DA制服誕生秘話
「兄サマ、何やってるの?」
机の上に散乱した紙を見てモクバは眉をひそめた。普段はパソコンを使った仕事が多いだけに、大量の紙が存在しているのが珍しい。
「デュエルアカデミアの制服案だ」
簡潔な兄の台詞に質問を重ねるのはいつもの事。
「デュエルアカデミアって今度出来る学校の事?別に兄サマがわざわざ考えなくたって、デザイナーに任せればいいだろ」
「いや、デュエリストでなければ分からない事があるからな」
「ふうん」
何となく頷いて、モクバは目に付いた一枚を取り上げてみる。
それには、裾を引きずりそうなくらい長いコートが描かれていた。当然のように風にはためいて、当然彼のお気に入りのドラゴンが全面に強調されている。
よく見ると他のも似たようなデザインだった。つまり、この格好で生活できるなんて、目の前の人間以外不可能ではないかというような。
「…あのさ、兄サマ。オレがデザインしようか」
唐突な弟の申し出に海馬は目を丸くした。
「どうしたんだ。急に」
「いや、ほら。兄サマも忙しいでしょ」
「だが、お前も仕事があるだろうに」
「一度デザインとかやってみたかったし。ね!」
「まあ、お前がいいなら構わないが」
勢いに押されて承諾した海馬に、入学者減少を防いだとほっと一息ついたモクバだったが。この後二ケタ近い分校の制服のデザインを兄が手がけてしまい、さらにそれがあっさり受け入れられてしまった事に頭を抱えたという。
相方に留学生組全員の制服がおかしいという話(むしろフリルがマシという衝撃の事実)をしたら、「社長がオーナーだから」「…それだ!」
それだ!じゃないだろう自分(セルフつっこみ)。