京ちゃん練習
京介はずっとデュエルディスクとにらめっこをしていた。正確にはデュエルディスクについている爆破装置を。
遊星の作だというそれは、元から機械の類が苦手な京介には飾り以外の何物でもないが。それでもなんとか仕組みを理解しようと眺めていると、後ろから声がした。
「何してんだ?」
「あ、いや…」
振り向くと、クロウが不思議そうに見下ろしていた。とっさに後ろに隠してみたものの、逆に彼の興味をひいてしまったらしい。
「なんだ?何隠してるんだよ」
京介の手からディスクをひょいと取り上げると、しげしげと眺めて言う。
「デュエルディスクなんか持ってどうしたんだ。相手探してたのか」
「そんなわけじゃねえけど」
「だったらどうしたんだ?まさか…壊したとか」
「誰が壊すかよ」
「じゃあ、なんで見てたんだ?」
「それは…ちょっと、仕組みを理解しようと思って」
「ぶ」
言った途端にクロウが笑い出すので、京介は憮然とした。確かに自分でも柄ではないという自覚はあるけれど。
「そんなにおかしいかよ」
「だってお前、機械はてんでダメじゃねえか」
「分かったら、なんか役に立つかもしれねえだろ」
「そりゃそうだけどさ。お前の腕だといつまで経っても遊星の荷物持ちぐらいしか出来ないと思うぜ」
「荷物持ちはひでえな。もっと言い方考えてくれねえか」
「たとえば?」
「たとえば…道具渡すくらいなら出来るぜ」
「はは、そんなの荷物持ちと変わらねえよ」
よほどおかしかったのか、クロウがばしばしと京介の背を叩く。
「痛えな。少しは手加減しろよ」
「悪い悪い」
ちっとも悪びれない様子に仕返ししようと京介が手を上げると、遠くから食事を告げる声がした。
「あ、ジャックが呼んでるな。行こうぜ」
「ってちょっと待てよ」
振り上げた手の行き先を失って、とりあえず先を行くクロウの肩にでも回してやろうと考えつつ、京介は走り出した。
なんとなく京ちゃんは機械音痴なイメージがあります。それ以前にとっても別人ちっく。