誰もいない放課後の教室。あたしは担任に頼まれた資料の集計に明け暮れていた。隣にいるのはあたしの彼氏で、うっとうしい…仮にも彼氏、。
「ー?ちゃーん?」
ずっとこんな風にあたしのことを呼び続けている。
「ちゃんてばあー」
バチンッ
「だっ!」
机に向かっていた顔を、いきなり右手でにっくき…仮にも彼氏、の方に向かされた。思わず上げた右手も、の左手で押さえつけられて動かせられなかった。でもの頬は、自由だったあたしの左手の餌食に。それで痛そうな音とともにの短い悲鳴だあがたってわけ。
「ちょっと!ここどこだと思ってんのよ!!」
「え?学校?」
「?じゃなくて、学校なの!学校でそそそそんなこと…っ」
「いいじゃんキスくらい。減るもんじゃないじゃん」
キスくらいどうってことはない。ましてや彼氏とのキスは嬉しいよ?でも、学校の教室ってとこが駄目、こんなとこでするな。
はまだ頬をさすっている。
「つか、顔はやめろよー。マジいってえ」
「いいじゃん顔くらい。どうってことないでしょ」
「おまっ、彼氏の顔だぞ?」
「そうですねー」
「いいのか!?お前に殴られてボコボコのぐしゃぐしゃになっても…」
「あたし滅多に殴んないから!」
ボコボコのぐしゃぐしゃにはしないよ。もしそうなったら、殴らせたあんたが悪いんだ、絶対。
「なー、彼氏殴るか?」
「殴るたって、今の1回だけじゃん殴ったの」
「…そうだけどさー」
「今忙しいの!またにしてっ」
もう少しで終わるんだから、それまで静かに待っていてほしい。…なんでこんな手のかかる彼氏なんだろ?大きな赤ちゃんって、こういうことなのかな。
「終わったー!、帰るよっ」
「………」
「?」
「………」
寝てる…し。待ってたのほんの5分くらいじゃん。寝るの早くない?
「ー、起きてよー」
「……」
「…もう」
仕方ないから待ってることにした。って寝顔だけじゃ可愛いもんなんだけどな…口開くとうっとうしいったら。うん、仮にも彼氏だよ、分かってるよ。黙ってたらかっこいいんだけどね。
「……あんたのこと好きになるの、あたしくらいだよ」
「……」
「物好きだなー、あたし。感謝してよ、」
そう言っての口に軽くあたしの唇を乗せた。途端に強い力でキスを返される。
「ちょっ…!起きてたの!?」
「誰も寝てるなんて言ってないよ?」
「なっ…」
「からキスしてくれるなんて、初めてじゃん?」
「結果的にはあんたからになったけどね」
「ちゃん顔真っ赤ー」
「う、うるさいなっ!…なにさ、もう」
あー!さっきの言葉も聞かれてたってわけね。恥ずかしい…。穴があったら入りたいよ。
「じゃ、帰ろうかー」
「…ばか」
「ばかで結構結構こけこっこー」
「……ぶっ」
「やった、笑った」
ひとのいないところで。
behind a person's back