部活が終わると、誰よりも早くに教室を飛び出し駆けて行く。そして校門で待ち惚けを喰らっている先輩のもとへ一目散に走る。
「先輩、先輩!」
 今日も自転車に跨って携帯を触っている先輩の姿があった。
「おお、お疲れさん!今日は早かったんだね」
「いつもごめんなさい、待たせちゃって…」
「いいよいいよ。部活は仕方ない」
 仕方がないと言っていても、一時間くらい待たせているのは事実。まだ文化部だから良かった…!
「でも先輩は勉強したいんじゃないですか?」
「勉強…、何で?」
「え、だって受験生じゃないですか!」
 三年生の先輩は部活も引退して、そろそろ本当に勉強に勤しまなきゃいけない立場にある…はずなんだけど、何だか受け身で構えてるなあ。さすが先輩。
 先輩は理解したかのように大きな声を出した。
「あーっ!言ってなかったっけ?推薦もらったから、非行に走らなきゃもう進学確実なんだ……、って言ってなかったみたいだね、ごめんね」
「あ、そうなんですか!?おめでとうございます!」
「ありがと」
 「だから別に待ってるのはいいんだよ」と携帯をポケットにしまって、微笑んでくれた。
「それに、やっとに会えるなーって、嬉しくなるから」
 「ね?」と茫然としているあたしに向かって尋ねる。やっとに会えるって、それって…。
「えっと」
「待ってるのも俺の楽しみなんだから」
「あのっ、あたしも、先輩に会えるの嬉しいです!」
 にこっと照れたように微笑んで、「じゃあ行こうか」と先輩は言った。自転車のスタンドを上げて、乗らずに引いて歩く。先輩隣は、いつもあたし。
「一人で帰るのも嫌だしねー」
「悲しくないですか?あたしすっごく寂しいです」
「だよね!俺の友達でこっち方面なんて一人もいないからさァ、寂しくてさ」
 「帰る時にたまに見るのこと、可愛いなって思ってた」と、以前言われた言葉を思い出した。先輩が部活をやっていた頃、下校する時間帯はぴったり一緒だった。
「でも、今は寂しくないですよね?」
「当たり前じゃん!がいるからね」
 この時間が、凄く愛しい。
あなたが、待っているから