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魔王の恋 6

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

アレからすぐに俺とマオは結婚した。一応勇者なので国の方には
「旅に出る」と言ってヘタに詮索されない様にした。

「なんだ、結局格好は変えないのか?」
「ハイ、どうもスカートは好きじゃないので。」
マオの格好は今まで通り男物の礼服だ。
俺は別にどおでもいいが・・・イヤ、スカートもナカナカそそるモノが・・ゲフンゲフン。
「ジェイド、いまイヤらしい事考えてたでしょ?」
「ギクッ!!」
マオが俺を睨んでくる。
「あー・・・そのー・・・・スンマソン。」
こう言う時は誤り倒すのが一番だ。
「もう・・・。」
マオは俺に顔を近づけてきてキスをした。
「こういう事はジェイドにしかしないんだから。」
「マオーーーーーー!!!!」
嬉しさのあまりマオをそのまま押し倒す。
「ずっと一緒だからな?」
「・・・愛してる、ジェイド・・・。」
俺は絶対にマオを離さない。この世界で一番大切な存在を守るために。

     たとえ死が二人の仲を裂いたとしても・・・


月日は流れ・・・・

ベッドに横になる老人と傍に付き添う一人の女性。
「・・・悪いな。少しの間、寂しい思いをさせそうだ。」
老人の名はジェイド。かつて勇者と呼ばれた男である。
「いいえ。寂しくはありませんまた会えるのですから。」
女性の名はマオ。若くして魔王の名を受け継ぎ、勇者の妻となった女性。
「マオはいつまでたってもキレイだな。」
「ジェイドもとても素敵な方です。」
ジェイドに比べマオはほとんど歳をとってはいない。
「人間ももう少し寿命が長ければなぁ・・。」
「そういう事は言わないで。」
「ハハ・・・ゴメン。」
静かに、だが確実に時間は流れている。
「じゃあ・・・先に行くわ・・・」
「はい・・・少し時間がかかると思いますが、私も必ず。」
「あぁ・・・・・・・・・・」
そのまま目を閉じるジェイド。

「・・・また後で・・・」

終始笑顔を絶やさなかったマオの目から涙がひと筋流れた。


さらに時代は移り変わり・・・・・

木陰にもたれ掛かり少年が寝ている。
「ん?・・・夢か・・・」
少年が眠りから目を覚ました。
「覚えてないけど・・・なんか・・・すっげぇ懐かしかったような・・・」
記憶には無い、しかし懐かしく幸せな夢を見ていた。
「あ!!いたいた。」
少年の姿を見つけ近づいてくる少女。
「こんなところで寝て・・・風邪ひくよ?」
「あぁ、ゴメン。」
「あら?今日はやけに素直ね?」
「まあね。なんかいい気分なんで・・・。」
少年は立ち上がり少女の手を握る。
「じゃあ、帰りますか。」
そのまま連れ立って歩く二人。

「ずっと一緒だからな・・・・・マオ。」
「わかってるわ・・・・ジェイド。」

かつて勇者と魔王が交わした約束は今もまだ守られ続けている。 


                             〜完〜


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