恋をしています。
「、ーっ!」
「なーにー?」
見慣れた後姿を見つけて、あたしはその背中にダイビングした。途端に冗談っぽく嫌そうに言った声が届く。
「聞いて聞いて!あのさ、さっきそこで会ってさ!」
どうしよう、顔が熱い!またに「顔真っ赤だよ」と笑われてしまった。だけど、だからと言ってこの興奮はおさまらない。どうやったら鎮まるかなんて分からないから、とりあえずに聞いてもらおうと思った。
「よう、だって!声かけられたよ―――っ」
「良かったじゃん!で、あんたは?」
「え?あたし?」
大好きな人に声をかけられた興奮しているあたしに、はそんなことを言った。突然言われた言葉にえ?とすぐには理解できなくて、あたしに話を振られた理由もちょっと理解できなかった。
「どうやって返したの?」
「え、え?ふ、普通に、うんって…」
「っばか!」
軽い平手が飛んできて、あたしの頬に当たった。あたしは「いたっ!」とオーバーリアクションを取ってを見る。そこには溜息をついて呆れている彼女の姿が。
「何さ!」
「そこはもうちょっと考えようよー。うんはないっしょ、うんは」
「えー?だってさあ…」
そんなまともに話したこともないのに。ましてや同じクラスでもないのに。
「でも昨日のメールは長かったんだよ!」
「なんて?」
「えーっとね…」
あたしは胸ポケットから携帯を取り出して、昨日の受信メールをに見せた。
「じゃーん、十通」
「平凡」
「ぐはっ!」
「あーはいはいごめんね。にしては頑張ったんだよね!」
よしよしと子供をあやすように頭をぐりぐりと撫でられる。おかげであたしの髪の毛はぐっしゃぐしゃ。せっかく髪の毛をといてきたのに台無しだ。
「じゃ、そんな愛しの君の所に」
「なっ名前言うな!声大きいから!」
「え?下の名前なんだった?」
「………」
はあたしの背中をぐいぐい押して、隣のクラスにあたしを入れようとする。おわ!そこまるっきり君のクラスじゃんか!
「無理無理無理無理無理!!!」
「無理じゃない!」
「無理!」
ドアの前で大乱闘。教室に入れようとするに、教室に入りたくないあたし。そして突然そのドアが開いた。
「…あれ、さん。何やってんの?」
「う、わっ!わっ!君っ」
カチンと体が硬直した。メールでなら緊張はするけど、比較的何でも話すことができる。けど、こうやって顔を見ちゃうとヤバイ。何て口に出していいか分からない。緊張しすぎて口から心臓飛び出ちゃうよ!
「えと、あの!」
「何でそんな堅いのさ?」
「か、堅くないよ!」
「そ?さんって面白いよね」
頭の中は真っ白で、異様に語尾に力が入って叫んでるように聞こえる。そんなに大きな声を出さなくても聞こえるんだろうけど、変に拳に力が入っちゃってた。
「君のほうが、面白いよっ」
「そか、ありがと。今日もメールしような」
「う、うん!」
「じゃ、俺トイレー」
君は笑顔でそう言ってくれた。教室から出てトイレに入っていく後姿を、ポーっとしながら眺める。やっぱかっこいいよなあ。
「………目がハートですよ、奥さん」
「うるさいバカ!」
「恋のキューピッドと呼んで」
「はいはいはい」
今日もメールしような、だって!やっば、すっごく嬉しいんだけどどうしよう!
「早くメールしたいなあー」
今日も明日も明後日も、恋をします。あなたに恋をしています。
青春ライフ万歳!