Pillow Talk -SIDE MAKI-

 薪が目を覚ますと、すでに朝になっていた。
 いつの間にかベッドに移動している。目の前には眠っている青木の顔があった。彼がここに運んでくれたのだろう。なぜか体が重い。布団の上を見ると、青木の右腕が薪の体の上に乗っていた。薪は腕を外して、そっと起き上がった。
 時計を確認すると、まだ空が白み始めた頃だった。カーテンの隙間から薄明りがこぼれていて、室内の様子がぼんやりと見える。頭の中で今日の予定を確認して、薪はもう一度ベッドに潜り込んだ。一度起きてしまったせいで意識は完全に覚醒してしまったが、布団のぬくもりは魅力的だった。二人分の体温で、ベッドがいつもより温かい。
 薪がごそごそとシーツに横たわると、青木が眠ったまま腕を回してきた。頭を引き寄せられる。本当に眠っているのだろうかと、薪は頭上を見上げた。
 青木は寝息も立てず、静かに眠っている。眼鏡をかけていない顔が新鮮で──モニターの前で眼鏡をしたままうたた寝しているところなら何度も見たことがある──、薪はつい彼の寝顔に見入った。
 すっきりとした面長の顔。地味だが、端正な顔立ち。こうして目を閉じていると、いつもよりシャープな印象を受ける。起きているときは泣いたり笑ったり、子供のように表情豊かなこの男が、なんだか別人のようだ。
 薪はパジャマの胸元に頬を押し当てた。普段がデスクワークのため、それほど筋肉はついていないが、肩幅はある。こうして身を寄せていると、薪の体がすっぽりと隠れてしまう。
 とくとくと聞こえてくる心臓の鼓動。指先でそっと肌をなぞってみるが、青木は起きる気配もなく、すやすやと眠り込んでいる。
 それを眺めているうちに、薪の心に悪戯心が芽生えた。

 手を胸元から下に向かって滑らせる。胸から鳩尾を通って腹、さらにその下へ。パジャマのズボンのゴムに指をひっかけて、指先を忍び込ませる。そのまま中に手を忍ばせて、下着越しに、盛り上がっているふくらみを手のひらで覆う。
 形を確かめるように撫でさすり、二本の指でこちょこちょとくすぐってみる。手を止めて青木の様子を窺うが、やはり目を覚ましそうにない。薪は悪戯の続きに戻ることにした。
 手のひら全体でゆっくりと揉みしだく。先端の辺りは親指と人差し指で摘まむようにして擦りあげる。何度も同じことをしているうちに、段々熱を帯びてきた。しかしまだ立ち上がるほどではない。
 薪はさらに下着の中に手を差し入れ、直接それに触れた。そうっと優しく握り、やわやわと軽いタッチで刺激を与える。それから手を上下に動かし、裏筋の辺りをなぞったりもしてみる。
 薪がせっせと手淫を続けていると、徐々に手の中のそれが硬くなってきた。芯を持ち始めたと思った時、薪の手首が捉えられた。

「……何してるんですか、薪さん」

 ちらりと上を見ると、ようやく目を覚ました青木が困った顔で自分を見つめていた。
 やれやれ、ようやく気付いたか。薪はズボンから手を引き抜いた。
「人が寝ている時に、勝手に何してるんですか。薪さん……」
 青木は手を伸ばし、枕元に置いてあった眼鏡を取る。それを顔にかけようとしたところを、薪が横から取り上げた。
「えっ?」
「これは没収する」
「あ、ちょっと……」
 薪は眼鏡をサイドチェストの上に置いた。サイドチェストは薪の側にあるので、青木は薪の体を乗り越えないと手が届かないことになる。
「何するんですか、もう」
 青木が呆れたように言うのを無視して、薪は布団の中に潜り込んだ。
 ベッドの下の方にずり下がり、青木のズボンを引っ張って、下着ごと一気に脱がせてしまう。
「えっ、ちょ、薪さ……」
 布団越しのせいで、青木の声がくぐもって聞こえる。
 両腕で青木の足を抑え込みながら、熱くなったそれを手に取った。
 ふうっと息を吹きかけた後、軽く口づける。さらに舌を出してちろちろと舐めると、青木の腰が跳ねた。
「な、何やってるんですか……!?」
 悲鳴のような声が聞こえてくるが、薪は無視して行為を続ける。ちゅっ、ちゅっ、と何度も口づけ、舌で上下に舐め上げる。唾液を絡ませながら、ゆるゆると手で扱く。次第に青木のそれが頭をもたげ始めた。
 薪は両手で支え持ち、先端をぱくりと口に含む。じゅっと音を立てて吸い上げたり、蓋をするように舌を先端の部分に押し込んだり、そうする一方で手は幹の部分を撫で擦り続ける。
「ん……」
 青木に奉仕している間に、薪の方にも変化が表れ始めた。下腹部を中心に、じんわりと熱が体中に広がる。薪は片手でズボンと下着を取り払うと、自分の後ろに指を差し入れた。
 指はまだ一本しか入らない。くいくいと縁を伸ばし、少しずつ広げていく。手を動かしているせいで口の方の動きにあまり集中できない。ひたすら舌を動かしては、喉を鳴らして吸い上げる。
 そこはすでに立ち上がり切っている。先端は薪の唾液に濡れてふやけそうだ。そのうち先走りの汁が溢れ出した。薪の口内に苦味が混じる。
 後ろに入った指が二本になったところで、ようやく布団の中からはい出た。
「はあっ……」
 顔を出すや否や、大きく呼吸する。布団の中に熱が籠っていたせいで、すっかり顔が火照ってしまった。外の空気が涼しく感じる。ほうと息を吐いていると、頬を両手で包み込まれた。
「もう、薪さん、あなたって人は……」
 赤い顔をした青木が自分を見つめている。
 青木は薪の顔を上向かせて、額に、瞼に、頬に、鼻先に、顔のあらゆるところに口づけた。そして最後に唇にたどり着く。そっと舌が差し込まれるのを、薪は唇を開いて受け入れた。
「ん……」
 舌を絡ませ、互いの唾液を流しこみ、唇を擦り合わせてはくちゅくちゅと音を立てる。布団の中でも足を絡ませ合い、素肌に互いの物を押し付け合った。
 上あごの裏部分を青木の舌がなぞりあげると、自然と鼻息が漏れた。
「ふ……」
 薪の声を聞いて、腹に当たっていた青木のものが固さを増す。
 薪はキスをしながら態勢を変え、青木の上に跨った。サイドチェストの引き出しからゴムを取り出す。歯で包装を破ると、仰向けになった青木がため息をついて言った。
「薪さん……やらしすぎです」
「その方が嬉しいだろう?」
 薪はしれっと受け流す。そしてゴムを青木のものに装着させ、自分の後ろに押し当てた。
 ゆっくりと腰を下ろして受け入れようとするが、先端が潜り込んだところで止まってしまった。やはり唾液程度では濡らし足りなかったのだろう。角度を変えて試してみるのだが、なかなかうまくいかない。
「やっぱり潤滑油を使わないと難しいですね……」
 お預けをくらった状態の青木が辛そうに言う。
「そこ、一番上の引き出しに入ってるから」
 薪に言われて、青木がローションを取り出す。手のひらに広げ、体温で温めてから、指先を薪の後ろに回す。
「薪さん……」
「ん……」
 薪は腰を浮かし、青木の指を受け入れる。薪よりも一回り太い指が遠慮がちに体の中に入ってくる。
「もっと……きつくしていい……」
 薪の言葉に応えて、いくらか強引に指が押し入ってくる。第二関節まで入った辺りで、青木が指を動かし始めた。
「あっ……」
 薪は思わず前に倒れ込んだ。青木の肩口に掴まって、後ろからの刺激に耐える。体が揺れるたびに、前が青木の腹に擦りつけられた。
「あっ、あっ……!」
 小刻みに指を動されると、声を抑えることができない。開いた口から唾液が零れ落ちる。青木の体の上に落ちたそれを、薪は猫のように舌で舐め取った。
 やがて指がもう一本増やされた。三本の指がばらばらに動いて、中を広げる。青木の指がいいところに当たるたびに、薪のそこがぎゅうと締め付けた。
「薪さん、すごいです。中……」
 青木が熱っぽい声で薪に囁きかける。
「も、入れたいです……早く……。いい、ですか?」
「ん、ん……!」
 薪は唇を噛みしめ、何度も首を振った。

コメント

さく子さん

いたずらしちゃう薪さんかわいいです。
青木起きたらやめちゃうのかな???って思ってましたが、まさかの続行。そして最後まで。
ありがとうございます。ひとり笑みを浮かべながら読んでました。我ながらきも〜(><)
そして青薪、いいぞ、もっとやれ〜〜(*^-^)/\(*^-^*)/\(^-^*)
えろい。尊い。語彙力ないのが悔やまれる〜〜!!!ぐああ。
エロシーンでもキャラ崩れないってすごいですね!
上から目線みたいなコメントで恐れ多いですが、
キャラを崩さずお話書けるのすごい……(すごいしか言ってない。語彙力(;o;))
エロかくの大変だと思いますが、今後もよろしくお願いします!

> いたずらしちゃう薪さんかわいいです。

生き生きしてるでしょ?(笑)
きっと青木相手だけですよ、薪さんがこんな風に寛いでいられるのは。
薪さん年上の余裕で青木を翻弄しているようで、
実は青木の包容力に甘えちゃってるような気もします。
実際青木いたずらされても怒らないで、終わったらすぐ薪さんのこと労わってますしね。
普通は賢者タイムに直行するんですが、青木の場合は部下モードに切り替わっちゃうんでしょうねw

> 青木起きたらやめちゃうのかな???って思ってましたが、まさかの続行。そして最後まで。

多分薪さん、青木のこと軽く見て侮ってるんだと思います(笑)。
「お前ごときに文句言われたぐらいで僕がやめると思ったか?」ってなもんですよw
原作でもそういうシーンありましたよね。
9巻で滝沢の病院に乗り込む時に、青木の制止を振り切るシーンで、
「僕がその気ならお前ぐらいいくらでも撒けたし、倒せた」って言ってるんですよね。
身長差27cmもあるのに全然脅威と見られていない青木……(笑)。
おかしいなあ、奴も一応警察学校行って武道やってるはずなのになあ。可哀想〜☆

> エロシーンでもキャラ崩れないってすごいですね!

本当ですか? わー良かった!
この話は私が最初に書いた秘密の二次創作なんですよ。
だからキャラの性格とかまだ手探りの状態で、いまいち掴みきれてない部分があるかと思ってたんですが、
さく子さんにそう言ってもらえて自信がつきました。
ありがとうございます!

> エロかくの大変だと思いますが、今後もよろしくお願いします!

それに関しては任せてください!
なんたってエロ書くために18禁可なサーバー探したくらいですから(笑)。
青薪に嵌ってから毎日毎日頭の中で二人がいちゃこらしてくれるので、
もう小説でも書いて発散させるしかなくて……w
こんな下心駄々漏れサイトでよければ、こちらこそよろしくお願いしまーす。

 

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