本当は、誰よりもあたしが傍にいたはずだった。一番仲のいい友達だった。
あたしがを意識し始めたのは、高校に進学した頃だった。中学のときはいてもいなくても分からなくて、でもあたしはそんなと仲良くなった。そんな存在感の薄い人だったから、友達だって少なくて。だからあたしなんかが一番仲良くなれたんだ、って今になって思うけど、高校に入ってすぐ、あいつはクラスの中心に立った。
「おい、!こっち来てみろよ」
「くん、ここ教えて?」
「お前今度遊ばない?」
「一緒に遊ぼうよ」
誰もが。中学の時はごく一部の人しか呼ばなかった名前。今ではこんなにも、まるでその名前しか知らないみたいに呼ぶ。
「」
高校に入って、一度も聞いたことがなかった言葉。が話している言葉の中にも、ましてやあたしと話すこともないのに。一度も話すことがなくなって、ただ遠くから見るだけになった。
だから初めて気付いたんだ。あたしがのこと、こんなにも、こんなにも好きだったってこと。遠くから眺めるだけになって、やっと意識し始めた。あなたの笑顔を見るたびに、胸が締め付けられるような感じに囚われる。
「ねえ、。聞いてる?」
「うん?」
「あのさ、僕思ったんだ」
「うん」
「って優しいでしょ?僕はに甘えてただけなんだ」
優しいのは、君。穏やかで柔らかい、君なんだ。
「僕、が好きだ」
「…え?」
「がずっと僕のことを見てたの、知ってる。僕がちょっと人気になって焦ってたんだよね」
その優しい笑顔が好きなの。ずっとずっと見たかったの。
「あたしも好き。のこと、大好き」
たまには意識するのも、いいかも知れない。
意識