Index(X) / Menu(M) / Prev(P) /

狂介と有紀 1

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

「職人様GJ!!!・・・・・っと。」
今日も日課であるエロパロ板の閲覧を堪能し”グゥレイト”な職人様方に
感謝のGJ!!を送る。
 俺の名前は山崎狂介(17)。ケンカと萌えをこよなく愛し、同性愛にも
多大な理解のある健全なオヤジ系高校生である。
今晩も沢庵をツマミにし麦茶を片手にネットサーフィンと洒落込もうと思ったその時・・・。
「なにやってんの?」
「!!どぅわぁぁぁぁ!!!!ビックリした。・・・・有紀!!」
俺の真後ろに幼馴染みでマブダチの南有紀が立っていた。
「そんなに驚かなくても。」
「黙れこのカスボケ!!死ぬかと思ったじぇ。つーかなんでココにいるのだ?」
「えっ?普通に玄関から入って・・・」
「そーじゃねえ!!何で勝手に人のウチに入って来てるかを聞いてんの。」
「インターホンを何十回も押しても返事が無かったけど何か問題でも?」
「・・・・・スイマセンデシタ。」
「わかればよろしい。」
そう言うと有紀はニコッと男にしては可愛過ぎる笑顔を俺に見せた。


「!!」
「狂介?・・・どうかした?」
急に顔をそらした俺に不安そうになる有紀。
これがココ最近同性愛に理解をもってしまった原因である。 

     『男である有紀に惚れてしまったのだ。』

 有紀との付き合いは結構長い。俺が五歳の頃に有紀の家族が隣に引っ越してきて
それからの付き合いである。しかも、父親同士が大学時代にイケメンツートップ
でニャンニャンなキャンパスライフを送っていた親友らしく、家族ぐるみの付き合いが
多く、有紀と俺はマブダチと呼べる間柄になっていった。
 しかも、幼稚園、小学校、中学校、高校と15年近く同じクラスでもある
腐れ縁である。ここまで来ると何かの陰謀を感じる・・・恐らくは政府の陰謀に違いない。


『何故に有紀?男だぞ?』
『おれってそういう趣味があったのか?』
『801・・・・・矢追・・・UFOスペシャル・・・』
ってなカンジでしばらくは、この訳の分かんない気持ちを
どう落ち着かせるかで悩みに悩んだ。結果、アレ系のコミックアンソロジーに
手を出して『愛に性別は関係ない』の境地にたどり着いた。

・・・・分かってますよ。危険な橋を壊しながら歩いた事くらい。


「大丈夫?もしかして具合悪い?」
「あっ・・いや・・・何でも無いから。」
「そう。ならいいんだけど。」
完全に呆けていた事を思い出し俺は我に返った。アブネェ×2なんか誰かに
俺の自己紹介や過去の話をしてた気分だ。
「ところで狂介、パソコンつけて何見てんの?」
そういいながら四つん這いでこちらを覗き込んでくる有紀。
オイオイなんて無防備なんだ。俺が良識あるティーンエイジャーじゃ
なかったら今頃お前はキズモノだぞ。
そのきれいな黒髪、潤みがかった瞳、華奢な身体。タマランっすわ。
そういやパソコンでなにしてたっけ・・・ってづfぎdヴfかくバッホォォォィィィ!!!!


「なになに・・・エロパロ・・・男装・・・・・・。」
「見るなぁぁぁ!!!」
慌てて有紀をパソコンから遠ざける俺。そのスピードたるやシャアの3倍はあった。
「こ・・これはだな・・その・・・・なんていうか・・・・保健体育?」
たとえ同性であっても好きだと自覚した相手にこのような自分を見せるのは
抵抗があった。
一応は硬派で通してたんですよ俺も。
「・・・・・・・・・。」
有紀は何も言わずにただ俯いていた。
(お前もエロいな〜)
(こういう趣味があんのか。夢の見過ぎだよ!!)
とかからかわれる物とばかり思っていた俺は有紀に声をかけてみることにした。
「おい、ゆう・・・」
「狂介。」
「はいなんでしょう!?」
逆に声をかけられ敬礼しながら返事をしてしまう俺。俺って自覚してる以上にヘタレなのか?
しかし、次の有紀の一言に俺はヘタレの自問自答を解除した。




「こういうの・・・・スキ?」


               はい?


「あの有紀さん?それはどういった意味でしょうか?」
なぜか敬語で質問してる俺。無様だな。
「その・・・だから//////」
「だから?」
「男装してる・・・女の子に・・・・興味?//////////」
顔を真っ赤にして話しかけてくる有紀。
有紀って下ネタとか苦手じゃなかったはずなのに?
他の友達と「近未来警察072のオカズは何か?」について話していたとき
(誰でもイケます)
と爆弾発言かましてくれたんだけどなぁ。なにかあったのか?
「興味というか・・・そそられる物はあるよな。なんかグッっとくるっていうか。」
なんか力説してるし俺。バカだな〜我ながら。
「///////////////」
「・・・・・・・・」
このままじゃ埒があかない。そう思った俺は再度声をかけてみることにした。
「ゆ・・・・!!」
声をかけようとした瞬間、有紀は俺の手首をいきなり掴んできた。
「おい有紀?ほんとどうしたんだ?」
有紀は上着のボタンを外し開いた隙間から掴んでいた俺の手を押し込んでった。


「ちょ・・おま・・・」
いくらなんでもおかしいぞ。もしかして有紀にもその気が・・・・なんていってる場合じゃない。
この状態から抜け出すために掴まれた手を動かし出した。
しかし、手首から掴まれてる今の状態では胸を揉むような動きしか出来ずに・・・・

                 ムニュ

「ムニュ?」
何だこの暖かくて柔らかい物体は?待て待てこの感触、思い当たるものが
あるけど、それってもしかすて・・・・・・えぇぇぇーーーーーーー!!
「お・・・・・おっぱい?」
「ウン・・・・僕、女の子なんだ。」
「なんディすっトゥェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」
ふんだんにオンドゥル語が使われた俺の絶叫が夏の夜空に鳴り響いた。


「女って・・・あの女だよな?」
「そうだよ。狂介国語がおかしいよ。」
「んなのどうでもいい、お前が女なんて聞いてねぇぞ!!」
「//////だって言ってなかったもん。」
そう言うと有紀はプゥっと頬を膨らませて訴えるような視線を向けてきた。
「グハッ!!」
その視線に完全に俺は打ちのめされた。鼻の奥から鉄分の香りがする。
よくよく考えてみた。有紀は小さい頃から皮膚病とか言ってプールには
絶対入らなかった。身体測定だって欠席者が受ける予備日にいつも受けていた。
中2くらいから周囲の男子に比べて成長というものが見られず女のような体つきと
よくからかわれてた。(実際女だったわけだし。)
気づこうと思えば気づけたよな、特に最近は釘付けだったのに・・・・。
あぁ・・・・・・・俺ってバカじゃん。17年生きてて初めて知ったよ。
「イタッ!!」
「あっ!!悪りぃつい・・・」
「ううん・・・・いいよ。」
考え事していた俺はつい強く有紀の胸を掴んでしまっていた。
「でも、何で男装なんて・・・しかも俺に言って・・・良いのか?」
俺は思ったことを口にした。男装してる理由もだけど、ガキの頃から
してるくらいだしよほどの事情があるんだろう。
そんな秘密、男装スレを見ていたとはいえ話すか普通。


「男の子の格好してたのは・・・・・昔、狂介の隣に引っ越して来る前
 に住んでいた町でヘンなオジサンに襲われそうになった事があったから・・・。」
「何?」
さっきとはうって変わって青ざめた顔をする有紀の話は聞きながら
俺はかすかな、しかし激しい怒りがこみ上げてきた。
「その人、その町でもかなりの危険人物で気に入った子を見つけては
 乱暴したり、・・・・その・・イヤらしい事をしたりして・・・」
「有紀も何かされたのか?」
「・・・僕は大丈夫。通りかかった人に助けてもらったから。」
「・・・そうか。良かった。」
本当に安心した。イヤらしい事をするということは有紀にだって・・・・
そんな考えが頭をよぎったからだ。
「でも・・・僕、怖くなっちゃったんだ男の人の事。」
「え?」
「乱暴してくる男の人は嫌い。見たくない。近づきたくない。そう思うようになったの。
 パパもママも心配してパパの友達だって言う狂介のオジさんのいる町に引っ越して
 僕の為に・・・僕があの事を忘れられるようにしてくれたの。
 男の子の格好したのも女子のよりは安全だろうと思って・・・・。」
そういえば始めてあった頃、有紀は俺やオヤジに対してかなり怯えていた。
徐々に消えていったが俺が近づくたびにガタガタと震えていた。
「そういうワケね・・・。」
「ゴメンね・・・・黙っててゴメンね。」
有紀を見る。有紀はまるで始めてあった頃のように怯え震えていた。


「怖かったんだ・・・・狂介のことも・・・ゴメンナサイ。」
「イヤ構わんさ。事情が事情だし。」
「ありがとう。」
有紀の顔に少し元気が戻ってきたようだ。
「でもね!!僕が男の人を怖く無くしてくれたのは狂介なんだよ。」
「え・・・。」
「狂介はいつも優しかった。僕と遊んでくれた。狂介から逃げてばかりいたのに
 狂介は怒らなかった・・・・嫌いにならならないでいてくれた////////」
「有紀・・・。」
言っていて恥ずかしいのだろう顔が赤い、ユデダコもびつくりだ。
「本当は女だってもっと早く言いたかった。でも、言ったら嫌われると思ったから。」
「なぬ?」
「『何で黙ってたんだ!!』、『騙してたのか?』って。狂介は・・・・優しいけど
 隠してた事言ったら今度こ・・・そ嫌われる・・・と思っ・・・・て」
最後の方は会話になっていなかった。・・・・・有紀が泣いてる。



「ヒック・・男装してるの・・・スキだって言うから・・・・ヒック
 言っても良いか・・なって・・・。お願い狂介・・・・・。」


「       キライにならないで           」


「有紀!!」
俺は有紀を抱きしめていた。そうしないと有紀が消えてしまいそうだったから。
「狂介。」
「嫌いになるはず無いだろ。・・・・俺はお前が好きだ!!愛してる!!」
「狂介・・・ホントに?」
「ウソ言ってどうするよ。ただ男を好きになるなんて変態扱いされそうでさ・・。」

「俺だって怖かったんだよ。」

「狂介・・・・・ウレシイ。」
「ちなみにお前はどうなんだよ?俺の事どう思ってるんだ?」
まぁ分かりきってるけど確認の意味も込めて聞いてみる事にした。
「スキ・・・・僕、狂介のこと大好きだよ!!」
「有紀!!もうゼッテェ放さねぇからな。」
「キョウスケェェ・・・クッ・・フェェェェェェン!!!」
大声を上げて泣きじゃくる有紀を抱きしめて俺は思った。


前略オフクロ様・・・・・・・・・俺ホモじゃなかったっす。
                しかも両思い。
                おまけにラブラブ。


Index(X) / Menu(M) / Prev(P) /