「え――――――――っ!!?」
「しーしーっ!声でかいって、!!」
「あ、ごめ…てか、マジで?」
「マジマジ!」
 やめてよー!みんなに聞かれたらヤバイんだって!ヤバイ子だって言われちゃうかもしれないんだってっ。
「マジで?君って…君に紹介してもらった子でしょ?」
「そうそう」
「えー!だって他校でしょー?やだな、そう言うの。危なそう」
「そんなことないもん!いい人だもん!」
「いい人って…。君も会ったことないって言ってたよ?ほんとに大丈夫?」
「…マジで?会う人ってあたしが初めて??」
 うんとは頷いた。先月君に紹介して貰った君は、本人が言うには隣の高校の男の子。写メを見る限りとっても格好良い人。そんな君と、明日は二人きりで遊ぶことになった。前日からウハウハ状態。だけど不安だな。ヤバイ人だったらどうしよう?援交とか?金取られたり?やだやだ!でも絶対そんな人じゃないもんっ!
「で、どうやって遊ぶとこまで持ってったの??」
「昨日、遊ぼうってメール来たの。十時に待ち合わせ」

 そして、翌日。
「わあ!寝坊した!!お母さん、何で起こしてくれなかったの!?」
「起こしたわよ。だけど起きなかったんじゃない」
 そんなこんなで、朝ごはんを頬ばりながら愚痴をこぼしていた。
「行ってきます!!」
「行ってらっしゃーい」
 急いでチャリに乗って、急いで待ち合わせ場所に向かう。携帯に映し出された電子時計は、もうすぐ十時を示そうとしていた。

「…着いたっ」
 やっと着いた。時計は十時七分、少し遅刻しちゃったけど、何とか間に合ったかな…って間に合ってない。でも、君の姿は見あたらない。
「…待たせたからかな…」
 メールしようと思った矢先、携帯から着信のメロディーが鳴った。画面に映っていたのは知らない番号。
「誰、これ?」
 迷惑…不審電話?嫌だなー、どこから漏れたんだろう?でも、にしては長く鳴ってる…けど。
「も、もし…もし?」
「あ、さん?」
「あ…、そうですけど?」
「後ろ」
 言われたとおり後ろを振り向くと、知らない男の子がいた。君かな?店のショーウィンドウを背に、機嫌悪そうに立っている。相手のほうは携帯を切って、こっちに向かって歩いてきた。茶色が少し混じった髪…これは地毛かな?ワックスで立たせた髪、センスのいい服装、でも…世間的にいう、良くない人。
に番号聞いた。アドしか知らなかったし」
「…、君?」
「そ」
「何か…メールと雰囲気違うね」
「そうか?別にこれが普通だけど」
 自分の服装を確認するように、ショーウィンドウに姿を映した。どこから見ても格好良い。
「…何て?」
「え?」
 ショーウィンドウで髪型チェックし終わった君は、ちょっと眉間に皺を寄せてあたしを見た。怒った顔も整ってるなー。
「今、格好良いって」
「え、声に出てた?」
「普通に」
「…ごめん」
「別に謝らなくてもいいけど…」
 メールとは違うからかな…何か気まずい。話が弾まない…て言うか。
「よっしゃー、行くぞー」
「どこに?」
「どこにって…ここに来たんなら遊ぶしかないだろ」
「あ、そうだね」
 「バァカ」と優しく突っ込まれる。君の手が頭に触れて、少し恥ずかしかったり。
「よくここ来たりするの?」
「ここにはあまり来ないなあー。駅前はよく行くけど」
「駅前?」
「駅前に気に入ってるが店あるから。BAD CHILDっていう」
「へーえ。名前からして格好良さそう!」
 二人並んで歩く。ここは人がいっぱいいるから、結構密着しないとすぐはぐれてしまう。時々肩と二の腕――これは身長差のせい――が当たる。「うわー」と内心思いながら、赤くなる顔を隠そうとしたり。
「あたし、この店が好き」
「女の子っぽいなァ」
「女の子だよ」
「あ、そうだった?初めて知った!」
「うわ、酷い奴だね。あたし乙女なのに、ショック!」
「自分で乙女かよ!」
 格好良い顔から言われる少し意地悪な言葉も、意地悪なことを言ったあとの笑顔も。全部全部、そのもので…一瞬で惚れた。
「これとか似合うんじゃね?」
「…おーい、行動はえーよ」
「言葉づかい悪いなー、自分で乙女だって言っただろ?」
「うう…それは、言わないでー」
 口が悪いのは、直そうと思ってもなかなか直らない。何でだろね…男言葉だね、ってよく言われる。
「その顔で口悪いっていうギャップもいいっちゃあ、いいけど」
「ギャップ?」
「いやいや…周りにいる男の気持ちを代弁して言ってみた」
「ふーん?」
「お前、分かってねーだろ」
 何が言いたいのかな…。ギャップがいい?そうなのかな?
「あ、これいい!ちょっと来い!」
「何ー?」
「おー!いいじゃん、これ。お前、マジ可愛い!」
「え、かっ!?わ、いいって…」
「え?これやっぱ似合うわー」
 やっぱセンスいいなーって思った。けど、それ以上に「可愛い」って言われたことが嬉しかった。突然すぎて、固まったけど。当の本人は気づいてないみたい。何じゃそれー。
「何?口パクパクしてんだけど。お前は金魚か?」
「…わ、笑うなっ!」
「顔、赤いよ」
「……うるさい」
、めっちゃ可愛い」
「………うるさいですよー」
 そのあとは可愛いって言われた服を買った。大半は君がお金を出してくれたけど…。手繋いで、初デートを楽しんだよ。高校違うけどまた会いに来てね、あたしも会いに行くから。
BAD CHILD