は友達の中の友達。ずっとずっとそう思ってきたから、のことを好きになってるとは思わなかった。それにいざ好きになっちゃうと、それまでの関係を壊すのが怖くて、そんな言葉は心の奥にしまったままだ。いつもと同じ態度を取るしか、できなくなったんだよ。
「おーい、。バカ
「バカじゃないやい。何でしょーか?」
 昼休みの中盤。あたしは自販機でジュースを買って、それを飲んでた。男子が何人か溜まった所から、の「ちょっと来い」とあたしを呼ぶ声が聞こえる。近くまで行くと、隣に確かとかいう奴がこっちを向いていた。
「コイツがメアド教えて欲しいって」
「あー、いいよ」
 気があんのか、コイツ。とかを見て思ったけど、そんなことは口に出さずに胸のポケットから携帯を取り出して、画面を開いた。
「ちょっと待ってね…。って、あ」
「何だよ、お前」
「電源ブッちった。ちくしょー」
 画面に「充電してください」が、ドでかく表示されている。
「充電くらいしてこいよ」
「昨日九時に寝たからなー。忘れてた」
「お前はガキか。勉強しろ、勉強」
「お前に言われたくないですー」
「ああ、そう」
 ため息をつかれ、半分呆れ顔で面白半分にはあたしに言った。その後には、に「俺が送るな」と笑顔で言う。は「分かった」と、少し残念そうに答えてた。
「つーかお前、スカート短えな」
「長いほうだよ。って、めくるな変態!」
「どーせ下はいてねーんだろ?」
「え、ノーパン?」
 あたしの言葉にいささかびっくりしたのか、「ちげーよ!」と声を荒げた。周りにいた男子は、以上に驚いた顔だ。
「スパッツはいてねーんだろ」
「うん、はいてないよ。何だ、びっくりした」
「こっちがびっくりだよ、なあ!」
 周りの男子に振ると、思いっきり首を立てに振られた。一番激しく振っていたのはだ。うん、こんな女だとは思ってなかっただろうね。
「何でそんな会話ができるかなー」
 だ。まだ驚きが隠せないのか、目の瞳孔が開いたままだ。少し小さな声で言った言葉に、が「うーん」と答えた。
「友達だから、だよなー」
「うん。それしかないよね」
「マジで?」
 友達でもこんな会話はしないだろうね。そう考えれば、はなんでも話せる特別な関係なんだろう。
「そろそろ友達やめますか?」
「何で?」
「俺ら付き合っちゃう?」
「何をバカな」
 今までずっとずっと友達だったから。これからは恋人、なんて割り切れるわけがない。「何をバカな」は、今のあたしの心の中とまるっきり同じ。
「あらー。フラれたよ、俺」
「バカだね」
「バカだよ」
 本気なのかな。冗談なのかな。今は確かめようがないけど。
友達以上恋人未満