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遠井家の人々 11

名無しのアヒル氏

ようやく行為を終え、余韻に浸る絢と春希。二人は裸のまま布団の中で休んでいる。
「絢・・・。」「はーちゃん・・・。」
春希は絢を抱きしめ、その柔らかな感触を味わい、絢は春希の細く見えて意外としっかりした腕の感触に安らいでいる。
「そろそろ教えてくれる?避妊のこと。」
絢はずっと気になっていた話を聞き出した。
「はい、実は白々斎は避妊の薬や器具も開発しているという話があるのです。真琴様が病気になる前から
避妊技術を持つ医師を探していたのです。」
「そう・・・だったの・・・。」
「はい、どうしても、絢と一緒になりたかったから・・。」
「はーちゃん!!!」
「うわっ!!」
絢は春希に勢いよく抱きついてきた。
「嬉しい・・・。嬉しいよ、ボク・・。はーちゃんがボクのこと、そんなに思っててくれてるなんて・・・。」
「当然ですよ、絢。」
そう言いながら春希は絢に口付けをした。性行為の後なので、お互いの精液や愛液の味が伝わりあう。
「もうっ。はーちゃんってば、二人とも口の中、こんな状態なのに口付けなんて・・。」
そう言いながらも絢の顔は笑顔を浮かべている。
「いいじゃないですか。お互い愛し合って出したものなんですから。」
「愛・・・。もう!はーちゃんってばぁ!」
春希の言葉に急に照れくさくなった絢は声を上げた。
「ふふふふふ。」
春希はそんな絢を見て微笑みを浮かべた。


「では、私は部屋に戻りますね。明日は早いですから。」
「うん、送ってくよ。」
お互いの身体に付いた精液や愛液を拭い、着物も着直した二人は立ち上がった。
「部屋出る前にもう一回口付けしよ。」
絢は春希に口付けをお願いした。
「はい。」
春希はためらいもなく絢を抱きしめ、一連の行為の終了を示すとも言うべき口付けをした。
最後だからか舌を絡ませない軽めの口付けであった。
「はーちゃん、大好き。明日から頑張ろうね。」
「私も、絢が大好きですよ。」
二人は笑顔を向け合いながら襖を開き、外に出た。


「・・・夏希さん、最後までするのですか・・・?」
まだ快楽の余韻が治まらない夕顔は小さな声で夏希に問い掛けた。
「えっ!!」
その問い掛けに夏希は驚いた様に声を上げた。
「夕顔は、どうなんだ・・・?」
「気持ち的には最後までしてもいいのですが、やはり色々と問題が・・。その、妊娠・・とか・・。」
「そうか・・。実はオレ、最後まではしないつもりだったんだ・・。夕顔の言ってる問題とかもそうだけど・・。
て言うか、出来ないんだ・・・。」
「えっ?どういうこと・・ですか?」
夏希の言葉が気になり問い掛ける夕顔。
「実は・・・・・んだ・・・。勃た・・ないんだ・・・。オレのアレ・・・。」
夏希は今にも消え入りそうな声で言った。
「勃たないって・・。その・・夏希さんの・・・。」
夕顔は顔を赤らめながら夏希の股間の方に視線を向けた。
「ああ、気持ちはすげー興奮してんのに、何故か最初っからずっと勃たなくて・・・。」
「今までは大丈夫だったのですか?」
「ああ、今急に・・。不能になっちまったのかな・・・。」
夏希は不安げな声を上げた。そんな夏希を見た夕顔は顔を真っ赤にしながら口を開く。
「確か、女の人が口とか手とか胸で男の人のものを愛撫するって技術があるって聞いたのですが・・・。
私が・・・夏希さんのを・・愛撫・・しましょうか?」
夕顔は顔をうつむかせながら、消え入りそうな声で言った。
「いいい、いいよ!!!最後までするわけにはいかないんだしさ!!そろそろ春希の兄貴も戻ってくるかもしれないし!」
「そういえば・・・春希さんと同じ部屋だったのですよね・・。」
「う、うん・・・。兄貴はしばらく戻ってこないって言ってたから、こうして夕顔のこと部屋に呼んだんだけど・・。」
「そう、ですね・・。今日はもう終わりにしましょう。明日から旅に出るのですし。」
「そうだな・・。その、いきなりこんなことして、悪かったよ・・・。」
今更照れくさくなった夏希はばつが悪そうに謝った。
「ううん。いいのです。実は、私、夏希さんに一目ぼれ、してたんです・・・。」
夕顔は真っ赤になりながらも自分の気持ちを打ち明けた。
「実はさ、オレも・・夕顔のこと一目ぼれしたんだ・・・。女の子って知ったときすごく嬉しくてこんな真似したんだ・・。
だからさ!今度機会があったら、また、してもいい!?妊娠のこととかは考えておくから!」
「はい・・・。でも実は私、この家に来たのにわけがあるんです。今度二人っきりになったとき、話しますから・・。」
「そっか・・・。明日から頑張ろうな。
「はい・・・・。」
二人はそう言いながらも内心明日から普通に振舞えるか、緊張していた。そんな気持ちを紛らわす様にいそいそと
服を着直したり、身体を拭ったりして後始末をしていた。

「では、夏希さん。また明日。」
夕顔は襖に手を掛けながら夏希に微笑みかけた。
「送ってこうか?」
「いいです。私と夏希さん、仲悪く思われてますから、一緒にいたら不自然ですよ・・。それに、今すごく照れくさくて・・。」
夕顔は真っ赤な顔を隠す様に手を顔に当てた。
「そ、そうだな!じゃ、また明日!」
夏希も夕顔の方を向けない為、真っ赤な顔を横向けにしながら緊張した声を上げた。
「はい、夏希さん、おやすみなさい・・。」
夕顔は夏希の方を向けないまま挨拶して部屋を出るとあわてる様にその場を駆けて行った。


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