ターコイズとカナリアだけを連れて行くと、わたしは決めた
血の色をした硬い爪先や、崩れ落ちた煉瓦塀は置いていくのだ
愛していたのはチョコレートの柔らかさ、螺旋をほどいたような毛先、その全て
理詰めの骨を折ってくれたのは、あなただったというのに

老いさらばえた鏡の裏には、地面に雨粒が浸みこむように、涙の滴が死んでいた
滲んだ青色のインクの線で、永遠は誓えるものだと、嘘なんて吐かないと
理解を求めていたとは思わない、奇麗な姿勢は丸みを帯びていた
理由を教えてくれとは言わない、あなたなら言わないだろう

蜜のように温くなった胸の中を、わたしを連れて駆けていくものがあった
夜行性の動物のような、強さと正しさを琥珀色の中に閉じこめている
とどめられない二対の足を、きつく繋いだ二本の腕を、燐光の中に遊ばせて
透き通った美しさが、あなたが、わたしを連れて駆けていく

はじけて消えた呼吸を、墓標を見るように、あなたを見る
死にゆく水色を、泡沫を、運命を眺めながら、ただ真面な顔をしていたのだろうか
ローズマリーと革靴が示した道を、こうして外れてきた様も
ただただ、わたしを見ていた目で

わたしは、これから闇に墜ちに行く