「さあ、お待ち兼ねの席替えするぞー。名前呼ばれたら一人ずつ出て来てクジ引いてけ」
六時間目のロングホームルームの時間、先生はいきなりそう言った。教室中からは歓喜と落胆の入り混じった声がする。声、と言うか、最早悲鳴に近いかもしれない。そして「一人ずつ」と言った先生の言葉に、クラスでちょっと浮いてて派手系に属す部類の子達は汚い言葉を吐き捨てていた。クラス委員のあたしにとってそれは幸いなこと。ありがと、先生!だって派手系の子達ときたら、せっかく取ったクジを交換したりして、ちゃっかり自分が座りたい席を陣取っているんだから。自己中心的極まりない行動だよ。ああ、溜息が出る。
「、何だか緊張してきたよ!」
「あたしもだよー。今度はいい席になれますように!」
あたしとはその派手系の傍の席になってしまって、最初の頃は学校へ行くのも嫌になるくらいだった。それを何とか耐え抜いて、やっと、やっと!念願の席替えまで扱ぎ付けたんだよ!今度こそは、神様あたしに微笑んでー!
「ー」
「来た来たあ!、頑張ってくるからね!」
「いってらっしゃーい」
ついにの番が来た。は腕捲りをしてクジ引きに望む。またの隣になれますように!
「んなことしても無駄だろ」
「煩いなー。ちょっとは変わるかもしんないでしょー?」
「はっ、まさか!俺は運に任せるぜ」
空いたの席に座りに来たは、そんなことを言った。とは近くの席になったことがないから、今度こそは近くの席になりたいなーなんて思ってる訳でして。よりと一緒になれますように、ってちょっと願っちゃったのは内緒。
「ちょっとさん。邪魔ですよ」
「あ、さん。どうもどうも」
「、どうったった!?」
「へっへーん!一番後ろゲット!」
「はあ!?何だそれ!」
「うわ!運良すぎ!」
はピースサインをあたしの面前に持ってきた。あたしも一番後ろがいいなあ。そしたら寝れるし、携帯触っても何しても気付かれないし。プリントを回収するのが面倒なだけで。いいなー早くあたしの番にならないかな。
「ー」
「イエース!!」
がクジを引く番になると、教室は一層騒がしくなった。人気者だし格好良いからしょうがないと思うけど、あまり好かれすぎると逆に…ねえ。引けちゃうって言うか、何と言うか。仲良い人が多すぎて、あたしが一番仲良いんだって言えないよね。
「最っ悪!」
「どこだったの?」
「廊下側前から二番目!ここってすっげ当てられ易いし」
「うわ、運悪いねー」
「俺も祈っとくべきだったよ…」
眉間に皺が寄って、機嫌悪そうな顔。運に任せてこの結果とは、さぞ悔しいことでしょうね。あたしはの隣がいいな、なんて思い始めた。
「ー」
「はーいはい」
「はい、クジ」
どうか神様一番後ろで!そしての隣で!の隣は前から二番目なんで、ちょっとやめてほしいです。
「何番だった?」
「これ。先生、あたしどこ?」
「あーえっと、ここだね」
前から二番目。隣の席には「」の文字。心の中でガッツポーズをする。あたしって、何なんだろう?笑っちゃう。やめてほしいって思ってたのに。
「、どこだった?」
「の隣」
「隣?マジで!?」
「うん」
「よっしゃー!お前が隣なら、俺頑張れそう!」
満面の笑みではそう言った。さっきまで機嫌悪そうにしてたのが、一気に機嫌の良い顔になる。
ちょっとくらい、期待しちゃってもいいのかな?
席替え