極めて正しいこのまぼろしと、ひどく曖昧な輪郭線のきみと

何百年
覚えていられるわけないだろう
市街地からはなれた図書館、歪んだ鍵も捩じれた階段も、文字に埋もれて眠る
世界からこぼれおちた世界から、微弱な呼吸のおとが誰にも聞こえないように
紙切れでできている海の底にひとり、しずんだままで、呼吸もわすれたふりで
たまにガラス窓の外の緑に両目を痛めている

極めて重大なあれらの事実と、ひどくかわいたこの最果てと

何光年
とどいているはずがないだろう
誰もいない知識の底の奥底、扉はたった一つだけ、かつてきみにつづいた一つ
世界からこぼれおちた世界から、いつの日か頁をめくるおとが途絶えたときは
ぼくは、ただひたすらにきみのことを、ただひたすらに優しい思い出のことを
夢見るような目つきで思い出そうとしている