六月の花嫁



「いい天気ですね」
「そうだね」
「この時期にこんなに晴れるなんて、珍しいですよ」
「そうだね」
「銀さん、もしかして緊張してるんですか?」
「そうだね」
「……神楽ちゃんの準備、あともうちょっとかかるみたいですね。六月の花嫁かァ……」
「アイツ、こういうの好きだろ」
「女の子ですからね」
「新八ィ」
「はい?」
「あんがとな」
「え……ちょっとなんですか、銀さん、急に。雨が降りますよ」
「そんときゃ、アイツの傘に入れてもらうよ」
「そうですね……」
「新八ィ、泣いてんのか?」
「誰のせいだと思ってるんですか、誰の」
 ――今日は、銀時と神楽の結婚式だ。
 六月の、梅雨と呼ばれるこの季節に、ふたりは想いを重ねた。
 神楽の父である星海坊主はふたりのことを聞いて驚いていたが、「幸せになれよ」と神楽の肩を叩いた。
 いつかこうなることはわかっていた、覚悟はしていたのだという星海坊主に、銀時が頭を下げたのが印象的だった。
 この世界は、輝く眩しい太陽の色で満たされている。その光に、純白のウェディングドレスはとてもよく映えるだろう。
 神楽が妙に手をひかれて、控室から姿を現した。
 銀時は、彼女の側に歩み寄る。一言も口にしない彼に、神楽は不安を覚えたようだった。
「似合わないアルか?」
「んなことねーよ」
「じゃあ似合うアルか?」
「……」
 何も答えない銀時に、神楽は笑った。
 眩しそうに目を細めた銀時に、新八は、彼の答えを知る。
「神楽ちゃん、ヴェール忘れてるわよ!」
「ウン!」
 妙の声に、神楽は銀時に背を向けて、ぎこちない足取りで再び控室へと戻ってゆく。
 銀時は、空を仰ぎ、笑みを浮かべながら言った。
 神楽の足がとまる。
 空は晴れているというのに、地には滴が零れ落ちた。

「なァ、お天道さんよォ。俺の嫁さん、キレイだろ」

 大地が陽を求めることを、天は知っていた。