「…あれ?」
「どしたの、先輩?」
 隣に立っている後輩のをパッと見て、あれ?と思った。そうしたらそのまま言葉に出てしまう。あれ?ちょっと、いつの間に?
「…また伸びた?」
「176センチでーす」
「……うわ、最悪」
「最悪って、ただ伸びただけじゃないすか!」
 あたしは159センチ。あと一センチが欲しいところ。今までものことは見上げてたけど、いつの間にやら首が痛くなるほど見上げなきゃ顔が見えないってことに気が付いた。伸びすぎだよ。そこまで伸びちゃうと逆にあたしが小さく見える。
「まだまだ成長期っすよー」
「早く止まれ!」
「俺の成長ホルモンはそんなことで止まってくれるほど優しくないんで。それにそれにへこたれるほど軟な俺でもないんで。実を言うと…」
「あーはいはい。分かったから!」
 ぐだぐだと、長々と熱弁されてしまった。ただでさえ見上げて話すのは、本当に首がつらいのに。このつらさ、には分かんないでしょーね!
「これからがいい所だったのにー」
「何がよ?」
「実を言うと、年下なのに背が高いってのが嬉しいんすよ、俺は」
「何で?」
 あたしが顔を向けると、は照れたように鼻の下を掻いた。
「そしたら年下じゃなくて、一人の男として見てもらえるんじゃないかなー」
「…………え?」
「…って思ってるんすけど!先輩はどうっすかね!?俺なんか、今お手ごろ価格っすよ!」
 ぎゅ、とあたしの手を握っては大声で叫んだ。耳にフィルターがかかったみたいに、ボーンと耳の奥で音がする。あんた、…声、でかすぎ。
「…あ、たしも今セール中なんだけど…。、買ってくれる?」
「もちろんっす!先輩だったら何個でも!」
に限りお一人様一個までだよー」
 握った手に力が込められた。はやったーやったーと真っ赤な顔で嬉しそうに叫んでる。あたしは苦笑いをして馬鹿と一言だけ言ってやった。
 恋愛には、年上とか年下とかそんなの全然関係ないんだから!
恋愛定義