もっともっともーっと、近付いてみたいんだ。あたしはそう思ってるんだけど、アンタはどう思ってるの?こんな感情なんて面倒だなあとか、思ってるのかな。あたしは些細な、ちょっとしたことでもドキドキしてしまう。でも、それがたまらなく嬉しい。このトキメキが愛しい。ねえ、あなたもそうやって思っててくれると嬉しいんだけどな。
ー」
「あいー?」
 家庭科の授業、今回はケーキ作り。ほとんど女子だけでワイワイ楽しんで作っちゃって、男子の出番なんてこれっぽっちもない。そんな男子のそのまた端っこで、余った牛乳を使ってミルクティーを作っていたさん。どこから紅茶のパックを持ってきたんだろうと聞いてみたら、家からくすねて来たとヘラッと笑った。そんな笑顔が、たまらなく愛しい。
「ちょっとちょうだい」
「いいけど」
 ガラスのコップに刺さる細長いストロー。がさっきまで使っていたもの。そのミルクティーがどうしても飲みたくて。変態かって思うかもしれないけど、人間は所詮そんなもん。欲望や欲情には勝てないもの。
 思い切って「ちょうだい」と言ってみれば、色好い返事がもらえた。まあ、ここでもらえなかったとしても「ケチ」と言って、話す切欠が作れればいいなんて思ってたけどね。
「うわ、と間接ちゅーだよ」
「うわって何だよ、うわって。いいよー別に。俺とが嫌なら我慢して飲まなくても」
「別に嫌なんて言ってません」
「うわって言われたら、絶対否定的に取るだろが!」
 そのストローに口を付ける。甘い甘いミルクティーがストローを伝って口の中に入ってきた。どんなミルクティーも、これには敵わないと思った。ああ、なんて変態な。
「甘っ」
「俺甘党」
「いや、これはさすがに甘すぎでしょ…」
 どうしたらこんなに甘くなるものなのかと思ったけど、なるほど分かった。あたし自身が甘いんだ、という考えに行き着いた。口に出したら絶対笑われる。でもいいよ、これくらい思ってもバチなんてあたらりゃしないでしょ?
「あ、どうです?お口直しに牛乳でも」
「じゃ、もらう」
「これも俺の口付いてますが、よろしいですかー?」
「よろしいですよー」
 ミルクティーのあの甘さの上から、牛乳の甘さが重なる。間接キスという響きに目が眩んで、頭もクラクラして。鼓動が早くなる。ただの間接キスじゃない!と言い聞かせてみても、好きな人とのは格別なんだからしょうがないよね。
、お前これと、これ。片付けろよ」
「ええ!!?何であたし!?」
「牛乳飲んだから」
「え―――っ!」
 差し出されたのは牛乳パック、コップ、ストロー、スプーン…その他諸々のゴミ達。わざと嫌そうな顔を作ると、は苦笑して「分ーかったよ」と言った。
「じゃ、俺ゴミー」
「ありがとーございまーす」
「の代わりあとでケーキくれ」
「嫌です無理です」
「何だと?紅茶あげただろ、このケチ!」
 はあたしの頭を後ろから優しく鷲掴んで、髪の毛をくしゃくしゃとやった。急激に体温が上がった。
「お前髪の毛柔らけーな」
 その少年のような笑顔が、あたしはあなたの中で一番好きなんです。
Milk tea