時計の針がかけるのをやめたら時間は止まってしまうだろうか
外はさむいのかあついのか
そんなたわいないお話も

色のうすい両目はもう夢からさめているというのに
水色の霧に煙る見通しの悪い世界にさめているというのに
躁鬱の波の中まだここにいる
どうすれば安らかな生活を送り、ここを出られたんでしょう
銀色の、窓やとびらの鍵をあけて
心の砂もかわく町へ、あなたの見えない未知に

けれど真実に鍵になるのは多分あなたの丁寧ぶった右手なので
まだ納得していないぼくの右手と乱暴に繋いでくれたら或いは

蒼白い死神のあなたの顔は本当に柔和ですが
でも過ることがあるよ、といってもいいですか
それでもあかなかったら、とこぼしていいですか
果してこの手その手はつめたいのかあたたかいのか

そんなたわいないお話をしながら
あなたの青い外套がくるんでいるのは、幽霊のぼくですか
くらむような窓の外でいつの間にか死んだ昔のぼくですか

あなたが見ているぼくはどこで遊んでいるんだろう
ぼくはまだここにいるけれど
体が震えていて、額に汗がつたって
酸素はうすいし、電池も切れそうで