「え…転校?」
「…うん、ごめん。あたし…南中行くの」
「あ、いや…俺も黙ってたけど、俺、東中に転校するんだ」
「え…本当?」
 去年、あたしは急に転校することになった。遠距離恋愛なんてあたしには無理で、だからあたしから「別れよう」と彼に言ったの。でも…彼もお父さんの都合で急に転校、しかもあたしの隣の学校。嬉しかったなあ、そのときは。 転校したあとでも何度か会ったけど、結局続かなくて別れちゃった。

「あ……かっこいい」
 そして、新しく入った南中で出会ったかっこいい彼、名前は。テニス部の副キャプテンで、もうかっこいい!友達になりたいなあ、と思いながら遠くから見てた。
、あのさ………あたし好きな人できた!」
「え、誰?誰?」
「あのね、君。かっこいいなあー」
「テニスの副キャプの?あー、あれは倍率高いよー」
 入試の倍率かよ、と一応ながらツッコミ。やっぱり君を好きになる人、多いのかなー。
はいないの?好きな人」
「そりゃー君でしょ。陸上部のキャプテンなんだぞー、かっこいいんだぞー」
 「あー、はいはい」との勢いの良さに少し引き気味…なあたし。
「ちなみにね、君の親友なんだって、君」
「マジで!?」
 「お互い頑張ろうね」と手を握り締めて、励まし合った。でも、何だかんだで君と仲良くなってしまったあたし…。に顔向けできないよ、もう。

さん、ちょっとは真剣に考えろよー」
「煩いなあ、頑張ってんじゃん!ほら、見てよ」
「おお、意外と良かった」
「何さ、その反応は。しかも意外って!心外じゃ」
 「はいはい」と日直居残り二人組み…。優しくて、クールな彼にどんどん惹かれてっちゃう…何だか君のことが好きみたい。あ、もちろん君も好き…なんだけど。

さー」
「ん?」
 ある日の休み時間に、が言った。
「最近君と仲いいよねー」
「…そう?」
「いいなあ、いいなあ」
だって最近仲いいじゃん。見てて嬉しくなっちゃうよ」
「えへへーそう?」
 の嬉しそうな笑顔を見れて、あたしは嬉しかった。けど、君のことが好き、だなんて…には絶対言えないなあ。
「…優柔不断かな、あたし」
「何かあったの?」
「んーん、なーんもない」
 …浮気?そんなんじゃないよ。…優柔不断?傍から見たらそうかも知れないけど、ありでしょ!1回は誰でも体験したことあるでしょ?恋多き乙女で、何が悪い?人生一度きりなんだ、何回恋したっていいはずだよね。

さん」
「あ、君」
「そこのボール、取ってー」
「あ、これ?はい」
「ありがと」
 また。
君」
「何?」
「部活頑張ってよ」
「任せとけ」
 また、あたしは恋をする。
恋をする