こちらの作品は「恋する闇の魔導師」の番外編にあたりますので、
先に「恋する闇の魔導師」を読んで頂くことをオススメ致します。







「魔導少女の憂鬱:第3話」



次の日−
今日もボクは普段通り、魔導学校にて授業を受けていた。
あの後、シェゾはルシファー先生と色々と取引をして、ルーンロードの呪縛から解放された。
シェゾが持っていた紅い宝石「ビジョン・ブラッド」と交換と言う条件付きで、ルシファー先生はシェゾを助けた。
あの宝石自体はマジックアイテムでもなければ、特殊な力が働いた宝石でもなく、本当にただの宝石。
あれ自体はただの高価な宝石だけれども、実は元々はルシファー先生達魔族の物で、魔族の国宝だったんだって。
何でも大昔の大戦争で消失したんだとか・・・。
ルシファー先生に昨日の出来事のことを聞いたんだけれども、これでもう2度とシェゾと戦うことはないんだって言ってた。
失恋はこれで3度目かな・・・。
ボクの初恋はルシファー先生、同じ顔ならボクはサタンなんかよりもルシファー先生の方がいいなと思っていた。
でも、ルシファー先生には女神さんがいて、ボクは女神さんの面影でしかない。
そして、2人の中には入っていけないと思ったからボクはルシファー先生のことを吹っ切った。
2回目はラグナス、異世界ガイアースからやってきた光の勇者。
強くて格好良くて真面目で優しくて、ボクから見た彼は白馬の王子様のようだった。
基本的にラグナスは相手の外見にこだわらないタイプだから、こんなボクでも大丈夫かなと思っていたの。
でも、ラグナスの視線の先にボクはいなくて、ラグナスはボクの知らない間にティアラに恋をしていたんだ。
結局、ラグナスはティアラの幸せを願い、感情を押し殺してティアラとは縁を切ったんだけど・・・。
ラグナスがティアラのことを吹っ切ったのか、それともまだティアラのことを想っているのかどうかはわからないけど、ボクはそのことについて触れることは出来なかった。
最も、周囲からはボクとラグナスは交際中で恋人同士だと思われているんだけども、実際のところボクとラグナスは友達以上恋人未満の関係。
そして3回目はシェゾ、どうしてよりによってシェゾだったのだろう?
シェゾのことを気になり出してからは、ボクはラグナスよりもシェゾのことを考えるようになった。
シェゾがウィッチに告白して、ウィッチと恋人同士になって、これでめでたしめでたしだと思ったのに・・・。
どうしてボクは吹っ切ることが出来ないのだろう?
シェゾの中のウィッチをボクに置き換えたい!
ウィッチなんかいなくなっちゃえばいいのに!
シェゾはボクだけ見てればいいんだよ!
「アルル、アルルってば。」
「えっ、あっ・・・。」
同じクラスメイトのラーラに声をかけられて、ボクは現実に引き戻される。
ラーラはカミュ先輩に恋するキュートな美少女、ラーラといいルルーといい似たような性格と言うか、似たようなタイプと言うか・・・。
「さっさと着替えないと次の授業に遅れるわよ?」
ラーラはボクの顔を覗き込み「どうしたの?」って具合の顔と口調で話をかけてくる。
ボク達のクラスは今、体育の授業を終えたばかりだった。
ボク達女子は女子更衣室で汗を流し、普段着に着替えている最中だった。
他の女子達はもう着替え終り、ここに残っているのはボクだけだった。
「どっか具合でも悪いの?」
「ううん、今日の体育はちょっとキツかったから。」
もしかして、無意識の内に暗い顔でもしていたのかな?
ボクは心配そうな様子のラーラに対して適当に誤魔化し、言い訳をする。
「確かに今日のは普段のよりもキツかったわよね。」
ラーラもコクコクと納得しながらそう言う。
「私はのーみそまで筋肉で出来てる誰かさんとは違うから今日のはマジ疲れたけど、授業に遅れるワケにはいかないしー。」
今ラーラが言った「のーみそまで筋肉で出来てる誰かさん」とはルルーのことだと言うのは聞く間でもない。
もしも、この場にルルー本人が居たら面倒なことになってるけど。
ラーラのおかげでボクは我に返ることが出来た。
いけない、ボクってばどうしてこんなことを考えていたんだろう?
想いが実らなかったからって、絶対にそんなこと考えちゃいけないのに・・・。
ボクはさっさと普段着に着替えて女子更衣室を後にし、ラーラの後を追って自分の教室へと戻って行った。
このドス黒い感情は一体何なのだろう?
ルシファー先生とラグナスの時にはこんなことなかったハズなのに・・・。
今のボクならミノタウロスの気持ちが少しだけわかったような気がする。
でも、ボクはミノタウロスのようにそれでもその人を好きでいることなんて出来そうにないよ。
ボクは一体何時からこんなにワガママになったんだろう?
どうしてボクはこんなに醜いのだろう?
教室に戻り、デウスの授業を受けながらボクはそう思った。





4話へ続く





コメント
ちなみに「こんな黒いのアルルじゃない!」と思う人は帰りましょうね。
アルルであろうと、ルルーであろうと、シェゾであろうと旧コンパイル時代の魔導&ぷよの場合、シナリオライターによってキャラの性格は多少違ったりするんですけどね。
中には作品によっては腹黒アルルもありだったりするので、これに関しては腹黒アルルだと思って下さい。
とりあえずラーラを出してみました(ルルーとかぶらないように口調を多少コギャルっぽくしました)。


★主催者より★
腹黒アルル!こういう展開になるとは思いませんでした!!!
本当に、シナリオライターによってキャラクターの印象はかなり変わりますね。