届かない、届かないよ…。
 高一の、秋だった。あたしに何も告げずに、君は転校して行ったんだ。あたしたちはクラスの中で、一番仲が良かったはずなのに。何で何も言ってくれなかったの?何で?「転校する」それだけでも言ってよ。
 毎夜、毎夜泣いてた。哀しくて、切なかったから。授業が楽しくてしょうがなかったあのころが、懐かしい。今じゃあたしの居場所は保健室の隣にある保健準備室だもん。
…本当に大丈夫?」
「…うーん、どうだろうね」
 毎時間顔を見に来てくれるに申し訳ない。
にメール送ったら?」
「…送れないよ、そんな」
「でも、何も変わんないよ?」
 〜♪
「…あたしの携帯だ。電源切っとくの忘れたー」
からじゃない?」
「そんな訳ないよ、だって向こうも授業だと思うし」
 ぱか、と携帯を開けて画面に映った文字。
 『CALLING... 090xxxxxxxx』
「…もし、もし?」
『あ、!?良かったー通じたよー。つか授業中だろ?不良ちゃんだなー、お前』
「…えと、あの……え?」
『あーあー動揺すんな!もうすぐそっち着くから!』
 …はい?もうすぐ着く?
「…何で?授業は?学校は?」
『引っかかってる――――っあはははっ!』
「引っかかっ、え?」
『嘘嘘、転校嘘!ただの旅行だよー当たったんだよ、一週間海外旅行ー』
 さいですか。
「…バカ――――――――!!!」
 届かないと思っていた距離は、簡単に届いてしまう距離でした。
届かない背中