「先輩!」
「?」
「ガバ――――ッと!今日はチェックーっ」
「きゃ――――!?!!バカっ!」
「ちょっとー。また後輩にやられたの?」
「…あたり」
毎日毎日あたしに悪戯してくるやんちゃ坊主のは、部活の後輩。スカートめくりなんて小学生のすることなのに、あたしたちはもう大人の階段を上っている。もうそろそろ…、あたしのことを「女」として見てほしいな、なんて思ってたりする。
「の想いも報われないねー」
「別にいいの、報われなくたって」
半ば冗談で言ったら、「Mだね」とに笑われた。別にそんな気持ちで言ったわけじゃない。ただ、スカートめくりをするためにあたしのそばに来るなら、もっといろんなことを話したい。そう、思っただけ。
「あ、チェックの先輩だ」
「ちょっと!やめてよ」
「あれ、怒ってますか?先輩?」
その整った顔で嫌みったらしく微笑んで、あたしを覗き込んで来る。まだ成長期は来てないのか、あたしより少し背の低い彼。何でこんな子供っぽい奴を好きになったのか、今でも不思議。
「スカートめくりはやめてほしいの」
「先輩、それ言いに来たの?」
「…うん」
「嫌ですよー。やめたら先輩に会う理由がなくなっちまう」
「…え?それって…」
それってどういう意味?当のは言い方を間違えたのか、「まずい…」と小さく呟いた。
「あたしは、のいろんなこと話したいんだよ?」
「へ?」
「その、あたしの…色のじゃなくって、あたしを見て…じゃない、何でもない」
「先輩?」
「何でもないっ」
あたし、何言ってるの?あんなこと言ったら、あたしの想いつつ抜けじゃない。に何か言われるのが怖くて、「ごめん」って言われるのが怖くて、あたしはその場から逃げ出した。
「先輩!」
「っ!」
誰もいない中庭まで走っただけど、やっぱり男のの足には敵わなかった。はすぐにあたしの手を取って、「先輩、さっきのって」と口を開く。
「あれってどういう意味ですか?」
「………分かってるくせに」
「…俺のこと、好きなんですか?」
何でこういうときにだけ敬語になるかな?あたしは振り向けずに、ただ深呼吸ばかり繰り返していた。
「………」
「先輩、返事してください」
「…は?」
「え?」
あたしの考えが当たっていたらの話。当たっていなかったら、凄く恥ずかしいけど。
「…のさっきの言葉、あたしのこと好きみたいに聞こえた、から」
「あ―――」
は渋い声を出した。あたしの勘違いだったかな…。
「…先輩には何もかもお見通しってわけだ」
「え?」
思わず振り向くと、そこには見たことがないくらい赤い顔をしたがいた。
「俺は先輩のことが好きで、だからいろいろ話したいって思ってる」
「…」
「だけど、何か気恥ずかしくてさ、スカートめくりでしか…何か、表現できなかったっていうか…。何と、言うか…」
「…バカ。素直じゃないね」
「あ―――!もうっ!先輩こっち見ないでっ、今俺最高にかっこ悪い」
そう言っては後ろを向いてしまった。かっこ悪いっていうか、可愛いんだよね。
「あたしものこと好き。だから、スカートめくりじゃなくって、普通に会いに来て?」
「…了解」
はまだ顔を手で隠したまま、頷いた。
「先輩」
「ん?」
「好きです………あ―――!やっぱ駄目だっ!恥ずかしー」
素直じゃなくっても照れ屋でも、あんたじゃなきゃ駄目なんだよ。
あんたじゃなきゃ