「……じんどい。くそーう、このやぶ医者ー!こりゃ、熱だよ」
「体温測ってみて」
 保健室の柿沼先生に言われるまま熱を測る。しばらくして、ピピピッと体温計が鳴った。
「三十六度二分…全然ないじゃん」
「体温計がぶっ壊れてるんだ!!絶対っ」
「はいはい、一応寝てな。五時間目はお休みでいいから」
「へーい」
 もぞもぞとジャージの上着とズボンを脱いで、体操着になってベッドにもぐりこむ。あ、横になったら結構楽かも。
ガラッ
「あらーくん、どうしたの。また鼻血?」
「やべー、止まらん。ティッシュ」
「横にならないでね…って行ってる傍から横になるな!立ってろ!」
「うわっ!ジャージ血ついた!!」
 うるさいなー、寝れないよ。のバカ!
「ティッシュ足らねー!」
「はいはい、これね。保冷剤で鼻押さえときなさいよ」
「あいよ」
「今日午後から出張だから。ちょっと出てくね」
「あいよ」
「鍵しめておくからー」
 …鍵しめておくから……ってことは…二人きり!?あ、でもあたしが寝てるってこと知らないか。ガチャリ、と鍵を閉める音がした。
「ったく…。お、止まった」
 カーテンの向こう側で声がする。このままが立ち去ってくれますように!!
「………サボって寝ようかな」
 え……ってことはこのベッド使うんだよね?あ、ベッド1個しかないんだけど…!?カーテンの向こうで、影が揺れた。
「うっわ、ちょっと待って!!」
「!!?」
「使用中使用中っ」
「…か?」
「ピンポーン。だから、寝かせて」
 この状況ヤバイから!!だって、男と女が一緒の部屋…しかも鍵かかってるし。しかもベッドあるし。あ、でもだから多分大丈夫だろう、と思うわけでして。
「お前、風邪か?」
「風邪だよ。つか、カーテン開けんなってっ」
「何でだよー、いいじゃん」
「駄目!!」
「あれ、体操服?」
「え?うん」
「下着、透けてますよ」
「――っう、うるさいっ!!」
 あたしは布団の中に潜りこむ。
「…お邪魔しまーす」
「お邪魔しないでください!!」
「いいじゃん」
「拒否権使うよっ」
「俺それに対抗する権力持ってますから」
 ついでにも潜りこんできた。ほんと、やめてくれよー…!
が近いー」
が入ってくるからじゃんっ!やめてよー!」
「蹴るなっ!殴るなっ!俺の美顔が…!」
「どこが美顔だっ」
「あほっ!鼻血出てちょっとショックだったんだぞ!?」
「ちょっとな、ちょっと」
「バーカ」
 そう言っては真剣な顔であたしの腕を取った。いつになく真剣な彼の表情は、初めてみるかもしれない。
「かっこよくなきゃ、お前に振り向いてもらえないから」
「…はい?」
 あたしに振り向いてもらう?
「だったらそんな努力意味ないよ?」
「…は?」
「だって、あたしは顔で人を判断してるんじゃないもん」
 かっこよくったってかっこよくなくたって、だから。そんなことしなくても答えは出てるのに。
「そんなことしなくても、あたしはのこと好きだよ?」
「…マジで??」
「冗談でこんなこと言うか!」
大好きー!」
 引っ付いてくるを無理矢理剥ぎ取って、ベッドから落とす。
「お前ー、今彼氏になった奴になんてことを…」
「ふーんだ」
 顔が全てじゃないんだよ。あんたの全部が好きだって、気づけたでしょ?
保健室で二人