の快感は真琴から与えられ。真琴の快感は圭の存在無しでは発生せず。
お互いの存在こそがお互いの快感をもたらし、増幅しているのであった。
竿を弄っていた真琴の親指が、急に圭のカリに触れる。
そこでの圭の身じろぎで感じる圭の快感を、真琴がその身で圭の存在から与えられている。
だから。
「けー、だめだよぅ……はぅ……けーが感じてることがぜんぶかえってきちゃうよぅ」
「真琴……だめだっ……ちょ……気持ち……よすぎっ……」
そのまま、お互いが感じあって。そして溶け合っていく。
……
そして、圭の一物が大きく脈打ち始めたその時。
真琴が考えても見なかった一言を浴びせかける。
「でも、けー……さ、男の格好した奴に足でコかれていっちゃうの?」
「!!」
その台詞に息を呑む圭。
「だって、いちおー、おしおきなんだからさ……いっとかないと」
――でも、どうでもよくなっちゃった。と続けて。
「でも、大丈夫だよ。ボクの女の子の部分も、圭が感じてるのを感じて、やっぱ感じちゃってるんだからぁ!」
最後に日本語になっていない、ただ圭の事を想う言葉を発し。
「ああ、真琴、イクっ!」
そして、圭のモノが弾け。
「はぁぅ……圭の……感じ……るぅっ」
同時に、真琴も圭の暖かさを感じながら果てた。


圭の射精の後はお互いに呆けていた。
が、真琴が足の裏ベトベトで動けないということで、圭が真琴を洗面台まで運んでいた。
真琴の希望でいわゆる『お姫様抱っこ』というやつで。
「ね、圭、気持ちよかった?」
笑顔でそんなことを聞く真琴。
「まあな。でも……」
圭はちょっと憮然となりながら。でもやっぱり笑って。
「次はちゃんと真琴の体の温かさを感じたいかな」
言い終わった瞬間に、真琴の顔は一気に真っ赤に。
なんでそんな事真顔でいうかなぁ……と呟きながら。
「でも、次の試合はスタンドでいっしょに見られるよね?」
そして、笑いあった。
――真琴がこの言葉でちょっと後悔するのは、そう長くない先の話。


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