「そう言えば先輩って、大学どこ行くんスか?」
 キャンバスに向かっていた手を止めた。絵を描くのが好きだからという理由で入った美術部は、ほとんどお遊び部で終わってしまった。三年間のうちに一体何枚描けたかな。それに今日はみんな色々と用事であたし一人だけで部活動。
 向かい側の席に座っている、サッカー部の幽霊部員のがふとそんなことを聞いてきた。
「んー、まだ決まってないけど…A大かな?」
「A大かァ、じゃあ俺もそこにしよ!」
 この辺りじゃそれほど有名というわけでもなく、でも知られていない所でもない大学。普通すぎる所。あたしは筆を置いた。
ならもっと上行けるでしょ?」
「えー!ヤダ、先輩と一緒じゃなきゃヤダ」
「うーわ、小学生みたい」
「だって、そうじゃないですか?」
 は席を離れて、今度はあたしの隣に立った。
「問題はどれだけ上を目指せれるかってことじゃないっスよ。どれだけ楽しめるかでいいんです、俺は」
 今までヘラヘラしていて、出会った時なんて髪の毛は金色をしていたのに。今では黒に戻って少し落ち着いた。それを、さんのおかげですよ、と満面の笑みで言うんだ。そんな彼が、そんなことを言うとは思ってもみなかった。
「いいの?それで…」
「いいのって…俺はそれを望んでんスよ?さんと一緒がいいんです」
 分かってしまった、この気持ち。
(…好き、なんだ…あたし)
 こいつに惹かれてる。
さん?」
 だけど、今は絶対に言ってあげないから。その想いがずっと変わらないのなら、
「来年、絶対来てよね」
「当たり前じゃないっスか!」
「言いたいことあるんだ」
 その時になったら、教えるね。のことが大好きって、あなたと同じように笑って。
シュガーレス・ドリーム